自民党の総裁選が話題となっています.どうやら高市氏,河野氏,岸田氏が立候補して総裁選に挑むようです.

もちろん,ネット上でもこれらの候補者については多数言及されています.高市,河野,岸田が含まれるツイートを9月1日以降で数えてみると,

高市:255万

河野:170万

岸田:74万

となっています.

ただし,ネット上の言及数が多いからと言ってその候補が支持されているかどうかは別問題です.

そこで,ツイートをクラスタリングしてどのようなツイートが含まれているのか確認してみました.高市氏に関する結果は以下の通り.

高市氏に言及するツイートのクラスタリング結果(筆者作成)
高市氏に言及するツイートのクラスタリング結果(筆者作成)

大きく,支持的なツイート群(A)と批判的なツイート群(B)に分かれていました.支持的なツイート群のツイートをリツイートしていたアカウントは91,424ありました.ちなみに,ほかのアカウントに関しては,批判的なツイートが大半を占めていました.

ところで,ネット上では「高市氏の支持層とトランプ元大統領の支持層が被っている」あるいは「アメリカ大統領選挙が不正選挙だったとする層が被っている」という話が流れています.そこで,実際はどうなのか調べてみましょう.

ただし,どのアカウントが誰の支持者なのかどうかは実際のところは分かりませんので,仮に,

・高市氏を支持するツイートをリツイートしていたアカウント(長いので以下高市派)

・トランプ元大統領を支持するツイートをリツイートしていたアカウント(以下トランプ派)

がどの程度被っているのかから見てみましょう.

幸いにも,米国議会占拠事件の際のツイートを収集していましたので,こちらのデータを使ってトランプ元大統領支持層を抽出してみます.

アメリカ議会占拠事件時のツイートのクラスタリング結果(筆者作成)
アメリカ議会占拠事件時のツイートのクラスタリング結果(筆者作成)

大きく3つのクラスタが抽出され,トランプ元大統領支持ツイート(A)を取り出すことができました.このツイート群をリツイートしていたアカウント,すなわちトランプ派は127,620見つかりました(以前の記事後のデータも含まれているためアカウント数が増えています).

では,高市派のアカウント91,424のうちどの程度がトランプ派だったのでしょうか.

共通するアカウントを数えたところ,38,309アカウントが見つかりました.高市派の42%が議会占拠事件時のトランプ派だったことが分かりました.

逆に,トランプ派の30%が高市派でした.さらに,その中から「アメリカ大統領選挙は不正選挙だった」とするツイートをリツイートしたアカウントに限定すると,それらのアカウントの56.6%が高市派であり,高市派の18%が不正選挙ツイートをリツイートしていたことが分かりました.

というわけで,ネット上で見かけた「高市氏の支持層とトランプ元大統領の支持層が被っている」あるいは「アメリカ大統領選挙が不正選挙だったとする層が被っている」という説は間違っているとは言えないようです.

なお,高市氏自身は「右翼扱いされている」と述べているようですが,トランプ派には保守系のアカウントが多かったことも分かっているので,もしかするとネット上の支持者がその評価に影響しているのかもしれません.

ちなみに,同じ分析を河野氏と岸田氏でもやってみようかとおもったら,この二名については「支持層」と明確に言えるようなツイート群が発見できず断念しました.とはいえ,昨年の都知事選では小池都知事に対する支持層が見つからなかったにもかかわらず,小池都知事が選挙で勝っていましたので,所詮ネット上の言及数なんて当てにならないんですけどね・・・

こういった場合は世論調査の方がはるかに正確だと思います.むしろ,ネット上の情報を信じすぎるとエコーチェンバーにはまる可能性があるので気を付けたいところです.今回の件に限った話ではありませんが.