現在の帰国時のPCR検査体制は?成田空港、PCR検査待ちで飛行機から降りれず折り返し便が大幅遅延

多くの国際線が運休しているが、一部便に限って運航している(成田空港にて筆者撮影)

 成田空港では、現在でもほとんどの国際線が新型コロナウイルスによる入国制限の影響で運休に追い込まれているが、それでも1日10便程度の国際線が成田空港に到着している。6月28日(日)は成田国際空港ホームページで確認したところ26便の国際線が到着している。29日(月)の国際線は16便となっており、この2ヶ月の傾向としては特に日曜日に到着便が多くなっている。

 国としては、アメリカ、カナダ、メキシコ、フランス、オランダ、中国、韓国、台湾、マレーシア、インドネシア、ベトナム、カタールなどから成田空港に到着しており、入国制限の影響もあり日本人が中心であるが、中には日本には入国せずに成田空港で国際線同士の日本人以外の乗継利用者もいる。

6月に入り、日本人の帰国者が増えている

 日本全国の緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、緊急事態宣言中は動かなかった海外在住の日本人の帰国も徐々に増えている模様で、6月28日には成田空港での新型コロナウイルスの検査数が1日あたり1000件を超えたことがテレビや新聞などのメディアで報じられている。実際に6月前半に日本に帰国した日本人に話を聞いても機内も半分以上の乗客が乗っていたと話すなど、特に6月に入って運航されている数少ない国際線の便に搭乗する日本人が増えているようだ。

上海からの到着便、降機に時間を要して折り返し便が大幅遅延

 このような状況の中で、6月28日(日)にPCR検査が混雑した影響で折り返し便が大幅遅延となったことが明らかになった。中国・上海からの春秋航空便が19時50分に成田空港に到着したのだが(定刻:19時00分着)、PCR検査ブースが混雑していたことからゲートに到着後も機内待機となり、ソーシャルディスタンスを確保するべく、少人数単位で飛行機から降機する対応が取られた。

 その為に折り返し便として当初は20時00分に出発する予定だったが、全ての乗客が飛行機から降りてから清掃や給油などの出発準備が行われたことで、最終的に3時間48分遅れの23時48分に成田空港のゲートから出発した。インターネットの飛行機追跡サイト「flightrader24」の情報によると成田空港の運用時間の24時から2分超過した24時02分に離陸した模様で門限破りになってしまった。

 ただ、上海からの到着便自体も50分遅延の19時50分に到着していることから、到着から約1時間後の21時前(定刻は20時発)には出発可能だったが、結果的には24時前の出発になってしまった。検疫遅れによる遅延は約3時間と計算できる。特に春秋航空(今回遅延した便は、日本国籍のスプリング・ジャパンではなく、中国国籍の春秋航空)などのLCC(格安航空会社)では国際線でも折り返し時間を1時間程度に設定しており、大手航空会社(フルサービスキャリア)のように数時間以上の駐機をしないことも折り返し便の大幅遅延に繋がっている。

6月前半に帰国した人の成田空港到着後の流れは?

 今回、24時の運用時間を過ぎてしまっての離陸になったことでニュースとしても大きく取りあげられているが、実態はどうなっているのか?6月前半に成田空港に到着した日本人が帰国した際の流れについて取材することができた。取材した30代男性は、フィリピンのセブからソウルで乗り継ぎ、韓国籍のLCCであるチェジュ航空便で帰国した。昼過ぎに成田空港に到着したが、やはりPCR検査を受ける人が多く、ゲートに到着後、約1時間強の時間、機内待機となった。ようやく飛行機から降りてから約30分ほどでPCR検査を受けることができたそうだ。

 PCR検査後、自宅まで公共交通機関を使わずに帰れる人はPCR検査の結果を自宅で待つことが可能で、そのまま到着ロビーに出て速やかに自宅へ向かうことになるが、成田空港から自宅まで離れており公共交通機関以外で戻れない場合や家族への感染リスクを回避する為に到着後すぐに自宅に戻ることを希望しない場合は、PCR検査の結果が出るまで国の負担で空港近隣ホテルに滞在することになっている。陰性の場合でも原則2泊の宿泊となるそうだ。

6月前半にチェジュ航空で成田空港に到着した際の機内の様子(乗客提供、以下全て同じ)
6月前半にチェジュ航空で成田空港に到着した際の機内の様子(乗客提供、以下全て同じ)
第3ターミナル到着後にPCR検査をする第2ターミナルへ移動
第3ターミナル到着後にPCR検査をする第2ターミナルへ移動
成田空港では質問票に海外での滞在国や日本での連絡先などを記載した後、入国した次の日から起算して14日間、外出せずに人との接触を避けることなどを要請する要請書(写真)が配られた
成田空港では質問票に海外での滞在国や日本での連絡先などを記載した後、入国した次の日から起算して14日間、外出せずに人との接触を避けることなどを要請する要請書(写真)が配られた
待機場所や待機場所への移動手段について回答する申告書も提出する
待機場所や待機場所への移動手段について回答する申告書も提出する

飛行機到着から約4時間、ホテルへ向かうバスが出発

 この30代男性は、一時滞在施設になっている成田空港近隣ホテルへ向かうことになったが、成田空港からホテルへ送迎するビニールで包まれたシートになっているバスは2時間に1本程度になっていることから、約1時間半、空港内の待機場所で待ったそうだ。

 最終的に成田空港を出たのは飛行機到着から約4時間後で、バスの中で宿泊するホテルのカードキーが渡され、滞在におけるルールや食事の提供時間・提供方法などについて案内され、陰性が確認されれば指定ホテルに2泊した後、公共交通機関を使わずに自宅に戻るか、自費負担でホテルに滞在するなど日本到着の次の日から起算して14日間の待機期間を経て、公共交通機関での移動が可能となる。

空港周辺ホテルへのバス発車までの待機場所にはダンボールベッドが設置されているそうだ
空港周辺ホテルへのバス発車までの待機場所にはダンボールベッドが設置されているそうだ
公共交通機関で自宅に戻れない人などは、国が用意したバスでPCR検査の結果が出るまで待機する空港周辺ホテルへ移動する
公共交通機関で自宅に戻れない人などは、国が用意したバスでPCR検査の結果が出るまで待機する空港周辺ホテルへ移動する
待機するホテルへ移動するバス車内は座席をシートで覆われていた
待機するホテルへ移動するバス車内は座席をシートで覆われていた

一時待機のホテルでの過ごし方

 ホテルでは「一時待機の手引き」が配布されるが、コンビニ利用や喫煙のための外出も禁止されるが、ホテル内の無料Wi-Fiは利用可能となっている。30代男性が成田空港周辺ホテルに宿泊した際には、朝食は朝8時~9時頃、昼食は12時~13時頃、夕食は17時半~18時半頃(ただし到着が遅い場合は到着後すぐ)となっており、館内放送でアナウンスによってドアノブに掛けられている袋に入ったお弁当と飲み物を受け取ることが可能だそうだ。指定ホテル滞在中の飲酒・喫煙は禁止されている。

到着後初日の夜にホテルで提供された夕食のお弁当
到着後初日の夜にホテルで提供された夕食のお弁当
ホテル宿泊翌朝に提供された朝食
ホテル宿泊翌朝に提供された朝食
狭い部屋で体が十分に動かせないことから、部屋の中でできる軽い体操やストレッチ方法などを書いた紙も配布されたそうだ
狭い部屋で体が十分に動かせないことから、部屋の中でできる軽い体操やストレッチ方法などを書いた紙も配布されたそうだ

 そして、陰性が確認されて指定ホテルから退所する際には、成田空港周辺ホテルの場合は、成田空港、成田空港駅周辺の主要ホテル、羽田空港、羽田空港周辺及び天王洲アイル、品川駅周辺主要ホテルまでバスで送迎してくれるほか、家族などが自家用車で迎えにいくことも可能となっている。またレンタカー利用の場合は一旦成田空港へ向かうことになるそうだ。その後の待機場所のホテルを確保できていない場合には通常の宿泊料金になるが、都内のビジネスホテルを紹介してもらうことも可能で、待機場所のホテルからバスで送迎してもらえるとのことだ。

ほとんどの帰国者がPCR検査の対象となったのは4月3日から

 取材を進めていると4月3日にアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中東のほとんどの国で入国制限が強化されて以降、日本人帰国者のほとんどがPCR検査の対象となった。4月中旬までは検査体制が十分に整ってなかったこともあり、長時間の待機になっていたが、5月に入ってからは国際線のほとんどの便で運休となったことに加えて、帰国する日本人も減ったことで待ち時間が減ったという話も聞かれていたが、日本国内の緊急事態宣言解除後から日本人の帰国者も増えたことで再び待ち時間が増えているようだ。

関連記事:新型コロナによる海外からの入国拒否や検疫強化の中身は?日本人も帰国後に空港でPCR検査を実施(4月10日掲載)

日本人帰国者の増加や入国制限の一部緩和に検疫は対応できるか?

  7月にはオーストラリア、ニュージーランド、タイ、ベトナムの4カ国から条件付きでビジネス渡航者を1日あたり250人程度、日本入国を認める方向になっているほか、EU(ヨーロッパ諸国)でも一部の国では日本人の入国が条件付きで認められるようになる。更にトルコやグアムなどでも日本人の入国を認める動きがあるほか、ハワイ州でも8月1日から事前にPCR検査などを条件に日本人の入国を認めることを決めた。

 どのケースでも仮に海外の国に入国できた場合でも、日本帰国時に14日間の待機となることから、仮に1週間の旅行の場合、帰国後14日間の待機も含めて3週間の予定を空けないといけない。

7月以降、日本を出国する人の帰国時PCR検査を自己負担にすべき

 今後は自己責任で海外へ渡航するケースも出てくることが想定されるが、現状では日本帰国時のPCR検査は全て政府負担(結果が出るまでのホテル代も政府負担)となっている。新型コロナウイルスによる入国制限開始前に出国した人については、政府負担でも特段問題ないと考えるが、入国制限開始後に日本を出国して、その後に帰国した場合のPCR検査費用は自己負担にするべきだと思う。

 自己責任で海外へ出国した人の検査費用まで税金投入する必要はなく、少なくても 7月以降に出国する人に対しては検査費用の実費を支払うことを了承した上で出国させるべきであると考える。PCR検査の検査料は検査機関では1万9500円、自ら検査ができる医療機関では1万5000円となっている。3月から保険適用が開始されたことで3割負担の場合は5850円もしくは4500円になるが、保険適用の有無はともかく、一定金額を負担させるべきだろう。

6月21日(日)午後の成田空港第2ターミナル。ほとんど便が運休で閑散としていた(筆者撮影)
6月21日(日)午後の成田空港第2ターミナル。ほとんど便が運休で閑散としていた(筆者撮影)

検疫体制の強化が求められる

 7月以降、少しずつではあるが一部国際線の便が再開されることになっており、必然的に日本人の帰国者が更に増えることに加え、一部の国からのビジネス目的の外国人入国制限も緩和されることになれば、PCR検査における待ち時間が現在よりも拡大する可能性も考えられる。

 成田空港・羽田空港・関西空港・中部空港などの国内主要空港の検疫体制が、7月以降に増加する到着客に対応できる体制を構築するまでは、安易な入国制限の緩和や国際線旅客便の再開をすべきではないだろう。