Go Toトラベルの再開時期についての公式発表がされない状況が続いているが、旅行・宿泊・観光・航空・鉄道の各業界からは早期の再開を望む声が多く上がっている。現在の課題と解決すべき点、早急に再開する為にはどうするべきであるか考える。

昨年7月22日に開始、12月28日に全国一時停止となり現在に至る

 Go Toトラベルは、宿泊代金・旅行代金の約半額を政府が補助する仕組みで、昨年7月22日に東京都発着以外を対象に開始し、地域共通クーポンの準備が間に合わなかったことから当初は35%割引のみで開始され、10月1日に東京都発着除外が解除され全国全ての旅行で利用できるようになり、35%割引に加えて15%分の地域共通クーポンの発行が開始された。

 地域共通クーポンは、旅行先の都道府県に隣接県も含める形で旅行最終日までの有効期限のクーポンとして、紙もしくは電子クーポンで発行され、飲食店、お土産店、物販店、観光施設、タクシーやバスなどのエリア内の交通機関、更には一部のコンビニエンスストアでも利用することが可能となっている。

 Go Toトラベルは、昨年10月・11月の2ヶ月間は多くの旅行者が利用したことで、ホテルや旅館などを中心に稼働率が大きく向上するなど、新型コロナウイルスによる旅行自粛による大幅な赤字を埋める大きな収入となった。

 しかし、感染の再拡大によって昨年11月24日には札幌市と大阪市を目的地とする旅行の新規予約停止、12月1日には65歳以上の高齢者の方及び基礎疾患を持っている人における東京都居住及び東京都を目的地にする旅行のGo Toトラベルの利用自粛要請、12月14日には東京都と名古屋市を目的地とする旅行の新規予約の停止、更に12月28日以降の全国一時停止が発表され、今年に入ってからはGo Toトラベルでの旅行は停止したままとなっている。

多くの人で賑わう10月3日日曜日の横浜中華街。昨年10月~12月は地域共通クーポンが飲食店やお土産店でも多く使われ、地域経済に大きく貢献した(筆者撮影)
多くの人で賑わう10月3日日曜日の横浜中華街。昨年10月~12月は地域共通クーポンが飲食店やお土産店でも多く使われ、地域経済に大きく貢献した(筆者撮影)

早期再開の声が高まってはいるが、ルールが決まらない現状

 Go Toトラベルは、7月14日の毎日新聞によると約2兆3700億円の予算の中で、実際に使われているのは約9400億円に留まっており、約4割しか使われていない。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が長期間に渡ったことから利用できる機会がなかったことで現状1兆円以上のお金が残っている。他のコロナ対策へ使用用途を変えるべきという声もあるが、少なくても早期に再開させることで、宿泊施設、旅行会社、そして観光地の飲食店やお土産店などを支援する体制を早急に行うべきである。

 関係者への取材では、現在議論されている内容としては、従来の35%割引+15%分の地域共通クーポンの枠組みを変更し、平日と週末で割引率を変えたり、地域共通クーポンの発行基準の見直し、更に中小のホテル・旅館もしくは価格帯の安い宿泊施設に対して割引率を高くするなどについても議論されている模様だ。昨年のGo Toトラベルでは価格帯の高い高級ホテル、リゾートホテル、高級旅館などに特に利用が集中したということもあり、見直しの声が出ていた。

新ルール適用にはルール決定から最低1ヶ月は開始までにかかる

 このような状況のなかで、業界関係者から聞かれる声として、Go Toトラベル再開の日程も早く決めて欲しいところだが、それ以上に新ルールの決定を急いで欲しいという声がある。特に宿泊予約については、インターネットでの旅行予約サイトや旅行会社のWEBサイトなどからの予約が多くを占めており、新ルールに対応したシステムを組む必要がある。

 一番問題になりそうなのが平日と週末の割引率が異なる場合においてだ。例えば木曜日にチェックインをして日曜日にチェックアウトする場合には、平日と週末が1つの予約の中に混在することになる。そうなると、予約システム的に異なった割引率を1つの予約に混在させることは難しいということになる。割引率は平日・週末を同じにして、地域共通クーポンの付与率を平日・週末で変える方がシステム的には容易になる。また、宿泊料金によって割引率が異なる場合のシステム対応も準備に多少時間はかかるが、これまでも規定金額以上でクーポンが適用されるキャンペーンはあったことから、曜日による割引率の違いに比べると準備時間は短く済むが、それでもそれなりの時間が必要となる。

 最低でもシステムの構築には1ヶ月以上は要するとのことで、仮に今月中に方針が示されたとしても、早くても11月後半以降、場合によっては年明けにずれ込む可能性も十分に考えられる。今のうちに準備だけでもできれば、急にGo Toトラベルが開始されても対応できるが、方針が決まらない以上は何もできないという問題がある。岸田首相が提唱する「Go To2.0」ではワクチン接種証明書もしくは直近の陰性証明書を求める方針であるが、その点についても早い段階で明確にして欲しいところだ。

兵庫県の城崎温泉。11月6日に松葉ガニが解禁されることで、早期のGo Toトラベル再開に期待する声が上がっていた(10月8日、筆者撮影)
兵庫県の城崎温泉。11月6日に松葉ガニが解禁されることで、早期のGo Toトラベル再開に期待する声が上がっていた(10月8日、筆者撮影)

城崎温泉は、伊丹空港から飛行機で約35分で行けるコウノトリ但馬空港から近い(10月8日、筆者撮影)
城崎温泉は、伊丹空港から飛行機で約35分で行けるコウノトリ但馬空港から近い(10月8日、筆者撮影)

昨年と同じルールで迅速に再開し、新ルールが決定次第、順次移行する方法もある

 すぐに開始するのであれば現行ルールで再開した後、新ルールに移行する方法もある。新ルールの準備ができるまでの期間は、昨年と同じく1人1泊あたり4万円までの宿泊料金・旅行代金を上限とした35%割引(1泊1人あたりの上限1万4000円)+15%分の地域共通クーポン(1泊1人あたり上限6000円)の付与で再開させ、新ルールが決定した時点で来年の1月もしくは2月あたりで新ルールに移行するという流れもありだろう。

飛行機や新幹線の単独利用時にGo Toを適用して欲しいという利用者の声も

 様々な議論があるなかで、最近の旅行スタイルとして、飛行機や新幹線などの交通機関やレンタカーなどといった旅行先までの移動手段と宿泊するホテルや旅館などの予約を別々にするケースが増えているが、Go Toトラベルでは宿泊施設のみもしくは飛行機や新幹線などと宿泊がセットになったパッケージツアーが対象となっており、別々に手配すると宿泊施設しかGo Toトラベルの恩恵を受けることができない。利用者からは移動の交通手段を単独で予約する場合でもGo Toトラベルを適用して欲しいという声も多く上がっている。

 国内線や新幹線を個別で予約する場合にもGo Toトラベルを適用することができれば、もっと国内旅行に出かけたいという人が増える可能性は十分に考えられる。仮に10%割引であっても利用者促進に繋がることにもなるほか、国内線や新幹線・特急利用者に対して地域共通クーポンを配布することで、観光地での消費にも繋がることになる。

 今回の新型コロナウイルスの影響で航空会社では大量減便、新幹線でも臨時列車の運転を取りやめるなど、経営面でも大きな影響が出ている。Go Toトラベルでの恩恵は宿泊施設や旅行会社に比べると少なく、国内線や新幹線の活性化策を外国人観光客が全く見込めない状況のなかで、将来へ向けたインバウンドの復活も含め、少なくても今は日本国民の国内旅行促進において、航空会社や鉄道会社についても政府が具体的に支援することを考える時期に来ているのではないかと思う。

10月9日(土)の羽田空港第2ターミナル。緊急事態宣言が解除され国内線利用者も回復傾向に(筆者撮影)
10月9日(土)の羽田空港第2ターミナル。緊急事態宣言が解除され国内線利用者も回復傾向に(筆者撮影)

11月の紅葉シーズンには間に合わない可能性が高まる

 新型コロナウイルスの新規感染者数が減少しているなか、11月の秋の行楽シーズンにGo Toトラベルを再開したいという業界関係者の声は厳しいものになっており、今は各自治体が主導する県民向けの宿泊キャンペーンにしか期待できない状況になっている。これから紅葉の時期を迎えるほか、日本海側の各地では松葉ガニの解禁など旅行に出かけたくなるイベントも多い。

感染者数の減少が続けば、週末を中心に11月の京都は紅葉を楽しむ人で賑わうことになりそうだ(2020年12月1日、清水寺にて筆者撮影)
感染者数の減少が続けば、週末を中心に11月の京都は紅葉を楽しむ人で賑わうことになりそうだ(2020年12月1日、清水寺にて筆者撮影)

 Go Toトラベルの再開のタイミングは、政府の判断次第であり、11月後半もしくは12月といった年内の再開なのか、もしくは年明けにずれ込むのかは記事執筆時点では全くわからない状況である。具体的に動き出すのは10月31日の衆議院選挙後になりそうだが、昨年7月のGo Toトラベル開始時には開始12日前の突然の発表であった。その際には準備不足で旅行者も現場も混乱したが、今回はそのようなことがないようにして欲しいところだ。