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保険の終活をしよう! 50代で「人生最後の保険の見直し」

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
浮いたお金で僕のチャオチュールも買ってね=^_^=(写真:アフロ)

終活の際に、忘れがちな保険。人生100年時代、最後の保険の見直しを50代で行うことをお勧めします。 

●通常、保険の見直しはいつ行う?

生命保険を見直すタイミングは、ライフステージが変わるなどで、必要な保障額や保障内容に変化があったときです。

具体的には、次のようなケースが挙げられます。

□婚約した・結婚した

□妊娠した・出産した

□住宅ローンを借りてマイホームを購入した

□配偶者が扶養→正社員になった(あるいはその逆)

□子どもが社会人になった

□脱サラして自営業になった(あるいはその逆)

□離婚した・配偶者と死別した

□相続対策が必要だと気付いた

□所得が大きく変わった

□老後を意識するようになった(保険の終活)

保障見直しのポイントとしては、死亡保障と医療保障が適切かどうかを点検し、その他の特約などをニーズに合わせて組み合わせる形です。

●筆者も「人生最後の見直し」を行いました

上記でいうなら、「老後を意識するようになった(保険の終活)」に該当するのでしょう。「人生最後の見直し」というとやや大げさな表現ですが、筆者も子供が社会人になったのをきっかけに、50代前半から2、3年かけて見直しを行いました。

理由は、緩和型でない一般の保険に入れるうちに医療保障や三大疾病保障を見直したかったことや、がん保障を通院治療中心の保障に変えたかった、生命保険料控除を使いきっていない分を活用したかったこと、また、塩漬け気味の外貨があったので保障に活用したかったことなどが挙げられます。

実際には次のような見直しを行いました。

1・医療保障の見直し

手術給付金が公的健康保険連動型のタイプで、先進医療特約付きの医療保障へ。有期払いにこだわって、保険料は75歳までとしました。付けたい特約もありましたが、保険料負担からかなり絞りました。保険料は年払いにして、仕事が減っても払えるであろうぎりぎりの額にしました。いずれにしても、75歳までは働くことが決定です。

2・がん保障の見直し

診断一時金が複数回出るタイプで、通院治療中心の保障に。20年ほど前に入ったがん保険は解約し、医療保険の特約として1本にしました。

3・三大疾病の保障

心疾患や脳血管疾患も心配だったので、一時金タイプの三大疾病保障が付いた外貨建て終身保険に加入。円払いをすると為替手数料がかかるところ、指定銀行からの外貨引落しだとコストなしで済みました。初回だけ外貨送金が必要でしたが、偶然にも送金先の口座と同じ支店で送金手続きをしたことで、数千円かかる外貨送金手数料が少なくて済みました。資産の分散の1つで、少しあった外貨を保険に活用できてよかった。

4・個人年金保険

保険料控除を活用するために、70歳満期で最少額に近くして加入。予定利率は低いものの、保険料控除を加味すると低リスク商品では悪くない利回りとなります。少額ですが、老後資金の一部として。有配当型なので、今後もし市中金利が上がれば、上乗せの期待もできます。

とりあえずいったん見直したうえで、今後も随時、検討していこうと思っています。このところ保険会社の商品開発が活況で、ユニークな商品も増え、心が揺れます。介護・認知症の保障は、つみたてNISAも行いつつ、引き続き検討中です。

●なぜ50代で行うべき?

50代で「保険の見直し」を行うべき理由としては、次のような点が挙げられます。

・保障ニーズの変化(死亡保障から医療保障・がん保障、介護保障、個人年金などへ)

・病気の罹患率が上がり始める(体況によっては保険に入れなくなる)

・子どもの教育が終わり自分のことや老後のことを考えられるようになる

・資産状況が見えてくる(相続対策が必要かどうかも含め)

・緩和型しか入れない状態になる前に見直したい

・年齢が上がるほど保険料も上がってしまうため

60代でも遅くはないですが、保険料はより高くなり、見直しの幅が限られてしまう可能性があります。

●50代で行う見直しの際の注意点

「人生最後」のつもりで保険を見直す際には、次のような点にも注意したいもの。

・保険料の支払いは原則、有期払い

保険に一番頼りたいときに、保険料が払えずに解約となるのでは意味がありません。有期払いにするか、終身払いなら80代、90代になっても払い続けられるか、よく考えたうえで加入を。

・払い続けられる保険料か

払い続けられる金額に収める視点は重要です。例えば、終身払いで月1万円と言われると、50代なら払えても、将来、80代、90代になったときに払い続けられるでしょうか。有期払いは、70~75歳までなどとしても保険料は高くなります。その年齢まで働く覚悟があるかどうかも大事なポイント。

・本当に必要な保障か

保険料との兼ね合いで必要な保障の見極めが大事になります。貯蓄で備えられるものは保険にこだわらずに備える柔軟さも必要かもしれません。

・相続対策が必要なら終身保険で対策を

資産状況から相続対策が必要かもと思ったときは、専門家に相談をして、早めに対策をとりましょう。

●保険不要派の人は?

主には貯蓄が多い方ですが、保険(特に医療保障)は不要、という方がいます。公的保障と貯蓄で備える覚悟ができている方は、疾病の罹患率が50代から右肩上がりに増えるデータを見てもぶれません。

その場合は、医療保障専用の銀行口座を開き、300万円ほどを確保しておきましょう。通帳がある場合は、「医療用」と書いてしまってもいいでしょう。他の資金と区分しておくことが大事だと思います。ただし、休眠預金とならないような対処も必要です。

●今後50年を支えてくれるか?

実は、保険の終活を行う際の問題はこれ。50代で見直しをしても、100歳までなら40~50年あります。その間、保障が陳腐化しないか(医療保障・がん保障等)、あるいは死亡保険や貯蓄型保険、そのほかの保険の保障額自体も、物価上昇に負けることはないか(インフレリスク)、といった心配があります。

保険会社の勉強会に参加して商品開発の方にお会いする際にお願いしていますが、保険料負担が大きくなることなく、残りの期間を支えてくれるような仕組みをぜひとも作ってほしいと願っています。

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永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから高齢者まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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