教育資金は「ジュニアNISA」で貯めてはいけない!?

(写真:アフロ)

教育資金を準備するのに「ジュニアNISA」(未成年者少額投資非課税制度)を利用している人や、これから利用しようと考えている人は、本当に自分に合っているか、1度しっかり考えてみましょう。

2023年で「ジュニアNISA」は廃止になります。それまでに始めた場合は、19歳まで継続できます。

■教育資金の目標額300万~500万円

子どもの教育費は、幼稚園から大学までの合計では1,000万~3,000万円程度と、進路によって大きく異なります。

教育資金の準備は、私立中心の進路の場合を除き、最も負担が重くなる大学時代に備えて一定額を貯めておくことが基本です。高校まで公立中心の場合は、一般的に大学に通う時期が最も負担が重くなります。

高等教育無償化の対象になる世帯以外は、変わらず親がある程度準備をしておく必要があります。教育資金の目標額は高く設定するにこしたことはありませんが、漠然と「大学まで通わせたい」と考えている場合、300万~500万円は用意しておきたいもの。不足分は、家計から補う、あるいは奨学金を借りるなどすればどうにかなるラインです。

児童手当がもらえる世帯では、0歳からの分を全額貯めておけば、中学卒業までに約200万円貯めることができます。これにお年玉やお盆玉、お祝いを貯め、さらに独自に月5,000円程度の積立てを行えば、中学卒業までに300万円を貯めることは決して高いハードルではないといえるのではないでしょうか。

■「ジュニアNISA」の概要

さて、教育資金を貯める方法の1つとして紹介されることが多い「ジュニアNISA」について整理してみましょう。

「ジュニアNISA」は教育資金など子どもの将来のための資産形成をサポートする非課税制度で、口座開設ができるのは、日本に住む0~19歳(1月1日時点)です。管理・運用は親など親権者等が行います。

証券会社を決めて、子ども名義で「ジュニアNISA」の口座を開き、上場株式、ETF、投資信託に投資することができます。配当や売却益が出た場合に非課税になる仕組みで、投資枠は年間80万円までです。現在、新規で口座が開設できる期間は2023年までとなっています。

非課税期間は5年ですが、5年経って非課税期間が終了するときは、金融商品を時価で翌年の非課税枠に移す「ロールオーバー」を行うこともできます。ただし、最初に選んだ証券会社を移動することはできません。

「ジュニアNISA」は、高3の12月末まで(子どもが3月31日時点で18歳である年の前年の12月末まで)に出金をすると、課税されてしまうのが注意点です。

「ジュニアNISA」の概要

対象者:日本在住、0~19歳(1月1日時点)

非課税投資枠:80万円/年

非課税期間:最長5年間

口座開設期間:2023年まで

対象商品:上場株式、ETF、投資信託

非課税対象:配当金・売却益

運用方法:通常買い付け・積立投資

運用は?:親権者等

途中引出し:18歳まで原則できない(災害時等を除き、途中で払出しをした場合、それまでに生じた利益・配当がすべて課税)

金融機関の変更:不可

■「ジュニアNISA」で教育資金を貯めてはいけない?

「ジュニアNISA」は教育資金など子どもの将来のための資産形成をサポートする制度ですが、あくまでも個人的な見解ですが、教育資金を準備するには決して適しているといえない面があります。個人的にはむしろ、後述する「つみたてNISA」の方が向くのではないかと思っています。

その理由として、次の3点が挙げられます。

まず1つは、「ジュニアNISA」では推薦入試だった場合の学校納入金に間に合わないことが挙げられれます。推薦入試の場合、入学金などの納入金の支払いが10~11月頃となるため、高3の1月以降の出金では間に合いません。それまでの非課税メリットを諦めればいいかもしれませんが、であれば「ジュニアNISA」を利用する意味がなくなります。現在、大学・専門学校への進学の半数近くが推薦入試やAO入試であることからも、慎重に検討すべき点ではないでしょうか。

「つみたてNISA」なら、タイミングを気にせず利用できます。「ジュニアNISA」を活用するなら、少なくとも、入学金などは別の方法で用意しておくことが大事です。

2つめは、運用リスクは少しでも軽減したいためです。「ジュニアNISA」では、よく「子どもの金融教育のために親子で株式の銘柄選びを」などと言われることもあります。それはそれで有効かもしれませんが、個別銘柄投資はビギナーにはややレベルが高いもの。本来であれば、必要な時期が確定している教育資金は、少しでも安全性が高い商品で運用するのが基本です。

投資のリスクについて軽減につながるのは、長期のスタンスで行う投資信託の積立とされています。その点からも「つみたてNISA」の方が向くといえそうです。

また、3つめとして、「ジュニアNISA」でも投資信託の積立てを設定することは可能ですが、「つみたてNISA」の方がコストが低めで長期投資に向く商品が多い場合があるという点も挙げておきます。

■「つみたてNISA」の概要

2015年に「一般NISA」、2018年から「つみたてNISA」が始まり、20歳以上であれば、いずれか一方を利用することができます。口座数では、最初に始まった「一般NISA」が約1162万口座とダントツで、「つみたてNISA」が約148万口座、「ジュニアNISA」が約33万口座です(2019年6月末)。

投資のリスクを軽減する方法として、長期で運用する、資産を分散する、投資タイミングを分散する(積立投資)、が挙げられます。「つみたてNISA」はこの3拍子揃った理想形といわれています。

「つみたてNISA」を利用できるのは、日本に住んでいて、その年の1月1日の時点で20歳以上の人です。子ども名義では利用できませんので、実際に教育資金のために利用する場合は、親の口座を利用することになります。非課税の投資枠は、新規投資額で1年間に最大40万円。保有期間が20年間のため、40万円×20年=最大800万円まで投資できます。

対象となる投資信託は、金融庁が定めた条件に合う、ローコストで運用実績のある商品に限定されていることから、ビギナーでも始めやすいという特徴があります。

「一般NISA」「ジュニアNISA」は5年経過した場合、ロールオーバーをして資産をそのまま非課税口座に置くこともできます。とはいえ、「つみたてNISA」なら、最長20年の範囲で積立もでき、運用をすることもできるという安心感は大きいのではないでしょうか。

「つみたてNISA」の概要

対象者:日本在住で20歳以上(1月1日現在)

非課税投資枠:年40万円(累積800万円)

非課税期間:最長20年間

口座開設期間:2037年

対象商品:国の基準を満たした長期投資に向く投資信託等

非課税対象:配当金・売却益

運用方法:積立投資

途中引出し:いつでも可能

金融機関の変更:可能

■教育資金なら投資性の商品は3割程度までに

インフレリスクに備える意味でも、教育資金の一部に投資を加えるのは一法ですが、リスクがあるため、3割程度以内を目安に抑えるのが基本です。残りは、利率は低くても安全性の高い商品を組み合わせるといいでしょう。

値動きのある商品は投資信託や株式等だけでなく、外貨建て商品も含まれます。引き出すべきタイミングで運悪く価格が下がっていたりすることもあるため、運用比率を高めすぎないことも大事です。

また、値動きのある商品で教育資金を準備する際には、出口戦略も大事です。必要となる時期の2~3年前になったら、値動きを見ながら段階的に運用を終えていくようにしましょう。外貨建て商品なども同様です。

※投資をされる際は、ご自身の判断で行ってください。

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