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平成最後の冬に訪れたい、都内屈指の三ホテルの中国料理とその背景

東龍グルメジャーナリスト
四川風麻婆白子 土鍋仕立て@ホテルオークラ東京/著者撮影

冬もおいしい中国料理

<2019年冬に注目したい三ホテルの美食フレンチとその背景>でも紹介したように、寒さが厳しくなってくると、しっかりとしたフランス料理が食べたくなるものです。

フランス料理に比べると、日本人が最もよく知る外国料理である中国料理はそれほど季節に影響されないように思います。

しかし、実は中国料理にとっても、フランス料理と同じように、この寒い時期はおいしい季節なのです。

「五畜の美味をかねる」といわれているスッポンや、中国料理の三大珍味のひとつである干しアワビを作るためのエゾアワビも今が旬です。体が温まる鍋料理も寒い冬になるとバリエーションが豊富になりますし、2月には大きなお祭りもあって食事が華やかになります。

平成最後の冬に訪れたい都内屈指のホテルの中国料理とその背景をご紹介しましょう。

龍天門(ウェスティンホテル東京)

姿鮑のオイスターソース煮込み@ウェスティンホテル東京/著者撮影
姿鮑のオイスターソース煮込み@ウェスティンホテル東京/著者撮影

正月は本来1月のことですが、現在では新年を祝う始めの数日間のことを指します。また、元日は1月1日、元旦が1月1日の朝です。

正月は新暦をもとにしていますが、旧正月は月の満ち欠けを基準にした旧暦をもとにしているので毎年同じにはならず、2つの正月は日がずれています。

旧暦では新年の始まりは、毎年だいたい1月21日から2月20日の間となっており、2019年は2月5日です。中国では、旧正月のことを、旧暦が農暦と記されることから、農暦新年と呼んだり、春節と呼んだりしています。

正月はもちろん、旧正月も新年を祝う大切なお祭りなので、普段は食べるのがもったいないような高級食材を使ったり、質も量もグレードアップしたりして、食事が豪華になることが一般的です。

そして、その豪華な旧正月の料理を楽しめるフェアが、この日本でも行われています。

それは、ウェスティンホテル東京「龍天門」で2019年1月29日から2月12日にかけて行われている「旧正月フェア」です。

「龍天門」は、総料理長である和栗邦彦氏が腕をふるう、本場の広東料理を堪能できる中国料理レストラン。

「旧正月フェア」では香港さながらの本格的な春節の祝宴が開催されており、乾杯のシャンパーニュを含む、ワイン、紹興酒のフリーフローも用意され、お祭りムード一杯のフェアになっているといってよいでしょう。

コース内容

燕の巣 蟹肉 蟹卵入りスープ@ウェスティンホテル東京/著者撮影
燕の巣 蟹肉 蟹卵入りスープ@ウェスティンホテル東京/著者撮影

「旧正月フェア」では以下のようなコースが提供されています。

旧正月特別ディナーコース

  • 農暦の祝いお刺身 香港スタイル
  • 水餃子
  • 姿鮑のオイスターソース煮込み
  • 燕の巣 蟹肉 蟹卵入りスープ
  • 活イセエビ 春雨にんにく蒸し
  • アイスバインの醤油煮込み レタス添え
  • イーフー麺
  • 中国餅 白玉入りお汁粉

まるごとのアワビ、ツバメの巣、カニ、イセエビなど高級食材が用いられていることからも、ハレの日を祝うためのコースであることは分かるでしょう。

それに加えて、中国や香港では験担ぎを大切にするので、それぞれの料理には、運気が向くようなこだわりも見掛けられます。

注目料理

活イセエビ 春雨にんにく蒸し@ウェスティンホテル東京/著者撮影
活イセエビ 春雨にんにく蒸し@ウェスティンホテル東京/著者撮影

「農暦の祝いお刺身 香港スタイル」は、中国料理にしては珍しく刺し身が提供されています。生魚は、お金に余裕があるという言葉と同じ発音なので、縁起がよいのです。サーモンとイクラ、カリカリの揚げワンタンに加えて、香港では珍しいコブミカンの葉が使われているので、東南アジアの香りが感じられます。

「姿鮑のオイスターソース煮込み」は、肉厚なアワビと相性のよい濃厚なオイスターソースで煮込まれています。オーソドックスな一品ですが、ナイフとフォークでいただく西洋スタイルになっているのは新鮮でしょう。アワビは小判型なので金運が上向くとされており、アワビを薄くスライスした金銭アワビといわれる料理もあるほどです。細い海藻である髪菜も加えられていますが、蓄財を意味する言葉と同じ発音で、これも縁起物。

「燕の巣 蟹肉 蟹卵入りスープ」はしっかりとしたコクがありながらも、さっぱりとした食後感となっています。真ん中にある球形のものは、ツバメの巣を包み込んだ生春巻です。ツバメの巣はコラーゲンたっぷりで健康によく、ツバメの家族が仲良く巣の中に集う様子から家族運が高まるとされています。

「活イセエビ 春雨にんにく蒸し」は、イセエビの身がぎゅっと引き締まっており、非常に旨味があります。風味豊かな魚醤のタレは、たっぷりと載せられた春雨にもよく合っているでしょう。揚げニンニクと蒸しニンニクが使われており、複雑な香ばしさを醸します。イセエビは龍蝦と書きますが、龍や馬は元気の象徴です。

アイスバインの醤油煮込み レタス添え@ウェスティンホテル東京/著者撮影
アイスバインの醤油煮込み レタス添え@ウェスティンホテル東京/著者撮影

「アイスバインの醤油煮込み レタス添え」は、沖縄県ブランド豚のキビまる豚が使われています。キビまる豚は、さとうきび、紅芋、薬草など、沖縄伝統の植物が飼料として与えられた豚で、独特の香りがある脂身とあっさりとして味わいやすい赤身が特徴。

キビまる豚の前すね肉を一度揚げてからタレで煮て、一晩寝かせ、骨を抜いて成形するなど、まる2日も時間をかけています。そのため、箸でも容易にカットできるほどのやわらかさとなっているのです。

豚の足は日本の招き猫と同じで、お金を呼び寄せるといわれています。レタスは財産を生むという言葉と同じ発音です。

「イーフー麺」は卵と小麦粉で打った麺を茹でてから揚げ、さらに湯通しした、手間暇かけた麺。非常に口当たりのよい麺で、絡めたオイスターソースとよく合います。イーフー麺の細長さは長寿を表します。

背景

イーフー麺@ウェスティンホテル東京/著者撮影
イーフー麺@ウェスティンホテル東京/著者撮影

日本で香港風の旧正月コースが食べられるのは貴重なことですが、和栗氏は旧正月に対してどのような思い入れがあるのでしょうか。

「香港では、5月第2日曜日の母の日、旧暦8月15日の中秋節と並び、旧正月は非常に大きな行事で、とても賑やかとなる。私のホテル事務所のテーブルには、新暦のカレンダーに加えて、旧暦のカレンダーも置いてあり、いつも確認している。旧正月が近付いてくると、気持ちが盛り上がってくる」と、年に何度も香港へ視察に訪れる和栗氏らしい答えを返します。

和栗氏はウェスティンホテル東京「龍天門」の総料理長に就任する2018年2月15日までは大阪にいましたが、今年の旧正月コースはこれまでと何か違うのでしょうか。

「大阪では牛肉や鶏肉がよく食べられるが、関東では豚肉がよく食べられている。今年は豚肉をよく使うようにして、プレゼンテーションも刷新した」と地域性の違いについて触れます。

コースの構成については「昨年の秋から少しずつ考え始め、12月の半ばには決定した。期日が迫っている時に考えるとあまりよいアイデアが浮かばないので、時間に余裕をもって考えるようにしている。普段のコースは7品だが、中国では6や8が縁起がよいとされているので、旧正月コースではランチは6品、ディナーは8品にしている」と練りに練ったコースであるといいます。

ゲストの反応を尋ねると「ウェスティンホテル東京に入る食材はもともと質が高いので、香辛料は控えめにしてある。日本人が食べても違和感がない味付けになっているので、おいしく最後まで食べられると、ご満足いただいている。好評であれば、来年も旧正月フェアを行いたい」と力を込めます。

「例えば、1日だけの特別なガラディナーを開催し、豚の丸焼きをご提供できたら、みなさまに喜んでいただけると思う」と具体的な構想も淀みなく答えるだけに、「龍天門」の来年の旧正月フェアでは、日本では滅多に食べることができない豚の丸焼きまで楽しめる可能性が高いのではないでしょうか。

桃花林(ホテルオークラ東京)

干し貝柱と白菜の土鍋煮込み@ホテルオークラ東京/著者撮影
干し貝柱と白菜の土鍋煮込み@ホテルオークラ東京/著者撮影

寒い冬に食べたくなる料理のひとつとして、鍋料理が挙げられるのではないでしょうか。

日本料理にはたくさんの鍋料理があり、すき焼き、もつ鍋、水炊き、ちり鍋、ちゃんこ鍋から、しゃぶしゃぶ、湯豆腐までバラエティ豊かです。地域性が強い鍋も挙げていけば、石狩鍋、せんべい鍋、きりたんぽ鍋、あんこう鍋など、それぞれの場所に根ざしたものが挙げられるでしょう。

同じ鍋料理でも、事前に焼いたりするものを除けば、土鍋を使って作ると、より一層おいしく食べられます。土鍋は土で構成されているので、食材に熱がゆっくりと伝わっていき、じっくりと温めることができます。遠赤外線の効果があったり、保温効果も高かったりするので、煮込み料理にはぴったりなのです。

土鍋料理は、日本料理にだけではなく、中国料理にもあります。

そして、ホテルオークラ東京「桃花林」では、2019年1月7日から2月28日にかけて「総料理長 陳 龍誠おすすめの逸品」として、総料理長である陳龍誠氏による、いくつもの土鍋料理を体験できるのです。

土鍋料理

四川風麻婆白子 土鍋仕立て@ホテルオークラ東京/著者撮影
四川風麻婆白子 土鍋仕立て@ホテルオークラ東京/著者撮影

今の期間中、特に紹介したいのが以下の土鍋料理。

「桃花林」では、ゲストの構成、分量や好みを配慮して、サービススタッフが土鍋料理をテーブルで大皿から取り分けてくれます。

  • 干し貝柱と白菜の土鍋煮込み
  • 四川風麻婆白子 土鍋仕立て
  • 大海老の沙茶醤土鍋煮込み
  • 海の幸のおこげ

魚介が使われていたり、四川風となっていたり、沙茶醤が用いられていたり、ご飯ものとして提供されていたりと、どれも実に個性豊かです。

では、それぞれどのような土鍋料理なのでしょうか。

土鍋料理の詳細

サービススフタッフがテーブル前で取り分け@ホテルオークラ東京/著者撮影
サービススフタッフがテーブル前で取り分け@ホテルオークラ東京/著者撮影

「干し貝柱と白菜の土鍋煮込み」は白菜の芯をじっくりと煮込んでいるので、白菜が持つ本来の甘味が感じられます。帆立貝の貝柱もたっぷりなので、やわらかな弾力も感じられ、滋味にも溢れているでしょう。

「四川風麻婆白子 土鍋仕立て」は陳氏おすすめの土鍋です。四川風麻婆豆腐の豆腐を白子に替えたような料理。旬の白子は脂がのっているので、麻辣にも負けず、まろやかな口溶け感を与えてくれます。ご飯と一緒に食べると、さらにおいしく食べられること間違いないでしょう。

大海老の沙茶醤土鍋煮込み@ホテルオークラ東京/著者撮影
大海老の沙茶醤土鍋煮込み@ホテルオークラ東京/著者撮影

「大海老の沙茶醤土鍋煮込み」は癖になる沙茶醤(サーチャージャン)を用いた鍋料理です。沙茶醤は魚介類、ニンニク、ゴマなどで作った広東・潮州の調味料で、魚介の旨味がありながらも、ピリ辛さを有しています。大海老に加えて、シイタケ、長ネギ、春雨など野菜も多く、香菜がアクセント。

「海の幸のおこげ」は「桃花林」でも定番の土鍋料理。カリカリのおこげに、海老や帆立貝といった海の幸がふんだんに使われたあんが目の前でかけられ、ジュージューと音を立てます。おこげはそのまま食べたり、あんによく浸してから食べたりと、様々な楽しみ方ができるでしょう。

背景

海の幸のおこげ@ホテルオークラ東京/著者撮影
海の幸のおこげ@ホテルオークラ東京/著者撮影

土鍋料理に関して尋ねると「広東料理を含めて、もともと中国料理には土鍋を使用する料理がたくさん存在している。食材だけではなく、土鍋も冬の旬のひとつであると考えている」と土鍋にこだわりのある陳氏らしい回答を寄せます。

今年の土鍋料理の特徴に関して「毎年変化を持たせながらメニューを作っている。例えば、猛暑であった年の冬は白菜が甘くなるので、酷暑であった今年は白菜を主役にした土鍋をご用意した」と食材に対する深い造詣を窺わせます。

どの土鍋料理がオススメであるかを尋ねると「毎日平均して10食は注文されている『四川風麻婆白子 土鍋仕立て』を特にお勧めしたい。『桃花林』は、日本の食材を最高の広東料理に昇華させながら、伝統と革新を重ねてきた。四川風麻婆に白子を合わせた土鍋料理は、まさに『桃花林』の在り方を体現した一品」と自信を覗かせます。

「土鍋は本当に素晴らしい器材。中国料理に特有のとろみがあるものやないもの、さらには、汁気があるものやないものなど、全ての要素を寛容に受け入れてくれる」という陳氏の哲学を反芻すると、2019年9月12日に満を持してオープンする「The Okura Tokyo」の新生「桃花林」でも、伝統の土鍋料理が継承されていくのではないかと期待されます。

星ヶ岡(ザ・キャピトルホテル 東急)

大分食材を取り入れた前菜七種盛り合わせ@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影
大分食材を取り入れた前菜七種盛り合わせ@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影

<2018年初夏に食べておきたいホテル中国料理における3つのキーワード>では、地域によっては中国料理で必要となる食材が揃えられないので、日本の地域に焦点を当てた中国料理のフェアを行うのは難しいと述べました。

しかし、そのような状況にあっても、日本の地域を積極的に巡り、日本の食材を意欲的に中国料理に用いている中国料理店があるとして、ザ・キャピトルホテル 東急「星ヶ岡」を紹介しました。

前回は宮城県の食材をふんだんに用いていましたが、今現在も、その時と同じ以上に日本の食材をふんだんに用いたフェアが行われています。

それは、2019年1月7日から2月28日にかけて平日限定で行われている「大分県食材フェア」です。ランチにはセットが、ディナーにはコースが提供されています。

大分県は「日本一のおんせん県おおいた」というキャッチフレーズを広めていますが、実は中国料理に相応しい食材がたくさんあるのです。今回も「星ヶ岡」料理長の小林昇氏が食材を探すために大分へ訪れています。

コース内容

大分産スッポン・原木しいたけとふかひれ・マカの蒸しスープ@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影
大分産スッポン・原木しいたけとふかひれ・マカの蒸しスープ@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影

「大分県食材フェア」の魅力を存分に味わえるのが、こちらのディナーコースです。

大分県食材フェア ディナーコース

  • 大分食材を取り入れた前菜七種盛り合わせ
  • ふかひれの姿煮込み
  • 大分産スッポン・原木しいたけとふかひれ・マカの蒸しスープ
  • 大分産コウイカと国東オリーブのXO醤炒め なばな添え
  • おおいた和牛とあまねぎ焼き 黒胡椒ソースとさつまいもソース
  • かぼすブリときのことにらの蒸し物 ピリ辛ソース
  • おおいた冠地どりとかぼすの塩ラーメン
  • デコポンと白きくらげのデザートと大分さつまいも「甘太くん」のデザート二種盛り

スッポンやフカヒレといった中国料理の高級食材から、かぼすブリやおおいた冠地どり、おおいた和牛、さらには全国で生産量トップのカボスなど、大分県の色合いが濃い食材が使われています。

アワードで高い評価を受けている大分県のスパークリングワイン「安心院スパークリングワイン」も用意されており、ドリンクも見逃せません。

注目料理

おおいた和牛とあまねぎ焼き 黒胡椒ソースとさつまいもソース@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影
おおいた和牛とあまねぎ焼き 黒胡椒ソースとさつまいもソース@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影

「大分食材を取り入れた前菜七種盛り合わせ」は、大分県の食材がふんだんに使われた珠玉の前菜が盛り合わせとなっています。チョロギ、ブランド豚「米の恵み」のチャーシュー、コウイカの香り炒め デコポンソース、スッポンの煮凝り、サツマイモのブランド「甘太くん」の香辛料砂糖絡め、おおいた冠地どりの水煮 国東オリーブのソース、かぼすブリの中華風刺し身と、全てが大分県の食材でまかなわれているのは驚きでしょう。

「大分産スッポン・原木しいたけとふかひれ・マカの蒸しスープ」は大分県の名物であるスッポンと原木シイタケを用いて、フカヒレまで加えた贅沢なスープです。ペルーの食材マカを加えており、とても体が温まる一品に仕上げています。

かぼすブリときのことにらの蒸し物 ピリ辛ソース@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影
かぼすブリときのことにらの蒸し物 ピリ辛ソース@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影

「おおいた和牛とあまねぎ焼き 黒胡椒ソースとさつまいもソース」は、脂がのった「おおいた和牛」をしっかりとした火入れで、旨味を閉じ込めた料理です。「おおいた和牛」は、豊後牛の歴史が始まって100年目の節目である2018年に誕生しました。新しい黒毛和種なので、食べたことがある人はまだ少ないでしょう。

「かぼすブリときのことにらの蒸し物 ピリ辛ソース」はエノキ、ニラと大分県産のキノコもたっぷり使われています。かぼすブリは締まった食味で、食後感もさっぱりしているので、ピリ辛ソースとよく合うでしょう。

「おおいた冠地どりとかぼすの塩ラーメン」は、あっさりとしたスープの中太麺。かぼすを惜しみなく使ったラーメンで、ランチのセットでは1杯で2個のかぼすを使用するほど。

「おおいた冠地どり」は、大分県畜産試験場が4年の歳月をかけて誕生させた大分県産の地鶏です。日本では初めて、希少価値の非常に高い烏骨鶏を交配させています。鶏肉の旨味のもとであるイノシン酸が豊富で、肉質も柔らかいことが特徴です。

背景

おおいた冠地どりとかぼすの塩ラーメン@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影
おおいた冠地どりとかぼすの塩ラーメン@ザ・キャピトルホテル 東急/著者撮影

2016年9月から始まり、2ヶ月毎に新しくなる日本各地の地域フェアも、今回で14回目を迎えます(過去1回休み)。どうして大分県が選ばれたのでしょうか。

小林氏は「地域フェアも既に回数を重ね、多くの方に認知していただいていることから、大分県からお話をいただいた。質の高い肉類、魚介類、野菜があり、柑橘類も素晴らしいので、是非とも大分県の食材を使いたいと思った」と振り返ります。

今回はどれくらい大分に訪れていたのでしょうか。

「2018年10月24日から25日まで大分に訪れていた。船に乗ったり、山に登ったりして、2日間様々なところへ行ったので、名物の温泉にゆっくりと浸かる暇もなかった」と身を粉にして食材探しに奔走したと述べます。

印象に残ったエピソードについては「何気なく食べたブリしゃぶから、これはもっとおいしくできそうだとインスピレーションが得られた。湯通しするよりも蒸した方が雑味も抜けると思い、かぼすブリの蒸し物を考案した」と上質な中国料理へと昇華させた過程を話します。

「次回は愛媛県に決定しており、その後は東京も考えている」と述べますが、大分県フェアではかぼすブリが使われたので、愛媛県フェアではみかんブリが使われるのではないかと、想像を膨らませることができるのも、継続して地域フェアを行う「星ヶ岡」だけの楽しみ方ではないでしょうか。

寒い冬にもぴったりな中国料理

2月という寒い時期に、注目したいホテルの中国料理を紹介しました。

ウェスティンホテル東京「龍天門」では中国や香港で大切な行事である「旧正月」の料理を通して本場を知り尽くした和栗氏の料理を堪能でき、ホテルオークラ東京「桃花林」では日本人にも馴染み深い土鍋料理から伝統を継承した陳氏の美学を味わえ、ザ・キャピトルホテル 東急「星ヶ岡」では大分県の食材をふんだんに使ったコースによって小林氏の創造力を余すところなく体験できます。

強い火力で一気に作り上げるというイメージを持つ中国料理は、寒い冬にもぴったりでしょう。平成最後の冬に中国料理を食べたくなったら、是非とも足を運んでみてください。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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