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僕はたばこを吸わない。でも、禁煙ではない寛容な場所で過ごしたい

大宮冬洋フリーライター

●今朝の100円ニュース:JT、縮む国内 削減加速(朝日新聞)

「たばこを吸ってもいいですか?」

初めて入った居酒屋のカウンター席で隣の男性二人組から声をかけられた。僕はなぜか嬉しい気分になり、「どうぞどうぞ」と勧めてしまった。

周囲に気を遣ったうえで、自分の快楽を追求する。みんなが気持ち良く飲んでいるからこそ、居心地の良い店ができ上がる。それがわかっていてさりげない行動ができる客がいる店を見つけた幸運が嬉しいのだ。

僕はたばこを吸わない。だけど、「酒を飲むとたばこを吸いたくなる」人の気持ちはなんとなくわかる。僕はいい店で素敵な女性と仲良く飲むのが好きだからだ。「酒場は男だけの場所だ。女を連れてくるな」と言われても困る。露骨にいちゃついたりしない限りは許してほしい。

酒場に子どもを連れてくる人の気持ちはよくわからない。たまには大人だけでゆっくり飲み交わせばいいのに……。でも、その子どもが「ここでの主役は僕じゃない。騒いじゃいけない場所だ」と認識して、寿司でも大人しく食べている限りは許せる。「将来有望だ。10年後に一緒に飲んでみたいな」と微笑ましく思うこともある。

酒場の主役である大人の男性グループにも慎みは欲しい。やたらに大声で話したり、下品な話で盛り上がり続ける「大人の男」が少なくないからだ。前者は高齢者層に多くて(耳が遠くなっているのだろうか?)、後者は3人以上のグループに多い(集団になると気が大きくなる。自分も気をつけたい)。

しかし、たばこも女性もグループも子どももお断りの居酒屋があったら入りたいだろうか。男性客がポツリポツリと離れて座って、静かに飲んでいる店。あってもいいけれど、僕は入りたくない。軍隊か厳しい男子校みたいで緊張してしまうからだ。

朝日新聞によると、たばこの国内消費量は1996年をピークに6割も減った。たばこ増税と嫌煙志向の高まりが主因だと思う。しかし、たばこを目の敵にすることで日本人の「大人度」が上がったとは思えない。禁煙の外食店で傍若無人に振る舞う客を見ると、趣味嗜好の多様性が減ることはその場所の寛容度を下げる結果になっている気もする。

携帯灰皿を持ち歩いているような喫煙家はむしろマナーがいいと思う。自分の愉しみが近くにいる他人に迷惑をかける危険性があることをよく自覚しているからだろう。嫌煙家にはこのような客観性や謙虚さは見当たらない。

僕はたばこを吸わない。でも、禁煙ではない寛容で明るい場所で過ごしたい。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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