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オミクロン株、水際対策措置の変更点一覧。日本入国後の強制ホテル待機対象国は?自主待機は一律14日間に

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
11月29日の成田空港第1ターミナル出発ロビー(筆者撮影)

 オミクロン株の感染が確認されている国が増えているなかで、日本政府は11月29日に水際対策の強化を発表し、11月30日午前0時、12月1日午前0時からの2段階で実行に移される。

 現状、オミクロン株の感染力の強さ、重症化するかどうか、ワクチン効果があるのかどうかが科学的にはっきりしていない未知の状況であることで、世界各国が水際対策を強化している。見極める期間として、日本政府は「緊急避難的対応として、予防的観点から当面1ヶ月」という表現を使い、12月31日までは少なくても今回発表された水際対策の強化を続けることを明らかにした。年末にオミクロン株の特性が見えてきた段階で年明け以降の判断をするものと見られる。

 11月30日午前9時時点で発表されている情報を整理する。

■外国人の入国について

 11月30日午前0時以降は外国人の新規入国が停止された。ただ長期滞在できるビザを保有し、一時的に日本国外へ出国して日本へ戻る再入国の入国は今後も認められる。永住権保有者の入国も認められる。ただビザを取得済みであっても、新規入国の場合の入国は認められず、これから日本に留学予定の留学生や技能実習生などは入国できなくなった。

■日本人の帰国について

 日本人の海外からの帰国、外国人の再入国者及び永住権保有者の日本入国については、入国停止の措置はなく、感染拡大国からの入国であっても日本に入ることができる。ただし、過去14日間の滞在国によって、日本到着後に自宅などにすぐに戻れない指定施設待機が取られる。

 指定施設待機対象国からの帰国の場合と、その他の国からの帰国の場合で帰国後の動きが異なる。羽田空港に帰国した場合、書類確認や抗原検査などは同じ導線となるが、抗原検査の結果が出るまでの一時的な待機場所手前で分けられ、陰性が確認された後(抗原検査後、原則1時間前後で結果が出る)、指定施設待機対象国からの帰国の場合は入国審査、手荷物の受け取り、税関を通過した後、到着ロビーからそのままバスに乗って指定施設待機場所となるホテルへ移動となる。

 その他の国からの入国者は入国審査、手荷物の受け取り、税関を通過した後、到着ロビーに出て、公共交通機関を使わずに自宅や自己手配のホテルなどへ向かい、自主待機場所に到着後、入国者用のスマートフォンの指定アプリ「My SOS」で待機場所の登録を済ませて自主待機期間に入ることになる。

■強制的にホテル滞在となる指定施設待機措置とは

 指定施設待機措置とは、国が借り上げているホテルなどの部屋で3日間(3泊)、6日間(6泊)、10日間(10泊)滞在する必要がある。食事は部屋の前にお弁当が飲み物と共に運ばれ、部屋からの出ることは許されない(ホテルによっては外部からの差し入れが認められる)。食事を含めた滞在費用は国が負担することになっており、入国者の費用負担はない。

 既に南アフリカなど9カ国については、10日間待機国として、10日間(10泊)、国が指定する指定施設(国が借り上げたホテル)での待機措置が取られているが、11月30日午前0時からアンゴラが追加されて10カ国となった。そして12月1日午前0時からは、イスラエル、英国、オランダ、イタリアの4カ国が6日間待機、オーストラリア、ドイツ、チェコ、デンマーク、香港、フランス、カナダ(オンタリオ州 ※州都はトロント)、ベルギー、オーストリアの9カ国・地域は3日間待機となる。待機期間中も3日目、6日目(6日間、10日間待機時)、10日目(10日間待機時)に検査が行われる。

 従来は3日間待機国について、ワクチン2回接種者については指定施設待機措置が免除となる運用がされていたが、この特例措置が解除されたことで、3日間待機国に滞在していた場合はワクチン接種の有無に関係なく全ての入国者が3日間(3泊)はホテルでの待機措置となる。

 オミクロン株の存在が明らかになる前から実施されている指定施設待機措置も含め、対象国・地域は、11月30日午前9時現在で合計44カ国となった。

※今回、オミクロン株関連における3日間、6日間待機国は12月1日から午前0時から運用開始

10日間待機国:

アンゴラ、エスワティニ、ザンビア、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、マラウイ、南アフリカ共和国、モザンビーク、レソト

6日間待機国:

イスラエル、イタリア、英国、オランダ、トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、ペルー

3日間待機国・地域:

アルゼンチン、ウクライナ、ウズベキスタン、エクアドル、オーストラリア、オーストリア、カナダ(オンタリオ州)、ケニア、コスタリカ、コロンビア、スリナム、チェコ、デンマーク、ドイツ、ドミニカ共和国、トルコ、ネパール、ハイチ、パキスタン、フィリピン、ブラジル、フランス、ベルギー、香港、モロッコ、モンゴル、ロシア(沿海地方、モスクワ市)

 上記は11月30日午前9時現在で発表されているものであるが、日々、情報が更新されることから、最新の情報は厚生労働省のホームページなどから確認するのが望ましい。

 ホテルでの待機期間最終日に陰性が確認され、指定日数の待機期間終了後は、バスで到着空港に戻された後に解散となり、公共交通機関を使わない形で自宅や自己手配のホテルなどの自主待機場所へ入った後、帰国後14日間の残りの日数分が自主待機期間となる。

■自主待機期間の特例解除で、一律14日間の自主待機に

 また、海外から入国した場合の自宅もしくは自己手配によるホテル滞在などで他の人との接触を制限する自主待機についても、例外規定がなくなり、12月1日0時以降の入国において一律14日間の自主待機に変更される。

 これまでワクチン未接種者については、日本帰国後14日間の自主待機(到着日は含まないので実質は到着日を含めて15日間)となっていたが、ワクチン2回接種者については、10月以降に自主待機期間10日目に抗原検査、PCR検査を受診して陰性が証明されると10日目の夜をもって自主待機期間が終了となっていた。

 更に11月8日からはビジネス目的での渡航時の帰国について、事前に企業側の受入責任者を決めて、4日目~10日目の活動計画書の事前承認などの手続きを踏むことで3日間待機+7日間の行動管理となる運用も開始されていたが、この措置も12月1日0時以降は認められず、14日間の自主待機に統一される。

■日本入国者数の総数を1日3500人目処に引き下げる

 日本政府は、羽田空港や成田空港をはじめとした入国時の抗原検査や書類チェックの処理で入国者が増加することで長時間の待ち時間が発生、更に日本入国後の入国者健康確認センター(厚生労働省管轄)の健康フォローアップの体制などの観点から1日あたり日本に入国できる人数をこれまで3500人にしていたが、感染者数が減少したことに加えて、処理速度の向上などにより11月26日から1日5000人までに拡大していたが、12月1日より1日3500人を目処に引き下げることを発表した。

 ただし、既存の予約についての配慮をするとのことで、既に予約済みの航空券については原則そのまま利用できることになるが、新規予約において影響が出ることも考えられる。だが、11月後半から増えていた外国人の日本行きの航空券が入国制限の影響でキャンセルが増えることになるほか、既に日本人の海外出張の延期や海外からの一時帰国の見合わせも相次いでいることで、1日3500人を下回る可能性もある。オミクロン株の特性が明らかになることでビジネス渡航者の動きも変わってくるだろう。

■日本入国後の入国者健康確認センターの健康フォローアップを強化へ

 日本政府や厚生労働省は、オミクロン株に関わる指定国からの入国者について、入国者健康確認センターの健康フォローアップを強化する方針を示している。

 これまでもビデオ通話を使ったAIや位置情報確認などが毎日義務づけられているなかで、ルール違反をしているケースも見られるが、罰則も限定的である。オミクロン株の日本国内への流入を阻止する意味でも、少なくても12月中は違反者に対して厳しい姿勢で対応すべきだろう。

 日々刻々と情報が更新されることから、最新情報は厚生労働省や首相官邸のホームページなどから確認していただきたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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