Yahoo!ニュース

【将棋】師弟戦に千日手。波乱含みの死闘を制してレジェンドチーム好発進!

遠山雄亮将棋プロ棋士 六段
記事中の画像作成:筆者

 23日(土)、ABEMAで第3回AbemaTVトーナメント予選Cリーグ第1試合が配信され、チーム康光が死闘を制した。

 予選Cリーグは、

  • チーム康光(佐藤康光九段、谷川浩司九段、森内俊之九段)
  • チーム糸谷(糸谷哲郎八段、高見泰地七段、都成竜馬六段)
  • チーム木村(木村一基王位、行方尚史九段、野月浩貴八段)

 以上の3チームで編成されている。

 このうち上位2チームが決勝トーナメントへ進出する。

 23日はチーム康光vsチーム糸谷が配信された。

 1回の対戦は三番勝負で、全対戦がフルセットに持ち込まれる死闘だった。

Twitter

 チーム康光はメンバーの豪華さもさることながら、この3名がTwitterの共同アカウントでツイートを行っていることも話題になっている。

 このように谷川九段が自分の駒で詰将棋を出題したり、3人が各々の名局を解説するなど、将棋ファンにとってはたまらないアカウントだ。

 今回の対局についての振り返りもツイートされている。

 なお、将棋界のレジェンドが揃うため、「チームレジェンド」と呼ばれることが多い。そのため、アカウント名にも「レジェンド」と入っている。

 チーム糸谷も共同アカウントを作っている。

 こちらは日常を綴った、ほのぼのしたツイートが多い印象だ。

 どちらのアカウントも第3回AbemaTVトーナメントの開催期間限定のため、フォローされるならばお早めに。

師弟戦

 最初の三番勝負は、谷川九段vs都成六段。

 師弟戦だ。

 公式戦では1度顔をあわせており、谷川九段が師匠の貫禄を示している。

 第1回戦、いきなりの波乱にネット上ではファンから悲鳴があがっていた。

 詰将棋の名手である谷川九段が詰みを逃したのだ。

 これが超早指し戦の怖いところである。

 局後のインタビューで谷川九段が珍しく感情を顕にし、「相当に悔しい負け方だった」と語っていたのが印象的だった。

 結果的にこの勝敗が影響し、三番勝負は弟子の都成六段が2勝1敗で制した。

矢倉対決

 次の三番勝負は森内九段vs高見七段。

 森内九段は、矢倉戦法(以下矢倉と略)で永世名人を獲得したと言っても過言ではない矢倉の名手である。

 対する高見七段も、若手棋士では随一の矢倉の名手である。

 矢倉の名手対決は、予想通り全局矢倉に進み、コクのある戦いとなった。

 高見七段が若手らしく新時代の矢倉をみせれば、森内九段もそれについていく。

 結果的には第2戦の競り合いで森内九段が勝ったのが大きく、三番勝負は2勝1敗で森内九段が制した。

 矢倉ではまだまだ負けない、そんな声が聞こえてきそうな森内九段の素晴らしい指しまわしが印象的だった。

千日手

 互いに相譲らず迎えた最終の三番勝負は佐藤九段vs糸谷八段。

 この対戦でも波乱が起きる。

 佐藤先勝で迎えた第2戦、なんと千日手で引き分けになったのだ。

 終盤戦、しかも入玉模様の中で急に現れた千日手には、ABEMAをご覧になっていた方も驚いたであろう。

 そして、1勝1敗1千日手、チームとしても4勝4敗1千日手で迎えた第3戦。

 筆者自身のツイートからも、興奮を感じる。

 その最後の勝負を制したのは佐藤九段。豪腕で攻め倒した会心の一局だった。

 なお全対局の模様はABEMAビデオで振り返り視聴が可能だ。千日手含む全10戦、見応え充分である。

待望のレジェンドチーム登場!予選Cリーグ 第一試合<チーム康光 VS チーム糸谷>

毎週土曜日

 予選からは3チーム中2チームが決勝トーナメントに進む。

 勝ったチーム康光は俄然有利になったが、チーム糸谷にも挽回の余地は十分にある。

 次回はチーム木村が登場する。平均年齢は46歳。

 「早指しは若手有利」と言われるが、その定説は平均年齢が50を超えるチーム康光が覆した。

 木村王位はじめ、歴戦の雄達の戦いぶりに注目が集まる。

 第3回AbemaTVトーナメントは毎週土曜日の19時からABEMAで配信されている。

 決勝トーナメントは生中継も予定されているとのことだ。

 今後もお見逃しなく。

将棋プロ棋士 六段

1979年東京都生まれ。将棋のプロ棋士。棋士会副会長。2005年、四段(プロ入り)。2018年、六段。2021年竜王戦で2組に昇級するなど、現役のプロ棋士として活躍。普及にも熱心で、ABEMAでのわかりやすい解説も好評だ。2022年9月に初段を目指す級位者向けの上達書「イチから学ぶ将棋のロジック」を上梓。他にも「ゼロからはじめる 大人のための将棋入門」「将棋・ひと目の歩の手筋」「将棋・ひと目の詰み」など著書多数。文春オンラインでも「将棋棋士・遠山雄亮の眼」連載中。2019年3月まで『モバイル編集長』として、将棋連盟のアプリ・AI・Web・ITの運営にも携わっていた。

遠山雄亮の最近の記事