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学資保険ランキング【2022年】教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリットとは?

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
(写真:アフロ)

教育資金を学資保険で貯めるメリット・デメリットを整理します。最新の代表商品もチェックしてみましょう。

●学資保険とは?

教育資金の準備法の1つとして挙げられる学資保険(正式な商品種類は「こども保険」ですが、ここでは学資保険とします)。保険料を支払い続けることで、教育資金のベースを作ることができる貯蓄型の保険です。満期保険金のみの商品や、進学時期や大学在学中などに学資金が出るなど、内容は様々です。

契約者となった親等が、万が一、亡くなったり高度障害になったときには、以後の保険料の払い込みが免除になり、その後の学資金や満期保険金は契約通り支払われるのが特徴の1つです。子どもが亡くなったときには、それまで払い込んだ保険料の累計額相当額の保険金が戻る商品が一般的です。

満期は子どもの年齢で17歳、18歳、20歳、21歳、22歳などがあり、保険料払込期間も10歳、12歳、15歳、17歳、18歳などがあります。近年は、予定利率(契約時に確定する運用利率。割引かれて保険料が計算されます)の低下の影響から、短期払いが主流になっています。

学資保険の中には、経過が順調であれば妊娠中に加入できる商品もあります(出産予定日の140日前から)。妊娠中に加入することで、契約者が夫の場合、妊娠中に夫に万が一のことがあった場合でも、教育資金を残すことができます。

●学資保険で教育資金を貯めるメリット・デメリット

学資保険で教育資金を貯めるメリット・デメリットを整理してみましょう。

<メリット>

・「教育資金専用」の資金として、色分けをして貯められる

・保険料の払込だとサボりにくいという人がいる

・解約や使い込みがしにくい

・生命保険料控除が活用できれば利回りが上がる

教育資金の積立は長期にわたるため、家計が厳しくなると続けにくくなったり、住宅取得や車の買換えなどの際には一時的に代用したくなることもあります(体験者です…)。

しかし、学資保険だとサボりにくく、損を回避しようという意識も働き、解約しにくいことから、継続的に貯めやすい点がメリットと言えそうです。「学資保険だから貯められた」というご家庭もあります(しっかり試算してプラスになるかどうかは必ず確認を!)。また、生命保険料控除に未活用部分があって活用できれば、利回りを上げることができます。

一方、デメリットとしては次のような点が挙げられます。

<デメリット>

・超低金利の影響で予定利率が低い(インフレリスクがある)

・中途解約をすると元本割れになる場合も

・保険会社が破綻すると元本割れになる可能性がある

学資保険に限らず、貯蓄型保険は現在、超低金利の影響で予定利率が低くなっています。また、一定期間内に解約をすると解約控除等により元本割れになる可能性があります。そのため、満期まで確実に払い続けられる保険料で始めることが大事です。保険会社が破綻すると、学資金や満期保険金が減額される可能性があるので、格付けなども確認したいもの。

●学資保険ランキング

いくつか代表的な商品を見てみましょう。できるだけ比較できる内容に条件をそろえたものが表1です。主な商品として4商品を取り上げます。

実はこのほかにも試算をしたのですが、商品は扱っていても、同様の条件で戻り率がマイナスになる商品がいくつかありました。プラスの企業では、超低金利の折、何とか維持している企業努力が見て取れます。特にソニー生命は、2022年7月に保険料の引き下げを行い、戻り率でトップに返り咲きました。

表1 学資保険比較(2022年8月現在)

貯蓄型こども保険の貯蓄性の比較

(契約者30歳・父親、子ども0歳・女児、口座振替)

*戻り率や利回りは年齢・プランなど条件で異なる
*戻り率や利回りは年齢・プランなど条件で異なる

小数点第2位を四捨五入。FPラウンジ・教育資金ルームより転載

上記は、積立期間が10~11年、その後据え置きのプランです。学資保険では「戻り率(返戻率)」という指標が使われることが多いですが、独自に受け取りまでの年数で単純に割った「戻り率利回り」も示しています。

2022年8月現在、定期預金の金利は0.002%程度。それより高水準であることは確認できます。市中金利が上がったときには逆転する可能性もありますが、教育資金を準備する方法の1つとして挙げられます。

なお、年払いにするなどで、実質利回りをさらに引き上げる方法もあります。

●「学資保険+つみたてNISA」の組合せ

教育資金は必要になる時期が決まっているため、確実に準備をしておくことが大事です。そのため、学資保険は、必要な時期に向けて確実に準備する商品の候補の1つとすることはできます。

原則、固定金利であることから、預貯金同様インフレリスクがあるとされる学資保険ですが、これを補うために、インフレリスクに備えられる可能性がある「つみたてNISA」や変額年金などとの組み合わせで教育資金の準備をするのも一法です。それぞれのメリット・デメリットを補い合うことができます。

※本コラムは子どもマネー総合研究会のサイトに掲載されたコラムを一部編集したものです。

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永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから高齢者まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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