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渡航前に要確認「接種証明」いる?いらない? 主要国のワクチン証明最新事情

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
閑散としている羽田空港の第3ターミナル(2021年10月、筆者撮影)

 3月1日から海外渡航の最大の問題となっていた日本帰国後の自主待機について、ワクチン3回目接種を終えていれば、一部の国からの帰国を除いては帰国後の自主待機が不要となった。2回以下であっても最短3日間の自主待機に変更され、海外旅行・海外出張に出かけやすい状況が整いつつある。その中で、海外渡航前にまずは「ワクチン接種証明書」について考える。

「マイナンバーカード」がある人はデジタルでのワクチン接種証明書の発行が可能に

 自治体で発行されるワクチン接種証明書は昨年12月に、デジタル・紙共に日本人渡航者が多い国の多くで通用するQRコード付きになった。それ以前は英語での記載はあったが、QRコードで読み取ることができない仕様になっていた。現在の海外渡航用のワクチン接種証明書は全てQRコード対応になった。

 後半で主な国別のワクチン接種証明書の有無について触れるが、ほとんどの国で入国時に必要であると共に、旅行先や出張先などでワクチン接種証明書をいつ求められるのかはわからないことから、海外渡航時はいつでも出せる状況にしておくことが望ましく、海外へ出かける計画があれば、ワクチン接種証明書はその必要有無に関わらず、取得するべきだろう。

 ワクチン接種証明書の発行は、住民票がある自治体での取り扱いになるが、「マイナンバーカード」(プラスチックカード)を持っていればかなり楽になる。マイナンバーカードを持っている場合、スマートフォン(iPhoneとAndroid共に対応)の専用アプリとパスポートも含めた3点が用意できれば、5分もかからずに簡単にデジタルのワクチン接種証明書を取得することができる。

デジタルでのワクチン接種証明書。マイナンバーカードがあれば5分程度で取得できる。赤い部分は海外用、青い部分は国内用(一部加工しております)
デジタルでのワクチン接種証明書。マイナンバーカードがあれば5分程度で取得できる。赤い部分は海外用、青い部分は国内用(一部加工しております)

各国の入国要件は?

 ここからは国別のワクチン接種証明書の必要有無についてまとめてみる。日本人でビザを持っていない短期滞在で渡航する場合で、18歳以上で日本以外に直近の滞在国がない場合の入国ルールを前提にまとめる。

※本原稿は3月28日(月)までの情報で構成

 なお各国滞在中に今までは食事などをする際にワクチン接種証明書や陰性証明書などの提示や専用アプリへの登録が必要な国が多かったが、2月・3月に相次いで廃止されている。

■アメリカ(ハワイを含む)

 18歳以上は一部の特例を除き、ワクチンの2回接種を終えていなければ、日本人の入国は不可。またPCR検査も前日・当日に検査する必要があることから、迅速に検査結果が出る検査機関で受診する必要がある。入国時の検査は不要。

ワクチン接種証明書:必要

日本国内で接種の場合、2回以上の接種がない場合には原則入国不可。

出発前のPCR検査もしくは抗原検査:必要(アメリカへの便が出発する1日以内に受ける必要がある。1日前とは24時間前ではなく、便出発の前日もしくは当日の検査を意味する)

その他:宣誓書(無料でホームページなどからダウンロード可能)をチェックイン時に提出が必要。また短期滞在者は「ESTA」(電子渡航認証システム)の登録もコロナ前同様に必要(有効期限2年間)。

■フランス

 ワクチン接種なしでも入国は可能であるが、ワクチン接種が3回済んでいるか2回以下によってルールが異なる。2月12日より3回接種者は日本出発前のPCR検査・抗原検査は不要。3月14日より従来フランス滞在中に必要だった飲食時やフランス国内線や長距離列車などで必要だった「ワクチンパス」「衛生パス」の提示は不要となった。ワクチンの接種有無に関係なく、入国時の検査は不要。

ワクチン3回目接種者(2回接種後9ヶ月以内に3回目を接種した人):ワクチン接種証明書を提示することで、日本出発前のPCR検査・抗原検査は必要なし。

ワクチン2回接種者・1回接種者・未接種者:ワクチン接種証明書があっても、出発前72時間以内のPCR検査もしくは出発48時間以内の抗原検査の陰性証明書が必要。

(3月30日午前8時30分追記)※ただしワクチン2回接種者については、2回接種から一定期間内であれば陰性証明書は不要という情報もあり、利用する航空会社などに問い合わせして確認することをおすすめする。

■ドイツ

 ワクチン接種証明書が原則必要(最後の接種から14日間経過以降)。ワクチン接種証明書があれば観光での入国も可能であるが、ワクチン接種証明書がない場合(未接種者を含む)は、ドイツ入国前48時間以内のPCR検査もしくは抗原検査の陰性証明書が必要であると共に、入国理由を証明する理由書の提出が必要。入国時の検査は不要。

 ワクチン接種証明書がなければ、観光での入国は不可となっている。

■イギリス

 従来は入国後に渡航者自身が現地でのPCR検査を予約する必要があったが、3月18日からは大幅緩和され、ワクチン接種証明書・出発前のPCR検査もしくは抗原検査が不要となり、ワクチン未接種者も制限なく入国が可能となった。ただイギリスから他のヨーロッパ諸国へ移動する場合には、各国のルールが適用されるので注意。更に入国時に必要だった乗客追跡フォーム(Passenger Locator Form)も不要になった。

■タイ

 3月1日から入国時の運用が変更となり、隔離免除入国の「Thailand Pass」のシステムを使用する。ワクチン接種証明書(2回接種以上)は必須となり、更に渡航前72時間以内に発行されたPCR検査の陰性証明書が必要であるほか、2万USドル以上の治療保険がある医療保険証も必須となる。事前の準備は他の国以上に必要になるので時間的な余裕が必要。

 更に渡航前に「Thailand Pass」の登録を7日前までに済ませる必要がある。バンコクに到着の場合は、バンコク市内の指定ホテル(医療機関と提携のある施設)を予約し、到着一日目に受けるPCR検査と入国後5日目か6日目に渡航者自身で自己検査する抗原検査キットの代金支払い済みの予約確認証を入手する必要がある。

 ワクチン未接種者は入国は出来るが、指定ホテルでの10日間の隔離措置となり、手続き方法も異なる。

■オーストラリア

 2月21日よりワクチン接種証明書(2回接種以上)があれば観光目的でも入国可能になった。出発3日以内のPCR検査もしくは出発24時間以内の抗原検査の陰性証明書の取得が必要なほか、出発72時間前までにデジタル旅客申告書(DPD)の登録も必要。

 またコロナ前同様に「ETA(電子渡航許可)」の申請が必要となる。

フランクフルト空港(2021年10月撮影)
フランクフルト空港(2021年10月撮影)

出発前のPCR検査の陰性証明書は英語が原則。結果が出るまでの時間も考慮して予約する必要がある

 ワクチン接種証明書は海外渡航用で取得すれば英語でも表記されるが、PCR検査の陰性証明書については英語もしくは入国する国の言語などでの証明書が必要となる。入国する国によって不要な国もあるが、必要な国においては3日前からOKの場合と前日からしか認めない場合もあることから、検査結果が迅速な検査機関で受ける必要がある。

 格安で行っているPCR検査センターの場合、特に英語表記や必要事項の記載がされないケースもあるので、可能な限り海外渡航に対応した検査機関(クリニック)などで受診をすることをおすすめしたい。

成田空港第1ターミナルのチェックインカウンター。出発便の少ない時間帯は閑散としている。羽田・成田ともに空港ターミナル内にPCR検査センターがあり、海外渡航用の陰性証明書を発行してくれる(筆者撮影)
成田空港第1ターミナルのチェックインカウンター。出発便の少ない時間帯は閑散としている。羽田・成田ともに空港ターミナル内にPCR検査センターがあり、海外渡航用の陰性証明書を発行してくれる(筆者撮影)

帰国前はどの国からの帰国であっても便出発72時間以内のPCR検査が必須

 また全ての国からの帰国においては引き続き、日本政府のルールによって、帰国便出発の72時間前までにPCR検査を受ける必要があり、陰性証明書がなければ飛行機のチェックインができない運用になっている。PCR検査の方法についても、日本政府が認めた検査方式でないと認められず、これまでも対象外の検査方法での陰性証明書で飛行機に乗れなかったケースが多発していることから、必ず日本政府が認めたPCR検査の方法ができる検査機関で検査する必要がある。

ロサンゼルス空港のPCR検査場(2021年8月、筆者撮影)
ロサンゼルス空港のPCR検査場(2021年8月、筆者撮影)

日本政府所定のフォーム以外でも既定の検査方式であれば問題ない。(画像は筆者が実際に受けた帰国前のPCR検査の陰性証明書※一部加工しております)
日本政府所定のフォーム以外でも既定の検査方式であれば問題ない。(画像は筆者が実際に受けた帰国前のPCR検査の陰性証明書※一部加工しております)

ワクチン3回目接種者は帰国後の自主待機は、一部の国からの帰国を除いては不要に

 ワクチン3回接種者については、一部の国(※)からの帰国を除いては、羽田空港や成田空港などに到着した際に行われる抗原検査で陰性が確認されれば、到着ロビーに出た後の行動制限がなくなり、当日もしくは翌日から通常通りに会社への出勤が可能となる。ワクチン3回接種の確認についてもワクチン接種証明書の提示のほか、バーコード付きの接種券のコピーやスマートフォンで撮影した画像でも認められる。証明がないと、最低3日間の自宅などでの自主待機になるので注意が必要だ(3日目以降にPCR検査・抗原検査を受けた場合に7日間待機を3日間に短縮できる)。

(※)一部の国については、3月28日現在、イラン、インドネシア、エジプト、韓国、サウジアラビア、スリランカ、トルコ、パキスタン、ベトナム、ロシア全土が対象。これらの国からの帰国の場合、ワクチン3回接種者は最短3日間の自宅などでの自主待機、ワクチン2回接種以下の場合は検疫所が指定する宿泊施設での3日間待機となる。

欧米やオーストラリアへの渡航は可能だが、アジアは行ける国が限られている

 欧米への渡航は可能になりつつあるが、アジアについてはタイやフィリピンなどを除いた国への観光目的での入国は、依然厳しい状況にある。マレーシア、ベトナム、インドネシアなどでは緩和の動きが見られるものの、日本から近い、韓国、台湾、中国、香港などの東アジアへの渡航緩和の具体的な動きは見られておらず、しばらくは時間がかかりそうだ。

 最後に、本原稿は3月28日(月)までの情報で構成されており、情報は日々更新されることから最新の情報は外務省の海外安全ホームページ、各国にある日本大使館、また日本にある訪問国の大使館のホームページから確認した上で、海外渡航の計画を立てていただきたい。

参照元:

外務省 海外安全ホームページ

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです。】

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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