羽田空港、国際線発着枠が発表。イタリア、トルコ、ロシア、インドへも羽田から行ける。エリア別の傾向は?

羽田空港国際線ターミナルの保安検査場入口(2019年7月、筆者作成)

 国土交通省航空局は、2020年3月29日から拡大される羽田空港の昼間時間帯国際線発着枠(年間約3.9万回=50往復分)の配分を9月2日の午後に発表した。

アメリカや中国をはじめ、9つの国・地域に配分

50便(往復)の発着枠配分については、国別では以下の通り。

アメリカ:24便

中国:8便

ロシア:4便

オーストラリア:4便

インド:2便

イタリア:2便

トルコ:2便

フィンランド:2便

スカンジナビア(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国):2便

合計50便

ロシア、インド、イタリア、トルコ、フィンランド、スカンジナビアが羽田乗り入れへ

 日本の航空会社が25便、海外航空会社が25便となり、基本的には双方の国の航空会社が運航することになる。アメリカ路線については先行して24便が配分されることが発表されていたこともあり、残りの26便の配分に注目が集まっていた。

 その中で今回、既に昼間時間帯発着枠がある国で増便になるのが、アメリカと中国の2カ国。深夜早朝時間帯に運航があるが昼間時間帯がなく、今回昼間時間帯の運航が認められたのがオーストラリア、昼間時間帯が認められたことで初めて就航するのがロシア、インド、イタリア、トルコ、フィンランド、スカンジナビア(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国の中で調整)の5カ国となった。全部で9つの国・地域に配分されたことになる。

国内の航空会社への配分はANA13.5便、JAL11.5便

 気になるのが国内航空会社の配分となったが、全体ではANA(全日本空輸)が13.5便、JAL(日本航空)が11.5便という配分となった。現在の国際線における輸送力に基づいて配分比率が決定されたようだ。

国内航空会社分の25便については、以下の通り。

アメリカ:ANA6便、JAL6便

中国:ANA2便、JAL2便

ロシア:ANA1便、JAL1便

オーストラリア:ANA1便、JAL1便

インド:ANA0.5便、JAL0.5便

イタリア:ANA1便

トルコ:ANA1便

フィンランド:JAL1便

スカンジナビア(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国):ANA1便

 アメリカ、中国、ロシア、オーストラリア、インドはANAとJALにそれぞれ配分され、イタリア、トルコ、スカンジナビアはANA、フィンランドはJALに配分された。インドへのANA、JALの0.5枠は片道は日中枠・片道は深夜早朝枠を活用することで1日1往復の運航が可能となる。

 ここからはエリア別の傾向について考える。

■北米路線

 現状、アメリカとカナダに昼間時間帯の発着枠が配分されているが、今回はアメリカの発着枠のみ拡大され、現在の10便から34便に拡大されることになった。アメリカ側航空会社の12便については、デルタ航空5便、ユナイテッド航空4便、アメリカン航空2便、ハワイアン航空1便で既に確定している。

 日本側はANAとJALがそれぞれ6便ずつ配分されたことから、今後就航路線の検討に入る。ANAは成田からロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、サンノゼ、シカゴ、ヒューストン、ワシントンDC、ニューヨーク、ホノルルに就航、羽田からロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、ホノルルに就航している。またJALは成田からロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、シカゴ、ダラス、ボストン、ホノルル、羽田からサンフランシスコ、ニューヨークに就航している。

 アメリカの航空会社では、デルタ航空が全便を羽田発着に変更することを発表し、ユナイテッド航空は一部便を羽田に移管したが、成田から移管せずに羽田からも新たに発着する路線(ロサンゼルス、ニューヨーク)もある。

 ANAやJALも今後就航路線を検討していくことになるが、両航空会社共に、成田空港ではアジアと北米の流動を取り込むべく、成田乗り継ぎでの利用(日本には入国しない外国人)が増えていることから、一部路線を成田から羽田へ移管する可能性も考えられるが、成田を維持したまま羽田からも就航する路線が多くなるだろう。

■ヨーロッパ路線

 現在、昼間時間帯の発着枠があるのは、イギリス、フランス、ドイツの3カ国になるが、新たにロシア、イタリア、トルコ、フィンランド、スカンジナビア(デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国)が加わるが、イギリス、フランス、ドイツへの発着枠の追加はなかった。

 ロシアはアエロフロート・ロシア航空、イタリアはアリタリア-イタリア航空、トルコはターキッシュ エアラインズ、フィンランドはフィンエアー、スカンジナビアはスカンジナビア航空が羽田に乗り入れる可能性が非常に高いだろう。ロシアはモスクワ、トルコはイスタンブール、フィンランドはヘルシンキで決まりだと思うが、スカンジナビアも現状を考えるとスカンジナビア航空が現在就航するコペンハーゲンの可能性が高い。イタリアはローマかミラノのどちらかになるだろう。

 また、日本の航空会社については、ANAのトルコはイスタンブールが有力になるが、イタリアとスカンジナビアの就航都市がどこになるのか注目だ。特にスカンジナビアは、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーと3カ国あるが、デンマークとスウェーデンのどちらかになると筆者は推測しているが、今後ANA側からの発表を楽しみにしたい。JAL単独のフィンランドはヘルシンキが有力だろう。

 今回、中東系航空会社が拠点を置く、UAEやカタールなどへの配分はなかった。

■オセアニア路線

 現在、深夜早朝時間帯でANAとカンタス航空が羽田~シドニー便を運航しているが、深夜早朝時間帯の現在の便をどうするのかも含めて、ANAとカンタス航空は、日中時間帯の発着枠をどう活用するのか注目される。ANAは羽田~シドニーと9月1日に就航したばかりの成田~パース線の2路線、カンタス航空は羽田~シドニー、成田~ブリスベン、成田~メルボルンの3路線を運航している。

 JALは成田~シドニーと成田~メルボルンの2路線を運航していることから、どちらかの路線が羽田に来る可能性が高く、都市の規模を考えるとシドニーの可能性が高いと考える。

■アジア路線

 今回新たに日中時間帯の発着枠として認められたのが、中国、インドの2カ国となった。中国は、9つの国・地域の中でアメリカに次ぐ8便を新たに獲得した。現在、日中時間帯は日本・中国双方の航空会社が北京、上海、広州に飛ばしているが、日本側4便、中国側4便が増えることで、北京、上海、広州への便を増やすのか、もしくは中国のその他の都市へ就航するのかにも注目される。

 日本側はANAとJALにそれぞれ2便ずつ配分されたが、中国側のどの航空会社に配分されるのかによっても路線展開が異なるだろう。中国については、国土交通省の発表によると、羽田発着枠配分のほか、成田、北京、上海に係る輸送量制限を大幅に緩和することを確認している。

 インドについては、ANAが成田~デリー、成田~ムンバイ、JALが成田~デリーに就航しており、10月27日からはANAが成田~チェンナイ、JALも2020年の夏ダイヤまでに成田~ベンガロール(バンガロール)に就航するが、羽田からの路線がデリーになるのか、それとも他の都市になるのかに注目だ。インド側はエア・インディアが就航する可能性が高いだろう。

 韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンの各国には、日中時間帯の発着枠があるが、今回は追加の増枠発表はなく、2020年3月29日以降も現在の便数を維持する。

ANA、JALそれぞれコメントを発表

 今回の決定について、ANAとJALからそれぞれコメントが発表されている。ANAホールディングスは「このたびの羽田国際線ならびに国内線の発着枠配分決定につきましては、首都圏空港の機能強化の実現に向けて、数々のご尽力をいただきました関係の皆様に深く感謝申し上げます。安全運航を第一に、落下物対策や騒音対策に引き続きしっかり取り組むとともに、 配分された貴重な発着枠を有効に活用し、訪日外国人旅行者の増加や日本の国際競争力強化に向けて努力して参ります」とコメントを出した。

 また、JALも「首都圏空港機能強化につきましては、関係自治体、住民の皆さま、および多くの関係の皆さまのご理解とご尽力によるものであり、心から感謝申し上げます。JALとしましても、引き続き落下物、騒音低減への万全な対策を行い、安全運航を堅持してまいります。今回の配分は、当社の意向を十分に汲んでいただいたものであり、今後の中期計画、グランドデザインを達成するうえで非常に大きな前進となると受け止めております。また羽田・成田の首都圏空港を最大限活用し、自社路線のみならず提携パートナーとのさらなる提携の拡大・深化を図り、より多くの地点を結び、2020年オリンピック・パラリンピック、その先の訪日外国人の拡大や地域活性化に対しヒトとモノを繋ぐ重要な役割を果たしてまいります」とコメントを出した。

 2020年3月29日からの羽田空港国際線の発着枠配分が発表されたことで、来春以降の出張や旅行で利用する飛行機の便の選択肢が増えることになりそうだ。