コロナ禍で観光需要が消滅。ストーブ列車にお客がいない! 津軽鉄道応援ルポ

今や全国的に、いや、世界的に有名になったストーブ列車が走る青森県の津軽鉄道ですが、この冬はご多分に漏れず観光客が皆無。

津軽鉄道では冬の地吹雪の時期が稼ぎ時ですが、団体客は12月28日の予約を最後に、その後はすべてキャンセルになり、去年までたくさんいたインバウンドもゼロ。日本人の個人客の需要もほとんど消滅状態です。

筆者は2月26日に現状を取材すべく津軽鉄道を訪問し、ストーブ列車に乗車してきました。

津軽鉄道の始発駅、津軽五所川原駅はJR五所川原駅のすぐ隣にあります。
津軽鉄道の始発駅、津軽五所川原駅はJR五所川原駅のすぐ隣にあります。

駅の待合室に掲げられた時刻表。昔ながらの雰囲気です。
駅の待合室に掲げられた時刻表。昔ながらの雰囲気です。

ストーブ列車は1日3往復。

9:35、11:50、14:48に津軽五所川原駅を発車し、片道約40分の津軽中里駅までを往復しています。

日中でも氷点下の気温の中、ストーブ列車の車体にはびっしりと雪や氷が付着しています。この日、ストーブ列車に使用されていた客車は昭和23年製で、国鉄時代には上野から青森までの急行列車などに活躍した車両。動力を持たない客車は昔は先頭の蒸気機関車から蒸気の供給を受けるスチーム暖房方式でしたが、津軽鉄道では機関車に蒸気を供給する設備がないため、車内にストーブを搭載して温める方式を採用しています。

この日は走れメロス号のディーゼルカーがストーブ列車を連結して引っ張る運転でしたが、ストーブ列車の客車は今どき珍しい手動ドア。デッキは地吹雪が舞い込む吹き曝し。この雰囲気はここでしか味わえません。

車内に入るとストーブのぬくもりを感じますがお客様は2名だけ。

「えっ? こんなにいないの。」とアテンダントさんに訪ねると、「んだ。」の答え。

去年まであれほどいた観光客は皆無です。

ストーブ列車の名物はスルメ。

車内販売でアテンダントさんから購入すると焼いてくれるのです。

同じく車内販売でストーブ列車専用のお酒を購入し、凍てつく窓辺で熱々のスルメをかじりながらいただくこの非日常感が、今の時代には最高の贅沢を感じます。

こちらは帰りの車内。

本当にお客さんがいないのです。

旧知の津軽鉄道の澤田社長さんにお話をお伺いしましたが、「今年はまいりました。本当にお客さんがいない。ストーブ列車は走らせてますけど、ストーブの石炭代にもならないですよ。」とのこと。

こちらは昨年2月の様子ですが、まったく様子が違うのがお分かりいただけると思います。

澤田社長さんいわく、「いやぁ、本当にお客さんがいないんで、また仮想乗車始めてるんですよ。」

仮想乗車とは昨年の春の桜の時期にご紹介いたしましたが、You Tubeで最新版の列車の走行動画を公開して、ご乗車気分を味わっていただこうというもので、津軽鉄道のユニークなところは、「仮想乗車で列車の旅をお楽しみいただいたら、ぜひ運賃のお支払いをお願いします。」ということ。

YouTubeで動画を見たら運賃を払うとは、実に斬新なアイデアですが、何とか津軽鉄道を応援したいという全国のファンの皆様から実際の運賃分か、それ以上の振り込みがあるというんですから驚きです。

今の時代、こういう形でローカル鉄道を応援するというのも有りなんですね。

津軽鉄道のサイトからこういう動画で列車に「乗車」することができます。
津軽鉄道のサイトからこういう動画で列車に「乗車」することができます。

ということで、詳細は津軽鉄道のWebサイトからYouTubeへご訪問ください。

仮想乗車 ~今日の津軽鉄道~ 【第2弾】上り毘沙門から津軽飯詰

手作り感満載の動画ですが、それが津軽鉄道っぽくって本当に乗った気分になるから不思議です。

また、津軽鉄道では昨年全線開業90周年を迎えましたが、コロナ禍でイベントが一切できませんでした。このため、今年は《90+1年》として記念切符や各種グッズなどを販売しています。

津軽鉄道全線開業90+1周年記念グッズの発売(Webサイト)

本当は乗りに行って応援することができれば一番良いとは思いますが、それができないこの冬、それでも列車は走っています。

お客様は乗っていないけど、夢と希望を乗せて走っているはずです。

ぜひ、皆様、ストーブ列車に夢と希望を託して、厳寒の北国で頑張っているローカル鉄道にご声援をいただければと思います。

詳細は津軽鉄道のWebサイトにてご確認ください。

※本文中に使用した写真はすべて筆者が撮影したものです。