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帝国ホテル 東京のレストランがリニューアル あの人気料理も復刻して目の前でつくってもらえる!

東龍グルメジャーナリスト
帝国ホテル 東京「ラ ブラスリー」 (C) 東龍

伝統の帝国ホテル

帝国ホテルは130年以上の歴史を有する老舗の高級ホテル。そのフラッグシップである帝国ホテル 東京は、食が非常に充実しています。

ミシュランガイド一つ星フレンチの「レ セゾン」、できたての料理を好きなだけ味わえるブフェレストラン「インペリアルバイキング サール」、洋食を気軽に楽しめるオールデイダイニング「パークサイドダイナー」、ブッチャーが目利きした黒毛和牛を堪能できる鉄板焼「嘉門」、本場パリの息吹が感じられ、カジュアルに料理やワインを味わえる「ラ ブラスリー」と、魅力的なレストランばかり。

「嘉門」が2018年3月7日に、「インペリアルバイキング サール」が2020年8月1日にリニューアルオープンして大きな話題を呼んだのも、記憶に新しいところです。

そして2021年11月1日にも、レストランに大きな動きがありました。

「ホテルバル」と「帝国ホテル 寅黒」がオープン

それは、「ラ ブラスリー」のコンセプトやメニューが一新されたこと、そのバルエリアが改装されて「ホテルバル(和 × 洋スタイル)」が誕生したことです。さらにはミシュランガイドで三つ星をもつ石かわグループとタッグを組み、日本料理「帝国ホテル 寅黒」が「ラ ブラスリー」の向かいに開業しました。

ホテルバル (C) 東龍
ホテルバル (C) 東龍

「ホテルバル」は「Bleu Bar」をコンセプトにしたインテリアで、青が基調となったモダンな雰囲気。帝国ホテル 東京料理長である杉本雄氏がプロデュースしたフランス料理15品に加えて、石かわグループが考案した日本料理15品が味わえます。

料理、ドリンク共に価格帯が880円、1,650円、2,640円(いずれとも税・サ込)とわかりやすくカテゴライズされており、良心的な値段で明朗会計。QRコードを読み込んで、スマホからオーダーできます。

料理とお酒が充実

ロッシーニ風串カツ サステナブルソルト (C) 東龍
ロッシーニ風串カツ サステナブルソルト (C) 東龍

「ロッシーニ風串カツ サステナブルソルト」(1,650円、税・サ込)はフォアグラでフィレ肉を挟み、周りにホウレンソウのパン粉をまとわせて揚げた一品。

ロッシーニを串カツにするとは、クリエイティビティ溢れる杉本氏らしい発想です。フードロス(食品ロス)削減の観点から、食材をおいしく活用してつくられた自家製サステナブルソルトが添えられているので、軽くまぶして食べるとよいでしょう。

シャンパーニュの「ランソン ブラックラベル ブリュット」 (C) 東龍
シャンパーニュの「ランソン ブラックラベル ブリュット」 (C) 東龍

バルらしくお酒も充実しており、ソムリエが厳選するシャンパーニュをはじめとしたスパークリングワイン、白ワインや赤ワインのほかに、ビール、スピリッツ、日本酒も用意。好きなお酒を料理と一緒に楽しめます。

さらにはサブスクリプションも開始しました。

月額10,000円(税込)のプレミアムプランはすぐに完売。2人から4人の来店で、注文した料理とドリンクが50パーセントも割引されて非常にお得です。月額8,800円のワンドリンクプランも用意。メンバーは1日1杯ドリンクが無料になります。

大きく生まれ変わった「ラ ブラスリー」

ラ ブラスリー (C) 東龍
ラ ブラスリー (C) 東龍

「ホテルバル」ができたことだけでも大きなニュースですが、新しく生まれ変わった「ラ ブラスリー」にも注目したいです。以前とインテリアは同じですが、コンセプトがオープン当初に掲げられていた本場のブラスリーに回帰しました。

帝国ホテル伝統の料理として「伝統のダブルビーフコンソメスープ」「海老と舌平目のグラタン エリザベス女王風」「シャリアピンステーキ」は残されていますが、他のメニューはほぼ全て杉本氏のもとで刷新されています。

コース料理も用意されていますが、好きなように自分でオーダーするのが本場ブラスリーの魅力。いくつかの代表的なメニューを紹介していきましょう。

※以下、全て金額は税込・サ別

テリーヌ・トラディッション(1,500円)

テリーヌ・トラディッション (C) 東龍
テリーヌ・トラディッション (C) 東龍

テリーヌ5種類がのせられたワゴンがテーブルまで運ばれて来て、好きなものを選んで切り分けてもらえます。800円追加すれば2種類選択することも可能。

それぞれのテリーヌは、やわらかさや形状によって最適な並べ方になっています。プレゼンテーションが違っているので見ているだけで楽しめることでしょう。

写真の左から順番に、周りをベーコンで包んだ鶏肉のテリーヌ、鹿肉のテリーヌ、スモークサーモンとオマール海老のテリーヌ、約12種類の野菜テリーヌ、豚肉のパテ・ド・カンパーニュ。付け合せもそれぞれ異なっています。

オーソドックスなのは脂がのったパテ・ド・カンパーニュで、さっぱりしたいなら野菜テリーヌ。なめらかな口当たりを楽しむのならスモークサーモンとオマール海老のテリーヌがよいでしょう。

海老のニンニク・パセリソテー(2,500円)

海老のニンニク・パセリソテー (C) 東龍
海老のニンニク・パセリソテー (C) 東龍

プリプリとした大きなエビがソテーされ、ニンニクとパセリの香りが食欲をそそります。ソースがとてもおいしいので、さらさらしたお米の「バスマチライス」(500円)を浸して食べるのがオススメです。

経産牛フィレ肉のペッパーステーキ(3,500円)

経産牛フィレ肉のペッパーステーキ (C) 東龍
経産牛フィレ肉のペッパーステーキ (C) 東龍

仔牛を産んだ雌牛、つまり経産牛を主役に据えたステーキ。フィレ肉は厚みがあり、ペッパーが適度に効いています。脂が少なく、赤身の旨味がふんだんに堪能できることでしょう。シラーのようなちょっとスパイシーなワインと相性が抜群です。

低温調理したイチボ肉のタルタル仕立て(3,700円)

低温調理したイチボ肉のタルタル仕立て (C) 東龍
低温調理したイチボ肉のタルタル仕立て (C) 東龍

低温調理したイチボ肉のタルタル仕立て (C) 東龍
低温調理したイチボ肉のタルタル仕立て (C) 東龍

以前提供されていたメニューがアレンジを加えて復刻しました。目の前でタルタルをつくってもらえますが、これも他ではなかなか体験できません。胡椒、マスタードソース、オリーブオイル、タバスコ、ウスターソースで味付けされ、複雑な風味。イチボ肉はちょうどいい温度で、肉のフレッシュな甘味も感じられます。

ワゴンデザート(1,200円)

ワゴンデザート (C) 東龍
ワゴンデザート (C) 東龍

ミックスベリータルトとミルフィーユ (C) 東龍
ミックスベリータルトとミルフィーユ (C) 東龍

ワゴンからケーキを選ぶことができます。500円で1ピースを追加できるので、デザートをたくさん食べたい人には嬉しいところ。

写真の左から順番に、バナナとパッションフルーツのクリームケーキ、チョコレートとオレンジのケーキ、ミックスベリータルト、ミルフィーユです。

ミックスベリーのタルトはストロベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、ラズベリーがたっぷりのせられていて、カスタードクリームとの相性も抜群。ミルフィーユはムースリーヌのバターの香りが素晴らしく、パイ生地もサクサクです。

「ラ ブラスリー」「ホテルバル」の特長

「ラ ブラスリー」と「ホテルバル」を紹介してきましたが、改めてその特長について触れていきましょう。

どちらにも共通する素晴らしいところは、杉本氏の料理を堪能できることです。杉本氏は巨匠アラン・デュカス氏と天才ヤニック・アレノ氏のもとで薫陶を受けた異才。38歳で350人もいる料理人のトップに立つ帝国ホテル 東京料理長に就任しました。この杉本氏が監修した料理が食べられるのが、何よりも大きな特長であるといえます。

次に言及したいのは、SDGsに力を入れていること。経産牛や養殖の魚、切り分ける時に余った食材を活用したり、メインディッシュの付け合せを選べるようにして食べ残しを削減したりしています。これからの時代はただおいしいだけではいけません。地球や環境に配慮しながら、おいしいものを提供していくことが重要です。

スマホでのオーダー (C) 東龍
スマホでのオーダー (C) 東龍

最先端の仕組みを取り入れていることにも注目。スタッフが目の前でサービスするゲリドンサービスを採用したり、本日のメニューを記載した黒板を活用したりと、クラシックなスタイルを踏襲する一方で、価格帯をわかりやすくカテゴライズしたり、店内の基調を青に変えて壁にペインティングしたり、QRコードでのオーダーやサブスクリプションを導入したりと、数々の先進的な試みが行われています。

杉本氏の想いがつくりあげた

「ラ ブラスリー」はお酒を楽しむという業態であるだけに、コロナの影響を強く受けました。2020年4月から休業し、その時に今後のことも考えて、新しくリニューアルすることになったのです。

「本場ブラスリーの魅力を知ってもらいたい」「おいしいものをリーズナブルに味わってもらいたい」という杉本氏の想いが「ラ ブラスリー」と「ホテルバル」をつくりあげました。

ブラスリーやバルは料理と共にお酒を味わう空間。緊急事態宣言も解除され、人々が料理とお酒を楽しめるようになった時期に、「ラ ブラスリー」がリニューアルし、「ホテルバル」がオープンしたことは、料理とお酒を愛する人にとって非常に喜ばしいことではないでしょうか。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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