3連休のGo Toトラベルでキャンセルが少ない理由は?キャンセル料問題、コロナ禍の旅行スタイル確立も

3連休初日(11月21日)朝6時半頃の羽田空港第2ターミナル(筆者撮影)

 3連休も最終日となったが、この1週間で東京都・大阪府・北海道などで過去最大の1日あたりの新型コロナウイルス感染者数を記録したが、直前での感染者拡大となったことやキャンセル料の問題もあり、予定変更せずにそのまま旅行に出かけた人が多かった。

秋の4連休よりも旅行者は増加。羽田空港・東京駅なども混雑

 3連休初日の羽田空港や東京駅などでは大きな荷物を持った旅行客で賑わい、満席で出発する飛行機・新幹線も多く、ANA(全日本空輸)によると、11月20日(金)時点でANA国内線の予約数は3連休初日の21日(土)が10.1万人、3連休最終日の23日(月)で10.4万人となっており、9月の4連休初日の9月21日(土)と比べても1日あたり+1万人の利用者になっているとのことだ。観光地の混雑状況を見ても明らかに9月の4連休以上の人出になっている。

東京都内でも多くの人が出ていた(11月22日午後1時過ぎ、銀座にて筆者撮影)
東京都内でも多くの人が出ていた(11月22日午後1時過ぎ、銀座にて筆者撮影)

リゾート地・観光地のホテルはキャンセルは少なかった

 筆者は、沖縄県内のリゾートホテルをはじめ、日本全国のいくつかのホテル・旅館に電話取材したが、北海道のホテルでは一部キャンセルが出ているが、その他のエリアではほとんどキャンセルは出ておらず、予定通りにチェックインしているとのことだ。また若干キャンセルが出ても人気観光地ではすぐに新規の予約が入ったというホテルもあった。筆者自身も3連休初日の21日夕方と22日午後に東京・千代田区の「ホテルニューオータニ東京」に滞在していた際、フロント前にはチェックインの長い列ができているなど、ホテルは満室だった。近年、外国人観光客に支えられている部分も多かったホテルにおいて、Go Toトラベル効果で日本人で賑わっているのは事実だ。

東京都内のホテルも多くの人で賑わっていた(11月23日午後4時頃、ホテルニューオータニ東京にて筆者撮影)
東京都内のホテルも多くの人で賑わっていた(11月23日午後4時頃、ホテルニューオータニ東京にて筆者撮影)

密を避ける目的でリゾート地に旅行する人も

 沖縄・宮古島の全室コテージタイプのホテル関係者に話を聞くと、「密を回避」+「非日常の時間を過ごす」ことを目的にホテルに宿泊する旅行者が多いと話す。今年の夏以降、今まで以上にホテル内で過ごす時間が増えていると共に、夕食をホテルで食べる比率が格段に向上し、10月1日から発行が開始されたGo Toトラベルの「地域共通クーポン」(旅行・宿泊代金の15%分)を使って、宿泊料金に含まれていない夕食時のドリンク代やルームサービスで利用するケースが増えているそうだ。

飛行機や新幹線のクラスターは起こっていない

 年末年始へ向けて、今後の予約を心配する声もホテル内ではあったが、お客様の声として「飛行機やホテルでクラスターが出ておらず、Go Toトラベルでの感染者も少ない。羽田空港まで自家用車で移動し、飛行機で宮古島に到着してレンタカーを借りるので、密にならずに旅行を楽しめる」という声があるそうだ。結果、年末年始のキャンセルも現時点ではほとんどないそうだ。温泉地でも同様で、いくつかの温泉宿に取材をしたが、沖縄のリゾートホテル同様にキャンセルは現時点では限定的と話す。

 7月のGo Toトラベル開始時には、飛行機や新幹線が密になるという声も出ていたが、飛行機の機内は約3分で全ての空気を入れ替わる高性能フィルターを完備しているほか、新幹線でも6~8分で空調装置や換気装置を活用して全ての空気が入れ替わる仕組みになっており、実際に飛行機・新幹線でのクラスターは国内で一度も発生していない。

2019年3月に定期便が就航した下地島空港(みやこ下地島空港ターミナル)。宮古島へは伊良部大橋経由で約30分でアクセスできる。今年10月にはスカイマークも羽田~下地島線を就航(10月25日筆者撮影)
2019年3月に定期便が就航した下地島空港(みやこ下地島空港ターミナル)。宮古島へは伊良部大橋経由で約30分でアクセスできる。今年10月にはスカイマークも羽田~下地島線を就航(10月25日筆者撮影)

人気観光地がある地域の感染者が必ずしも多くない

 加えて観光客が急増している京都府では、東京・大阪・愛知・北海道などと比べると感染者は少なく、11月に入って最も多い11月17日で49名、その後も40名を超えた日は1日も出ておらず、11月22日も24名の感染者になっている(大阪府は22日に490人の感染者を記録)。また沖縄県でも11月19日に54人を記録しているが、その後も40人前後で推移しており、Go Toトラベルが感染者数を急増させた直接的な因果関係はないと考える旅行者も多い。

 政府もGo Toトラベル利用の感染者が、10月末時点でのべ3976万人の利用に対し、11月9日までに131人だったと発表している。

旅行よりも日常生活の通勤の方が怖い

 予定通りに3連休に沖縄旅行へ出かけた東京都内在住の旅行者に話を聞くと「7月にGo Toトラベルが始まって以降、宿泊施設のコロナ対策は万全であり、旅行中に怖い思いをしたことはない。加えて自分も感染したくないので、旅行中はマスク着用や頻繁に消毒するなど気をつけており、数回の旅行を通じて、コロナ禍の新しい旅行スタイルが確立してきたと思うので、今回も予定通りに出かけた」と話す。ただ、観光地の飲食店で密になっている店もあり、そういったお店は避けているという声も多く、結果的に宿泊施設内での食事が増えている。

 加えて「最近はテレワークから通常勤務に戻る企業が明らかに増え、通勤列車の混雑が戻ってきている。ホテルの感染対策は万全だが、都内の飲食店では店によっては仕切りもなく、騒いでいるお客もいるなど日常生活の方が怖い。テレワークの再徹底と飲食店のコロナ対策の徹底をするべきであり、Go Toトラベルよりも感染リスクは高いと感じている」と話す。

感染拡大地域のGoTo一時除外は今週中にも

 ただ、感染者が拡大している地域への旅行は行くかどうか迷うとも話す。「感染拡大地域への旅行は、仮に密にならない旅行でも心から楽しめないのでキャンセルするかもしれない」とのことだ。その場合にキャンセル料の問題が出てくる。キャンセル料なしで旅行を取りやめることができるのであればキャンセルしたい旅行者も多いが、高額のキャンセル料が取られるくらいならコロナに気をつけながら予定通りに出かける旅行者が多かった。

 この3連休では、3連休初日の3日前の11月18日(水)午後に東京都内の感染者数が493人に急増したことで、既にパッケージツアーにおけるキャンセル料が30%(Go Toトラベルの割引適用前の通常価格に対してのキャンセル料が必要)になっていたことも、3連休のキャンセルが少なかった要因だと話すホテル関係者の声もあった。この3連休は直前の感染者拡大だったことでキャンセルが限定的であったが、来週末以降は、キャンセルが相次ぐ可能性が高いという旅行会社・宿泊施設・航空会社関係者の声は多い。

 新型コロナウイルスの感染者が拡大しているなかで、政府はGo Toトラベルの一部地域における一時予約停止措置(一時除外)の検討に入り、3連休明けの24日(火)にも観光庁から方針が示される可能性が高い。感染拡大地域のGo Toトラベルを一時除外することの意義は大きく、同時にGo Toイートの一時停止も含め、人の動きを減らす大きな効果になるだろう。その為にも、旅行予約サイトのシステム変更の問題もあるが、今週中にも感染拡大地域の一時除外を実行すべきだ。キャンセル料を国が負担することで人の動きは大きく減ることになるだろう。

都道府県単位ではなくエリアで一時除外すべきの声が多い

 今回の一時除外は、都道府県単位ではなく、同じ県内であっても感染者が拡大しているエリアに限定するのが望ましいだろう。北海道では、札幌市が感染者の中心であることから、観光客が多い函館市のホテルなどでは一時除外しないで欲しいという声が上がっている。

 

 Go Toトラベルによる経済効果は大きく、感染者数推移を見ながら、可能である限りは継続して欲しいという切実な声があり、宿泊施設だけでなく、地域共通クーポンが利用できる飲食店やお土産店からも同様の声が出ている。そういった意味でも、一時除外する場合の該当地域への経済的支援についても同時並行で議論すべきだ。

函館山からの函館市内の夜景(2020年7月、筆者撮影)
函館山からの函館市内の夜景(2020年7月、筆者撮影)

 旅行者においても、感染者数の推移やGo Toトラベルの一時除外の状況を見ながら、冷静な判断が求められることになるだろう。