グルメブームの候補「クレイポット料理」における人気の秘密と大いなる可能性

アンダーズ東京「アンダーズ タヴァン」

クレイポットとは

クレイポットという言葉を聞いたことがありますか。クレイポット料理を食べたことがあるでしょうか。

クレイポットを聞いたことがなくても、土鍋であれば聞いたことがあり、食べたこともあるでしょう。クレイポットとは「クレイ」=「土」の「ポット」=「容器」のことで、土鍋のことなのです。

マレーシアやシンガポールではクレイポットを使った料理がよく食べられています。クレイポットにまずご飯を入れ、その上に肉や魚野菜などを載せて焼くという家庭的な料理です。

クレイポットの特徴

クレイポットの特徴は何でしょうか。

火のあたりが柔らかく、保温性が高いのが特徴。おでんやお粥など弱火で長時間煮込む料理に適している。陶器製のため衝撃を加えると割れる危険性がある。また、急激な温度変化にも弱いので、鍋底に水滴が付いている状態で火に掛けるとひびが入ることがある。土鍋のサイズは号数で表示されるが、号数は寸(3.03cm)と同一なので、7号であれば約21cmとなる。中国でも各地で用いられており、「砂鍋」と称する。

出典:Wikipedia

日本ではもちろん、中国でも各地で使われています。

クレイポットの長所

調理する時の具体的な長所は以下の通りです。

  • 温度がゆっくりと変わる

保温性が高い。食材の旨味を引き出す40度~60度の時間が長い

  • 遠赤外線を発する

食材を中までじっくり温められる

  • 細かい気泡が出る

煮崩れを防ぐ

これだけ読むとよいところだらけのように思えますが、もちろん短所もあります。

土で作られているので、割れ易かったり、急激な温度変化に弱かったり、洗い方や管理に気を付けたりしないといけないことです。

面倒なところはあるものの、料理をおいしく作ることができて、見た目に風流もあるので、土鍋を使った料理は日本でも人気となっています。

アンダーズ 東京「アンダーズ タヴァン」

蓋が被せられたクレイポット
蓋が被せられたクレイポット

土鍋は日本や中国の料理、クレイポットはマレーシアやシンガポールの料理というイメージがありますが、実はこのクレイポット料理をシグネチャーディッシュとして提供している、新しいスタイルのライフスタイルホテルがあります。

それは、<マスターカードと婦人画報のガラディナー、クレジットカード会社とレストラン>でも紹介したハイアットグループが手がけるハイブランドであるアンダーズ 東京です。

アンダーズ 東京のメインダイニングである「アンダーズ タヴァン」で2017年4月1日から30日まで「旅する ヨーロピアン クレイポット」と題してクレイポットのフェアが行われています。

クレイポット フェアの種類

提供しているクレイポットは以下の通りで、ヨーロッパの国をテーマにしています。

  • ドイツ

ポークネック、マスタード&キャラウェイシードのロースト、ヤングオニオン、ポテト、ビールソース

  • ギリシャ

ラムシャンク、レモンハーブクルスト、ポテト、フェタチーズ、チェリートマト、ザジキ

  • ベルギー

ムール貝、白ワイン、エシャロット、パセリ 自家製フレンチフライと共に

  • イタリア

ウサギ、白ワイン、セミドライトマト、フェンネル、パンチェッタ リゾットを添えて

  • スペイン“パエリアスタイル”

鱸、ハマグリ、ツブ貝、海老、サフラン、グリーンビーンズ、チョリソー、自家製ブラックガーリック

  • アンダーズ タヴァン オリジナルクレイポット

山梨県産ハーブチキンのクレイポット、根野菜、スダチ

この中にある「アンダーズ タヴァン オリジナルクレイポット」は開業当時から提供されているシグネチャーディッシュです。

欧米では、食材をまるごと焼き上げることが最高のおもてなしという考え方があることから、山梨県産ハーブチキンをまるごと使って、クレイポットで焼き上げています。クレイポットによるダイナミックなプレゼンテーション、たっぷりのボリューム、さらには様々な部位を食べ比べられる楽しみから、人気を博しています。

シグネチャーディッシュに至った背景

クレイポット ギリシャ
クレイポット ギリシャ

では、どうしてクレイポット料理をシグネチャーディッシュとして提供するようになったのでしょうか。

2014年6月11日にアンダーズ 東京がオープンした時に総料理長を務めていたのがオーストリア出身のゲハード・パスルガー氏。ゲハード氏は現在グランド ハイアット 香港の総料理長を務めています。

このゲハード氏が、メインダイニングながらもシェアを前提として大勢で賑やかに楽しめること、店内の雰囲気やインテリアに相応しい料理をということから、ヨーロッパでも使われているクレイポットを用いた料理を「アンダーズ タヴァン」で提供することになりました。

高級ホテルで肩肘張らずに本格的なクレイポット料理を食べられるということで、ゲハード氏の試みはゲストの心を捉え、オープンから3年程度を経た今でもシグネチャーディッシュとして親しまれているのです。

2回目となるフェア

では、今回のクレイポットのフェアはどういった理由で行われることになったのでしょうか。

実は昨年の2016年にもクレイポットのフェアが行われました。開業以来「アンダーズ タヴァン オリジナルクレイポット」が好評であり、ゲストからもっと他のクレイポットも食べたみたいという要望が多かったため、ラム肉や鴨肉といった食材をテーマにして、新しいクレイポット料理も提供することになったのです。

様々なクレイポット料理が喜ばれたので、そこからさらに発展させて2017年もクレイポットのフェアを行うに至りましたが、今回は食材をテーマにするのではなく、ヨーロッパの国をテーマにして、クレイポット料理を考案しました。

テーマをヨーロッパの国とすることによって、ヨーロッパ各地を旅しているかのような、もっとイメージが膨らむものへと昇華させています。しかも、前回よりも種類数を増やして、より多くの料理に挑戦しました。

それぞれの国の代表的な食材や料理をクレイポット料理へと再解釈するのは面白い試みであると言えるでしょう。

また、ゲストがその国に持つイメージや訪問した時の体験を通して、それぞれのクレイポット料理に対する意見も異なるので、食事中の会話も弾むことだと思います。

苦労した点

クレイポット スペイン”パエリアスタイル”
クレイポット スペイン”パエリアスタイル”

以上のようにクレイポット料理は面白い試みですが、作る上で苦労た点は何かあったでしょうか。

「アンダーズ タヴァン」スーシェフの小泉貴裕氏は「クレイポットは水を含むので、全体の水分量の調整が難しい。特にフェアでご提供しているクレイポット料理は初めて作るので時間を要した」とクレイポットならではの調理の難しさを挙げます。

具体的な課題としては「例えば、貝からは水分がたくさん出る。そのため他の食材とのバランスを慎重に考えなければならない」と説明し、こういった課題への解決方法として「とにかく何度も試作して、最適な火入れの強さや時間を探し出した。構想から3ヶ月もかかった」と答えます。

また「クレイポットは土鍋なので直接火をかけることもできず、オーブンで1時間程じっくりと焼き上げる」と述べる通り、手間隙かかる上に、オーブンを専有してしまうので、「アンダーズ タヴァン」で人気があるからといって、他のレストランがすぐに真似できる料理ではありません。

しっかりとした設備と調理技術を持ったアンダーズ 東京であるからこそ、提供できる料理であると言えるでしょう。

クレイポットの未来

アンダーズ タヴァン オリジナルクレイポット
アンダーズ タヴァン オリジナルクレイポット

小泉氏は「来年もクレイポットのフェアを行いたい。より楽しんでいただけるようにもっとバリエーションも増やす。尾頭付きの魚をまるごと使ってクレイポットで焼くなど、アイデアはたくさん持っている」とクレイポットのポテンシャルについて語ります。

アンダーズというホテルブランドを象徴するキーワードとして、"Inspiring"=「刺激的」、"Indigenous"=「地域に根差した」、"Unscripted"=「筋書きのない」という3つの言葉がありますが、今回のクレイポットのフェアでは、日本人にも馴染みのある土鍋を使って地域に根差して、様々な食材を組み合わせて刺激的にし、クレイポットの可能性をより広げて筋書きのない未来を切り拓いています。

2017年の食のブームに色々な料理が予想されていますが、「アンダーズ タヴァン」におけるクレイポットの多様性を体験してみると、見た目にインパクトがあったり、食材をおいしく調理できたり、様々なものに応用できたりすることから、クレイポット料理が脚光を浴びる可能性も高いのではないかと私は考えています。