3人もの新料理長が誕生した有名ホテルはどこ? 東京で唯一の黒毛和牛を用いたコースとは?

パーク ハイアット 東京提供

新料理長の就任

レストランの大きな節目は料理長、つまり、シェフが就任する時です。

料理長がメニューやレシピを考えるので、新しい料理長になると料理が刷新されたり、レシピが新しくなったりします。

メートル・ドテルがかわればサービスや雰囲気が一変し、シェフソムリエがかわれば合わせられるワインが変化するでしょう。

ただ、多くのゲストは料理を食べるためにレストランに訪れているので、サービスやワインよりも、料理が変化することの方が大きなインパクトを与えます。

同じホテルの3レストランで新たな料理長が誕生

料理長が新しくなった時、そのホテルやレストランのファンは当然のことながら、レストランガイドやメディア、食通や美食家、フーディーたちも注目します。

レストランにとって料理長の就任はそれほどの一大事です。

そしてここ最近、ある美食ホテルで、新料理長が誕生しました。それも、主たる3レストラン全てで料理長が新しくなったのです。

そのホテルとは、1994年にオープンし、映画「ロスト・イン・トランスレーション」の舞台にもなったパーク ハイアット 東京。

シグネチャーレストラン「ニューヨーク グリル」、日本料理「梢」、そしてヨーロピアンブラッセリー「ジランドール」といったファインダイニングで新しい料理長が誕生したのです。

トーキョー トゥ テーブル

新料理長の就任に合わせて、「トーキョー トゥ テーブル」というプログラムが展開されています。

今年はオリンピックイヤーということだったので、パーク ハイアット 東京は食でも東京にこだわり、3レストランで東京の食材を用いた特別なメニューを提供しているのです。

トーキョー トゥ テーブル

  • ニューヨーク グリル

2020年3月9日~4月30日

2020年4月3日~26日

  • ジランドール

2020年5月11日~31日

※スケジュールや営業時間の変更がある場合がありますので、最新の情報は公式サイトをご確認ください。

「トーキョー トゥ テーブル」はそれぞれのレストランで同時にではなく、少し時期をずらして行われています。

それぞれのレストランの新料理長や「トーキョー トゥ テーブル」へのこだわりについて紹介していきましょう。

ニューヨーク グリル

「ニューヨーク グリル」は最上階にあって素晴らしい眺望を有しており、レストランガイド本「ザガット サーベイ 東京」で1位を獲得したこともある、東京のオシャレなグリルレストランの先駆け。

料理長に就任したのはオーストラリア出身のポール ガヤフスキー氏です。

世界中の食通を魅了したデンマーク、コペンハーゲンの「NOMA(ノーマ)」、パリでも最高峰のファインダイニング「Guy Savoy(ギィ サヴォワ)」や「L’Atelier(ラトリエ)」で研修をした経験もあります。

シンガポールの「Tippling Club(ティップリングクラブ)」では26歳で料理長となり、2014年「アジアのベストレストラン50」も受賞。

そして、2019年11月から「ニューヨーク グリル&バー」料理長に就くことになりました。

料理長に選ばれた理由

「ニューヨーク グリル&バー」料理長のポール ガヤフスキー氏/ホテル提供
「ニューヨーク グリル&バー」料理長のポール ガヤフスキー氏/ホテル提供

ポール氏が料理長に選ばれた理由は次の通りです。

まず、数々の世界的に著名なレストランで経験を積み、実績を残した素晴らしい料理人であったこと。

次に「ニューヨーク グリル」に相応しく、素材の味わいを生かし、洗練された料理を生み出せることです。

料理長に就任した抱負

「ハイアットホテルズの中でも大きな注目を集めるレストランで腕をふるうことができるのはとても嬉しい」とポール氏が述べるように、「ニューヨーク グリル」は数あるハイアットホテルズのレストランの中でもトップの売上。

「シンプリシティを追求し、日本の食材を活かし、自分だからこそ生み出せるメニューを提供したい」と素材を大切にしたいとも述べます。

「トーキョー トゥ テーブル」への意気込み

「トーキョー トゥ テーブル」では東京で唯一の黒毛和牛である秋川牛をメインディッシュに据え、東京しゃもの旨味を存分に引き出した前菜を提供。

「東京は大都会でありながら、上質な食材も生産されている。新たな東京の魅力を国内外のゲストに発信するよい機会になる」とポール氏はいいますが、それと同時に、東京の食材を使うことによって「ニューヨーク グリル」の新たな魅力も発見できる機会になるのではないでしょうか。

「梢」は四季折々の食材と熟練の技、大胆でありながらも繊細な盛り付けで魅了する日本料理店。海外のゲストからも非常に評価が高いレストランです。

その「梢」料理長に就任したのが吉田展大氏。1972年東京都生まれで、調理師学校を卒業後、都内の日本料理店で経験を積み、1996年にパーク ハイアット 東京へ入社しました。

2007年には副料理長へ昇進し、2020年2月から現職に就任したという経歴をもちます。

料理長に選ばれた理由

「梢」料理長の吉田展大氏/ホテル提供
「梢」料理長の吉田展大氏/ホテル提供

吉田氏が料理長に選ばれたのは、前料理長である大江憲一郎氏から絶大な信頼を寄せられていたことも大きく影響しました。

大江氏は1994年のホテル開業時メンバーで、「梢」の礎を築き、名店として確立させた料理人。

2020年に定年退職するにあたり、後継者として任命されたのが、「梢」の全てを知り尽くした吉田氏だったのです。

料理長に就任した抱負

吉田氏は「日本料理の枠にとどまらない美学が息づく独特のスタイルを踏襲しつつ、自分ならではのエッセンスを加え、より魅力的に進化させたい」といいます。

メニュー全体と器のバランス、味・旬・色・香りなどを考えた食材の組み合わせを重視しているので、これまでの「梢」と同様に精緻さとダイナミックさが同居した日本料理を楽しめるのは間違いないでしょう。

「トーキョー トゥ テーブル」への意気込み

「トーキョー トゥ テーブル」については「今一度、東京、さらには江戸の食材、伝統、料理を掘り下げ、自分なりの東京を料理で表現できるようにしたい」と謙虚なコメントを残します。

東京近海でとれるアサリ、ハマグリ、サヨリ、アナゴに加えて、芝公園の側で日本酒を造っている「若松屋 東京港醸造」の日本酒も提供する予定です。

素晴らしい東京の食材が使われるので、新生「梢」の舵取りをする吉田氏にとっては最高のスタートを切ることになるのではないでしょうか。

ジランドール

「ジランドール」はヨーロピアンブラッセリーを彷彿させる開放的な雰囲気のなか、フレンチスタイルの上質な味わいを体験できるオールデイダイニング。

新料理長に選ばれたのは堤耕次郎氏。

フランスや日本のレストランで14年間研鑽を積み、2007年にパーク ハイアット 東京入社。それ以来「ジランドール」のキッチンに立ち、2014年に副料理長へ昇進しました。

2019年12月に料理長へと昇格します。

料理長に選ばれた理由

「ジランドール」料理長の堤耕次郎氏/ホテル提供
「ジランドール」料理長の堤耕次郎氏/ホテル提供

堤氏が料理長に選ばれたのは、「ジランドール」において長年の経験があり、全てにおいてきめ細やかに対応する技術と洗練された感性を有しているからです。

さらには、チームをまとめていくマネジメント力があることも大きな理由であったといいます。

つまり、堤氏は調理のスキルと感性はもちろん、マネジメント力もある、一流ホテルの料理人に必要な要素を併せ持っているのです。

料理長に就任した抱負

堤氏は「長年の経験を活かし、継続していく部分と革新していく部分を見極めながら進化させていきたい」と述べます。

「食材の命をいただいていることに感謝しながら調理し、ゲストに喜びや幸せをお届けしたい。作り手の思いをストレートに感じていただける料理を心がけている」と食材への敬意も口にします。

「トーキョー トゥ テーブル」への意気込み

自身が東京生まれ、かつ、東京育ちであることから、東京の食の魅力を提供できる「トーキョー トゥ テーブル」の開催に喜びを感じているといいます。

よい食材を求めて自ら農園に赴き、生産者と種付けの段階から話し合いを重ねていき、東京近郊の野菜にスポットをあてたいということです。

「ジランドール」は正統派のヨーロピアンキュイジーヌを提供しているイメージがありますが、東京を愛する堤氏によって、東京の魅力も存分に伝えられるのではないでしょうか。

「ニューヨーク グリル」の「トーキョー トゥ テーブル」

どのレストランともに新しい料理長となって、これからがますます楽しみなところですが、今最も注目したいのが「ニューヨーク グリル」。

なぜならば、最初に「トーキョー トゥ テーブル」が行われているレストランだからです。

そのコース内容は以下の通り。

  • ラングスティーヌのポーチ 黄ズッキーニと紅芯大根 サフランとベルジュースのアイオリ オリーブオイルキャビア
  • 東京しゃもとフォアグラのバロティーヌ 菊芋のチップと小蕪 黒トリュフのヴィネグレット
  • サステナブルカナディアンロブスターのスチーム フェンネルシード 茗荷のピクルス ロブスタービスクフォーム
  • シャンパンと日向夏のグラニテ マンゴーシャーベット
  • 秋川牛サーロインのグリル ホワイトアスパラガスとハーブクラスト ブラックガーリックのピューレ 赤ワインソース マスタードムースリーヌ
  • 桜のクリーム バニラババロアと抹茶ムース
  • コーヒー

東京しゃもや秋川牛といった東京ブランドの食材を使用したメニューに加えて、3グラスもしくは4グラスのワインペアリングも用意されているので、各料理とのマリアージュも存分に楽しめることでしょう。

ラングスティーヌのポーチ 黄ズッキーニと紅芯大根 サフランとベルジュースのアイオリ オリーブオイルキャビア

ラングスティーヌのポーチ 黄ズッキーニと紅芯大根 サフランとベルジュースのアイオリ オリーブオイルキャビア/著者撮影
ラングスティーヌのポーチ 黄ズッキーニと紅芯大根 サフランとベルジュースのアイオリ オリーブオイルキャビア/著者撮影

一皿目から、高級魚介類であるラングスティーヌ(アカザエビ)がたっぷりと使われた料理が現れます。ズッキーニや紅芯大根といった穏やかな味わいの野菜との相性がよく、ガーリックの風味が食欲をかきたてます。エディブルフラワーやオリーブオイルのキャビアがアクセント。

東京しゃもとフォアグラのバロティーヌ 菊芋のチップと小蕪 黒トリュフのヴィネグレット

東京しゃもとフォアグラのバロティーヌ 菊芋のチップと小蕪 黒トリュフのヴィネグレット/著者撮影
東京しゃもとフォアグラのバロティーヌ 菊芋のチップと小蕪 黒トリュフのヴィネグレット/著者撮影

東京しゃもは食味と歯応えとがしっかりとしている、軍鶏の血を引く東京のブランド鶏。鶏肉の味わいが全てを決定するバロティーヌに用いるには相応しい食材です。

フォアグラによって口当たりがなめらかになり、さらにリッチな味わいとなっています。キクイモのチップスやカブ、マーシュなど、賑やかな取り合わせ。

サステナブルカナディアンロブスターのスチーム フェンネルシード 茗荷のピクルス ロブスタービスクフォーム

サステナブルカナディアンロブスターのスチーム フェンネルシード 茗荷のピクルス ロブスタービスクフォーム/著者撮影
サステナブルカナディアンロブスターのスチーム フェンネルシード 茗荷のピクルス ロブスタービスクフォーム/著者撮影

身の肥えたカナダ産ロブスターの旨味を生かしたスチーム。鮮やかな色合いが目を引きます。ロブスターのビスクも非常に濃厚です。ミョウガのピクルスで変化をつけ、フレッシュな東京野菜で軽めに仕上げています。

秋川牛サーロインのグリル ホワイトアスパラガスとハーブクラスト ブラックガーリックのピューレ 赤ワインソース マスタードムースリーヌ

秋川牛サーロインのグリル ホワイトアスパラガスとハーブクラスト ブラックガーリックのピューレ 赤ワインソース マスタードムースリーヌ/著者撮影
秋川牛サーロインのグリル ホワイトアスパラガスとハーブクラスト ブラックガーリックのピューレ 赤ワインソース マスタードムースリーヌ/著者撮影

秋川牛は東京で唯一の黒毛和牛です。A5ランクの肉が使われているので、脂がしっかりとしていて、赤ワインのソースとよく合っていました。

マスタードクリームは辛味があるので秋川牛に負けていません。ホワイトアスパラガスはハーブクラストを載せてカリッと焼いています。

桜のクリーム バニラババロアと抹茶ムース

桜のクリーム バニラババロアと抹茶ムース/著者撮影
桜のクリーム バニラババロアと抹茶ムース/著者撮影

バニラが香ばしいババロアと桜のクリームで華やかな風味。抹茶ムースのほんのりと感じられる苦味とよいバランスです。ラズベリーソースの酸味が、全体を引き締めています。

全ての「トーキョー トゥ テーブル」を楽しむ機会

「ニューヨーク グリル」「梢」「ジランドール」に就任した新しい料理長と、「ニューヨーク グリル」の「トーキョー トゥ テーブル」について詳しく紹介してきました。

それぞれの料理長は、パーク ハイアット 東京という非日常的なホテルのダイニングを担う料理人に相応しい研鑽を積んできているだけに、就任直後の「トーキョー トゥ テーブル」が注目されるところです。

3レストランのプログラム開催時期はずれているので、全てのレストランで「トーキョー トゥ テーブル」を体験してみて、その美食の違いを感じるのもよいかもしれません。