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和牛オリンピックで3大会連続で優勝した黒毛和牛は? 海の幸と山の幸をふんだんに用いた料理の全容

東龍グルメジャーナリスト
パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル」 (C) 東龍

宮崎の食材

宮崎にどういったイメージをもっているでしょうか。

食に関しては、超高級なマンゴーや和牛のオリンピックと称される全国和牛能力共進会で優勝にあたる内閣総理大臣賞を3大会連続で受賞した宮崎牛などが挙げられるかと思います。

他にも、みやざき地頭鶏、霧島三元豚、キャビアからキュウリ、ピーマン、シイタケ、日向夏や不知火など、有名食材が目白押しです。

この宮崎の豊富な食材を用いた贅沢なフェアが、あるホテルのレストランで行われています。

それはパーク ハイアット 東京の「ニューヨーク グリル」。

2022年3月7日から4月30日まで、スペシャルメニュー「ランド オブ マウンテン&シー ~ 宮崎」が提供されており、宮崎食材がふんだんに用いられています。

「ランド オブ マウンテン&シー ~ 宮崎」とは

パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル」で料理長を務めているのは、オーストラリア出身のポール ガヤフスキー氏。世界のレストランで研鑽を積み、2019年11月から現職に就いた実力派の料理人です。

そのポール氏が紡ぎ出した「ランド オブ マウンテン&シー ~ 宮崎」(5品のコース 23,100円、4品コース 19,800円、共に税込・サ別)は次の通り。

ランド オブ マウンテン&シー ~ 宮崎

・グリーンピースのタルト ベーコンビネグレット オリーブオイルキャビア

・カンパチのシトラスマリネ チャイブとバターミルクドレッシング 茗荷のピクルス キャヴィアリバエリキャビア

・宮崎県産もち麦と菜の花のリゾット 帆立貝のグリル クラムのフォーム

・伊勢海老のグリル 人参のピューレ サリコニア 伊勢海老のブールブランソース

・ピンクグレープフルーツとオレンジビターズのグラニテ チェリーソルベ ソレル

・宮崎牛サーロインのグリル ほうれん草のピューレ 黒皮かぼちゃのグリル シェリーヴィネガービーフジュ

・シトラスラムのババ ブラッドオレンジクリーム 蜜柑ママレード 柚子ソルベ

※4品コースは伊勢海老のグリルを除く

コースに最適な5杯のワインペアリング(9,350円、税込・サ別)も用意されているので、マリアージュも楽しみたければオーダーすることをオススメします。

では、宮崎の食材を用いた料理を詳しく紹介していきましょう。

グリーンピースのタルト ベーコンビネグレット オリーブオイルキャビア

グリーンピースのタルト ベーコンビネグレット オリーブオイルキャビア (C) 東龍
グリーンピースのタルト ベーコンビネグレット オリーブオイルキャビア (C) 東龍

最初のアミューズは宮崎のグリーンピースを用いた温かいタルトレット。一口で食べると、塩味や酸味、旨味など、様々な食味のハーモニーを楽しめます。クリームのなめらかさ、ディルの鮮烈な香りが印象的。

カンパチのシトラスマリネ チャイブとバターミルクドレッシング 茗荷のピクルス キャヴィアリバエリキャビア

カンパチのシトラスマリネ チャイブとバターミルクドレッシング 茗荷のピクルス キャヴィアリバエリキャビア (C) 東龍
カンパチのシトラスマリネ チャイブとバターミルクドレッシング 茗荷のピクルス キャヴィアリバエリキャビア (C) 東龍

フレッシュなカンパチを爽やかにマリネ。チャイブのドレッシングとバターミルクのドレッシングが合わせられており、ミョウガのピクルスによる香味がアクセント。全ての要素を一緒にしてから食べると、ちょうどよく調和します。ハーブとシトラスによる色合いのコンビネーションも美しいです。

宮崎県産もち麦と菜の花のリゾット 帆立貝のグリル クラムのフォーム

宮崎県産もち麦と菜の花のリゾット 帆立貝のグリル クラムのフォーム (C) 東龍
宮崎県産もち麦と菜の花のリゾット 帆立貝のグリル クラムのフォーム (C) 東龍

宮崎のもち麦を用いたリゾットは、旬の食材であるほろ苦い菜の花のソースと合わせました。上には旨味たっぷりのアサリのムースと、焼き色がついた香ばしい帆立貝のグリル。

伊勢海老のグリル 人参のピューレ サリコニア 伊勢海老のブールブランソース

伊勢海老のグリル 人参のピューレ サリコニア 伊勢海老のブールブランソース  (C) 東龍
伊勢海老のグリル 人参のピューレ サリコニア 伊勢海老のブールブランソース (C) 東龍

九州産の大きな伊勢海老のグリルは、濃厚な味わいです。伊勢海老の出汁、白ワインとバターでつくられたソースは、品のある食味。ホワイトアスパラガス、シーアスパラガス、ニンジンのピューレが添えられています。

宮崎牛サーロインのグリル ほうれん草のピューレ 黒皮かぼちゃのグリル シェリーヴィネガービーフジュ

宮崎牛サーロインのグリル ほうれん草のピューレ 黒皮かぼちゃのグリル シェリーヴィネガービーフジュ (C) 東龍
宮崎牛サーロインのグリル ほうれん草のピューレ 黒皮かぼちゃのグリル シェリーヴィネガービーフジュ (C) 東龍

宮崎牛サーロイン(約110g)は、赤身の旨味を携えており、表面はカリッとグリル。宮崎牛の出汁と宮崎の醤油、赤ワイン、シェリービネガーの酸味のあるソースによって軽やかに感じられます。さっぱりとした味わいの宮崎の黒皮かぼちゃは、形を残したり、スライスしたりして、テクスチャの変化を演出。

シトラスラムのババ ブラッドオレンジクリーム 蜜柑ママレード 柚子ソルベ

シトラスラムのババ ブラッドオレンジクリーム 蜜柑ママレード 柚子ソルベ  (C) 東龍
シトラスラムのババ ブラッドオレンジクリーム 蜜柑ママレード 柚子ソルベ (C) 東龍

宮崎のシトラスラムを使ったババです。クラシックなお菓子ですが、三日月を象ったプレゼンテーションが優雅。クッキーやユズのソルベなどが用いられており、様々な食感が楽しいです。

宮崎をテーマにしたカクテル

左が「シトラス スマッシュ」、右が「ヒュウガ サワー」 (C) 東龍
左が「シトラス スマッシュ」、右が「ヒュウガ サワー」 (C) 東龍

料理だけではなく、宮崎をテーマにしたカクテルも用意されています。

「シトラス スマッシュ」(2,640円、税込・サ別)は金柑、1983 J.キャビアウォッカ、コアントロー、グレープフルーツ、エルダーフラワーシロップ、ソーダを用いた、軽やかで爽やかなロングカクテルです。

「ヒュウガ サワー」(2,640円、税込・サ別)は日向夏、本格芋焼酎「㐂六」、オレンジアンドローズマリービターズ、シュガーシロップ、卵白という構成。口当たりがやわらかながらも、パンチ力のあるショートカクテルに仕上げています。

フェアが行われた背景

ポール ガヤフスキー氏 (C) パーク ハイアット 東京
ポール ガヤフスキー氏 (C) パーク ハイアット 東京

宮崎の食材を豊富に用いた特別感のあるコースでしたが、どのような経緯で企画されることになったのでしょうか。

料理長のポール氏は答えます。

「宮崎食材のクオリティに魅了され、宮崎の肉や魚介類、野菜や果物に焦点を当てたメニューに挑戦したいと思いました。宮崎は日本の中でも早くから春の訪れが感じられるので、この時期に最適な地域です」

昨年からポール氏は、宮崎食材の素晴らしさを知り、地道に研究を重ねてきました。そこから試作を繰り返し、メニューが最終的に完成したのは2022年2月中旬。春にしか食べられない旬の味覚を使用した内容に紡ぎ上げました。

宮崎食材のどこに惹かれたのでしょうか。

「豊かな自然環境が育む食材の多様性、生産者の高い技術や情熱に感銘を受けました。食材が素晴らしいので、あえて調理工程で手を加え過ぎず、本来の味わいを生かすように心がけています」

特にこだわったメニューはリゾット。

通常では、コースの2品目は通常スープを用意することが多いですが、今回は新しい変化を加えたいと考えて「宮崎県産もち麦と菜の花のリゾット」を入れました。

「もち麦はシンプルで素朴な食材なので、『ニューヨーク グリル』らしい料理に仕上げるためにアイデアと工夫を要しましたが、楽しい作業でした。完成までに3週間を要し、満足いく出来栄えになったので、是非ともご賞味ください」

最後にポール氏は力を込めて述べます。

「宮崎には本当にユニークな食材がたくさんあります。今後もプロモーションなどで、宮崎食材の素晴らしさを伝えることができれば嬉しいですね」

食に力を入れる宮崎

宮崎県は、フードビジネスに取り組む事業者などを対象とした人材育成プログラム「ひなたMBA(フードビジネス部門)」を実施。この取り組みの一環として、宮崎食材を促進する「MIYAZAKI FOOD AWARD 2022」も開催しました。

パーク ハイアット 東京「ニューヨーク グリル」は、東京の中でもいち早くサステナビリティに力を入れたファインダイニングであり、環境への配慮を欠かしていません。

このように食産業を大切にする「ニューヨーク グリル」と宮崎とのコラボレーションを味わうためにも、ポール氏による「ランド オブ マウンテン&シー ~ 宮崎」を是非とも体験してみてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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