【グルメ/快挙】何故ザ・プリンス パークタワー東京「ブリーズヴェール」は料理コンクールに強いのか?

橋本禎嗣氏のコンクール作品

隔年開催のエスコフィエ・フランス料理コンクール

「エスコフィエ・フランス料理コンクール」をご存知でしょうか。

日本における大きなフランス料理コンクールのうちのひとつで、フランス料理に7年以上従事した日本在住者が挑戦することができる、調理の腕前を競うコンクールです。2002年から隔年で開催されており、2014年には100名以上が参加しました。

正統派のコンクール

料理コンクールといえば、「【クッキングコンテストの今】独学者 杉本敬三氏が優勝した「RED U-35」は何が新しいのか?」でもご紹介し、現代風にアレンジされて大成功を収めたRED U-35が記憶に新しいところです。

エスコフィエ・フランス料理コンクールはフランス料理の礎を築いたオーギュスト・エスコフィエの名前が冠されていることからも分かるように、先達の料理人たちの技術を次世代の料理人たちに伝え残すことを目的としています。

有名料理人も参加

過去には、「【最後のリノベーション】ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「マンハッタン」とは?」でもご紹介したレインボーブリッジビューダイニング&シャンパンバー マンハッタン料理長の吉本憲司氏が2008年第4回エスコフィエ・フランス料理コンクールで国内最年少で優勝するなど、有名料理人が参加しています。

オーギュスト・エスコフィエは、19世紀から20世紀前半にかけて、料理の創作や調理法の合理化などに尽力し、現代フランス料理の祖と呼ばれる偉大な料理人です。 エスコフィエの料理レシピを紹介した大著「ル・ギッド・キュリネール」はフランス料理のバイブルともいわれ、現代においても多くの料理人が手放すことができないものとなっています。その技術や精神を日本において継承することを目的に、日本エスコフィエ協会が2002年より料理コンクールを実施。「ル・ギッド・キュリネール」から出題される課題料理で技術と感性を競うこのコンクールは、日本におけるフランス料理界の権威あるコンクールの一つとして知られています。

優勝と準優勝を獲得

この権威あるエスコフィエ・フランス料理コンクールの2014年第7回大会において、品川プリンスホテルの時田啓一氏が優勝、ザ・プリンス パークタワー東京の橋本禎嗣氏が準優勝を果たしました。

同じプリンスホテルグループの2人が優勝と準優勝を獲得するという快挙を成し遂げられたのは何故でしょうか。

グループ内で積極的に料理コンクール

マーケティング戦略 広報担当 野原茉美氏に訊くと、「プリンスホテルはグループ全体で料理コンクールを毎年開催するなど、人材育成に力を入れている。大きな規模で20回を超える料理コンクールは他にないのではないか」と答えます。

確かに、「【クッキングコンテストの今】24回目を迎える日本系ホテルグループの料理コンクール」でもご紹介したように、プリンスホテルは日本最大規模の料理人を抱えており、料理人の技術向上と新商品開発を目的として、プリンスホテル料理コンクールを毎年開催しています。このように切磋琢磨する風潮がよい影響を及ぼしていることは確かでしょう。

他の大会でも入賞者がいる

野原氏は「ブリーズヴェールでは他にも、2013年11月22日に開催された第15回『メートル・キュイジニエド・フランス ジャン・シリンジャー杯』において、平松淳が優勝、桂有紀乃が女性で初めて決勝大会に進出した」として、プリンスホテルグループの中でもとりわけブリーズヴェールに優秀な人材がいることを示唆します。

メートル・キュイジニエド・フランス ジャン・シリンジャー杯はフランス料理文化センターが主催する料理コンクールであり、日本で最も参加者が多い大会です。従って、同じレストランから2人も決勝に進出することは驚きであると言えるでしょう。

様々なセクションを

これを受けてレストラン ブリーズヴェール シェフ 吉田功氏は「それぞれの料理人の技術力が高いことはもちろん、レストランの中でも互いに刺激しあい、自分を高めようとする意識が高い」と理由を説明します。

育成方針を尋ねると「厳しく指導するが、最後まで必ず面倒はみる。若いうちから様々なセクションに関わらせることで、才能を引き出すようにしている」と力強く答えます。

料理の成長を促す

マーケティング戦略 マネージャー 馬場章氏は「桂は現在ニューヨークの有名レストランへ研修に行っている。当ホテルは人材育成に力を入れているので、全面的にサポートして送り出した」と話します。

また「M.O.F(フランス国家最優秀技術者)の称号を持ち、フランスを代表するパティシエであるジャン-ジャック ボルヌ氏と吉田シェフのコラボレーションも今年で3回目となる。こういったトップシェフを招聘することで、お客さまに喜んでいただくことはもちろん、料理人にもよい刺激となり成長への糧となっている」と料理人を育成する観点からも述べます。

コンクール作品を食べられる

料理コンクールは時折開催されますが、入賞作品を食べられることは実はそう多くありません。しかし、今回の快挙を記念して、ブリーズヴェールのシェフである吉田氏のコースに橋本氏のコンクール作品が組み込まれた特別コースが提供されているので、ご紹介しましょう。

キャロットムース 雲丹とコンソメジュレ

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吉田シェフのスペシャリテです。雲丹とコンソメジュレでふんだんな旨味が感じられます。その下にあるキャロットムースは口当たりがよくて濃厚。上から下まですくい、合わせて食べると渾然一体となって強い味わいとなります。

オマール海老と根セロリのムース 聖護院蕪のサラダ仕立て

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聖護院蕪のスライスの下には、厚みがあるカナダ産オマール海老がたっぷり。底にはクリーミーな根セロリのムースは香りが穏やかで、メリハリが効いた前菜があります。細切りしたトリュフと乾燥させたオマール海老の卵を散らし、バルサミコを添えています。

フォアグラのソテー リードヴォーのキャベツ包み フォレスティエール風

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大きなフォアグラの下にはチリメンキャベツ。中にはリードヴォーが包まれており、口当たりが豊かです。チリメンキャベツを挟んで、フォアグラとリードヴォーがあって、贅沢な取り合わせ。きこり風を意味するフォレスティエール風らしく、トランペット茸やジロール茸といったキノコを散らし、ワイルドライスを据えています。

ポテトを巻いた真鯛のポワレ キャビア添え トマトのコンフィと共に

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真鯛の回りにはカリカリのポテトを巻いて円柱状に。トップにはキャビアを据えて塩気のアクセントを添えています。白ワインとバターにレモンを加えた、爽やかな軽いソース。寒じめほうれん草、トマトコンフィを合わせています。

牛フィレ肉のゴダール風 マッシュルームのトリュフ風味とリードヴォー添え

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こちらが、橋本氏のコンクール作品です。開始20分前に「シャロレー産牛フィレ肉のゴダール風」が課題料理として発表され、どれだけ忠実にエスコフィエのレシピを再現できるかを競い合いました。橋本氏は「職場での経験が今回の結果につながった。コンクールを通して学んだことを今後のメニュー作りや職場での後輩育成にいかしたい」と述べています。

フランスの牛フィレ肉で、脂身は少なくて赤身が旨いです。中に豚肉背脂や牛タンをピケしてゴダール風に仕上げています。ソースはフォンドヴォーに白ワイン、ポートワインを加えたしっかりとしたもので、牛フィレ肉に合います。ゴダール風らしく、クラシックなポワレで、素材が持つ水分だけを使って蒸し焼きにしています。

彩りフルーツ バニラ風味包み レモンヨーグルトのシャーベット添え

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イチジク、ソルダム、オレンジピール、バニラ、チョコレートを耐熱ラップで包んで焼いた創作の一品。袋を開けた瞬間に、閉じ込められた香りたちが放たれ、複雑で優美な甘味が広がります。

爽やかなレモンヨーグルトのソルベを合わせており、後味はさっぱりに。

コーヒーと小菓子

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紅茶はアールグレイ、小菓子はショコラとマカロンです。

人を大切にしたい

2014年4月1日付で品川プリンスホテル総支配人から異動してきた執行役員 ザ・プリンス パークタワー東京・東京プリンスホテル 総支配人 望月潔氏は「品川プリンスホテルにいた時には、仕組みが重要だと考えていた。売り方や手法に力を入れることを何よりも大切にしていた」と振り返りますが、「今は考え方が変わった。人や商品を大切にして、スポットライトを当てていきたい。人が成長し、よい商品ができあがれば、お客さまにきっと支持していただけると信じている」と述べます。

こういった考えの理由を訊くと「トレンドは必ず廃れていってしまう。しかし、本物は絶対に揺るがない。常に本質を高めいってお客さまに喜んでいただけるようにしたい」と答えます。

<ザ・プリンス>というブランドは全世界で50ものホテルを擁するプリンスホテルグループの中で、最も高級なブランドです。その中でも、ザ・プリンス パークタワー東京は旗艦ホテルの位置付けとなっています。

望月氏が述べるように、人材を育てていき、本物を追求していくのは大切なことです。それによってザ・プリンス パークタワー東京はさらに躍進し、プリンスホテルグループの底力を高め、全世界のお客さまに喜んでもらえるのではないでしょうか。

情報

詳しくは公式サイトをご確認ください。

参考

ブリーズヴェールについてはレストラン図鑑でもご紹介していますので、ご参考にどうぞ。