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関空の復旧状況。実際に空港ターミナル・飛行機を使って感じたこの1週間の大きな変化

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
損傷した橋げたが取り除かれ鉄道復旧へ向けた動きが加速(9月15日筆者撮影)

 9月4日(火)に近畿地方を襲った台風21号から11日目となった9月15日(土)に関西国際空港(以下関西空港)を取材した。

 筆者が前回取材したのはその6日前の9月9日(日)。9日は第2ターミナルの運用は開始されてから3日目でANA国際線、JAL国内線が第2ターミナルを使っていた状況だったのに対し、15日は第1ターミナルの南側の運用が開始され、第1ターミナルからの運航が開始された2日目であった。今回、9日と15日で便数やターミナル、空港アクセスなどの大きな変化についてレポートする。

14日に第1ターミナルの運用を再開

 定期便の運航状況は、9月4日(火)に滑走路閉鎖されたのち、損傷の少なかった第2ターミナル・B滑走路を使用し、まず9月7日(金)にピーチが17便(成田、那覇、仙台など)、JAL(日本航空)が2便(羽田)の運航を再開した。翌8日(土)にはANA(全日本空輸)も2便(上海)の運航を再開した。ANAやJALは第1ターミナルを使用しているが13日までは第2ターミナルに臨時のチェックインカウンターを設けて対応した。筆者も9日(日)にJALの羽田行きを利用したが、ピーチのチェックインカウンターの一部を間借りし、手書きの搭乗券での搭乗となった。イレギュラーな対応にも関わらず関係者の尽力もあってスムーズな利用ができた。

9月13日まではピーチのカウンターを間借りしてチェックイン手続きが行われた(9月9日撮影。以下全写真筆者撮影)
9月13日まではピーチのカウンターを間借りしてチェックイン手続きが行われた(9月9日撮影。以下全写真筆者撮影)
JAL羽田行きの搭乗券は手書きのものが渡された
JAL羽田行きの搭乗券は手書きのものが渡された

 その他にも中国の春秋航空、韓国のチェジュ航空、ジェットスター・ジャパンも第2ターミナルから一部便を運航したが、14日(金)からは第1ターミナルとA滑走路の運航を開始し、多くの航空会社が再開した。

この1週間で70便程度から200便強になった

 筆者の取材日ベースになるが、9月9日(日)は第2ターミナルからのみで70便程度(うち60便がピーチ)だったのが、15日(土)は第1ターミナル・第2ターミナル合わせて208便、16日(日)は212便まで運航が再開した。ただこれでも定期便全体の44%の運航便となっている。本日(17日)は227便(全体の47%)を運航する予定で、約1週間で約3倍の運航便となった。

第2ターミナルから発着するピーチは全便の運航を再開している
第2ターミナルから発着するピーチは全便の運航を再開している

空港アクセス。臨時シャトルバスも比較的スムーズ

 空港へのアクセスについても、この1週間で少し変化している。連絡橋は9月7日(金)よりタンカー衝突の損傷がなかった片側の車線を使い、通常3車線のところ、両方向1車線ずつで再開し、緊急車両に加えて、営業用乗合・貸切バス(リムジンバス・臨時シャトルバスなど)が走行できるようになった。また鉄道(JR西日本と南海電鉄)も関西空港対岸の「りんくうタウン」まで再開し、りんくうタウン駅から無料シャトルバスを頻繁に出している。当初は南海電鉄の泉佐野駅からで渋滞もあって時間を要していたが、りんくうタウンからになったことでスムーズになった。

9月9日時点ではまだ橋げたはそのままだった
9月9日時点ではまだ橋げたはそのままだった
9月9日時点では高速道路の案内板も線路に倒れかかっていた
9月9日時点では高速道路の案内板も線路に倒れかかっていた
9月15日に走行した際には損傷した橋げたは撤去され、線路にも作業車が入って復旧へ向けた作業が行われていた
9月15日に走行した際には損傷した橋げたは撤去され、線路にも作業車が入って復旧へ向けた作業が行われていた

 9日(日)時点ではりんくうタウン駅から第1ターミナル経由第2ターミナル行きだったが、15日(土)時点では第1ターミナルの運用も再開されていることから乗車時点でターミナルによってバスが分けられ、第1ターミナルまでは約15分、第2ターミナルまでは約20分の乗車時間だった。飛行機の発着が多い時間で一部混雑があったが、りんくうタウン駅では概ねバス停到着してから10分以内には乗車できていた。

りんくうタウン駅では第1ターミナルと第2ターミナルでシャトルバスが分けられた(9月15日撮影)
りんくうタウン駅では第1ターミナルと第2ターミナルでシャトルバスが分けられた(9月15日撮影)

 意外にスムーズに動いたのがリムジンバスで、一部路線で減便があるが概ね通常通りのダイヤとなっており、連絡橋も一般車の走行がないことからスムーズで阪神高速の渋滞がなければ、大阪駅前(梅田)から片道1時間だった。13日(木)までは飛行機の便数が少なかったことからバスの乗車率は低かったが、15日(土)は大阪駅前の新阪急ホテル前に行列が出来ていた。鉄道アクセスが寸断されているなかで大阪駅からの最短ルートになっている。

大阪駅(梅田)の新阪急ホテル前の関西空港行きのバス乗り場には長い列ができていた(9月15日撮影)
大阪駅(梅田)の新阪急ホテル前の関西空港行きのバス乗り場には長い列ができていた(9月15日撮影)

 また、神戸空港から乗船できる高速船「神戸・関空ベイシャトル」も7日から通常のダイヤに戻っている。14日(金)の第1ターミナル再開後は利用者が多ければ臨時便を出すことを明らかにしている。

第1ターミナルに電気・空調が戻ったが、一部店舗は停電が続くなど活気はない

 次にターミナルビル内についてであるが、第1ターミナルはこの1週間で大きく変化した。9月9日(日)時点では第1ターミナルの大部分が停電しており、空港会社の許可を得てターミナル内を取材したが、ターミナル内は空調が効かずに蒸し風呂状態で、太陽が入らない場所では昼間でも懐中電灯がなければ歩けない場所もあった。しかし14日(金)に第1ターミナルの運用が再開され、南側の電気や空調が復旧した。9日時点では眠っていたターミナルが生き返っていた。

9月9日、まだ停電中の第1ターミナル国際線チェックインカウンター
9月9日、まだ停電中の第1ターミナル国際線チェックインカウンター
9月9日はフードコートは昼間でも真っ暗だった
9月9日はフードコートは昼間でも真っ暗だった
9月9日の第1ターミナル2階にあるマクドナルド。奥のローソンは一部電気が通っていた
9月9日の第1ターミナル2階にあるマクドナルド。奥のローソンは一部電気が通っていた

 ただ北側の停電が一部続いており、停電エリアには2階の国内線チェックインエリアにある「マクドナルド」や「TSUTAYA」なども含まれ、店舗の営業状況も第1ターミナルは135店舗中93店舗(約7割)に留まる。再開した店舗も営業時間が短縮していることが多く、台風前の活気を取り戻せてはいない。

 筆者はANAの21時35分発の羽田行きで東京へ向かったが、保安検査場も通常通りで上級会員向けの「ANAラウンジ」も通常通りにオープンしていた。ゲート前のお店も開いており、保安検査通過後は通常時と変わらい光景だった。今回も第2ターミナルにも足を運んだが、既に飲食店やコンビニエンスストアなど全店舗の営業が9日の時点で再開されており、9日と15日で大きな変化はなかったが、ANAやJAL、ジェットスター・ジャパンなどが第1ターミナルに戻ったこともあり、特設カウンターがなくなり、いつもの光景に戻っていた。

9月15日、前日から第1ターミナルの運用も再開され国際線チェックインカウンターにも多く人が集まる
9月15日、前日から第1ターミナルの運用も再開され国際線チェックインカウンターにも多く人が集まる
フードコートは9月15日時点で電気は復活したがまだ営業は再開していなかった
フードコートは9月15日時点で電気は復活したがまだ営業は再開していなかった
9月15日の時点でまだ電気が戻っていないマクドナルドとTSUTAYA。21日までには電気も復旧する予定としている
9月15日の時点でまだ電気が戻っていないマクドナルドとTSUTAYA。21日までには電気も復旧する予定としている
9月15日のANA羽田行きの搭乗ゲート。ラウンジも含めて通常と変わらない運用だった
9月15日のANA羽田行きの搭乗ゲート。ラウンジも含めて通常と変わらない運用だった

9月18日(火)の始発から鉄道再開。21日(金)には飛行機も全便運航が可能な状態に

 今後については、当初は1ヶ月近い時間を要するとされていた鉄道が、JR西日本・南海電鉄共に9月18日(火)の始発から再開することが発表された。再開初日から通常ダイヤでの運転を予定している。また、第1ターミナル北側についても21日(金)から再開され、空港を運営する関西エアポートでは、航空会社の準備次第ではあるが、21日には全便運航が可能な状態になると話す。

明日9月18日から運転が再開される関西空港駅
明日9月18日から運転が再開される関西空港駅

 16日に行われた会見で関西エアポートの西尾裕専務執行役員は、鉄道再開は18日に前倒しされたが、第1ターミナル北側の再開が21日より前倒しすることは難しく、また自家用車やレンタカーの空港乗り入れについても、連絡橋が完全復旧するまでは今の状況(乗り入れ不可)が続くだろうと話した。

16日の会見で復旧状況について説明する関西エアポートの西尾裕専務執行役員
16日の会見で復旧状況について説明する関西エアポートの西尾裕専務執行役員

 少しずつ完全復旧へ向けて動き出している関西空港。21日には、ほぼ全便が再開されるが、しばらくは時間に余裕を持って空港へ向かうのがいいだろう。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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