今のままでは、日本は良質なファンドが育たない!

日本株アクティブファンドの雄'''「JPMザ・ジャパン」'''が、今、運用に苦しんでいる。

長きにわたりTOPIXや他の日本株ファンドを大幅に上回るパフォーマンスをあげてきた「JPMザ・ジャパン」は、今年の初めから主要な販売会社が強力な販売推進を行ったことで、昨年末に300億円程度の純資産が、わずか3ヶ月間で2000億円を超える規模になった。純資産が増えることは運用会社にとっては嬉しいことだが、実際に運用を手がけるファンドマネジャーにとっては、急激な純資産残高の増加は運用が難しくなると言う理由であまり喜ばしいことではない。

定期的に資金が流入し、少しずつ純資産が増えていくのであれば運用はしやすい。だが急激に残高が増えると、当然そのお金を現金のまま置いておくわけにはいかず投資する必要があるが、純資産残高が300億円のときのポートフォリオと、2000億円で運用するポートフォリオは明らかに違ってくる。投資する対象、銘柄数、投資額などが大きく変わってくるので、当然運用パフォーマンスにも影響が出てくる。

実際、2000億円を超える資金が集まり、4月9日に新規募集を締め切った後、「JPMザ・ジャパン」の5月の運用成績は、-9.4%、6月は、-8.1%で、ベンチマークであるTOPIX(配当込み)の5月の-2.5%、6月の0.0%に比べ、大きく劣後する運用成績となった。ポートフォリオの組み入れ銘柄からも運用の苦心が見て取れる。わずか一ヶ月であるが、5月と6月の組み入れ上位3銘柄が変わっている。もちろんアクティブ運用なので銘柄の入れ替えは当たり前だが、一ヶ月という短期間で、しかもポートフォリオの運用成績に多大な影響を及ぼす上位3銘柄が一気に入れ替わるのは滅多にないことだろう。

また、新規募集をストップしているので新しい資金は入ってこないが、一方では、投資家はいつでも解約出来るので、ファンドマネジャーは解約に備えた資金の用意をしておく必要がある。投資家の解約するボリュームやタイミングは運用会社ではコントロール出来ない。問題は資金が集まってきた時と同様のスピードで投資家が解約してくると、ファンドマネジャーは解約に備えた資金化に追われ、運用に相当な影響がでてしまう。早くも5月、6月と、連続で資金が流出し始めており、今後の資金流出の規模とスピードによっては、ファンドマネジャーは相当厳しい運用を強いられるかもしれない。

過去にも運用実績がよく、そこから資金が一気に集まり、純資産残高が大きくなった後に、運用パフォーマンスが悪くなり、資金も急速に流出し、更に運用成績が悪くなっていくという悪循環のファンドがいくつも存在した。もちろん、ファンドマネジャーと運用会社は運用パフォーマンスに対する責任は大きいが、「JPMザ・ジャパン」のように、あながち運用会社だけを責められるものではないかもしれない。

公募追加型の投資信託は、投資家がいつでも購入、解約出来るという利便性の高い商品であることは間違いない。ただ、だからと言って、短期で売買をするのではなく、中長期で腰を据えた投資を行い、ファンドマネジャーや運用会社を長い目で見守る姿勢のほうが、ファンドマネジャーの本来の力量が発揮され、結果的には良好な運用パフォーマンスにも繋がるのではないだろうか。

運用会社だけでなく、販売会社と投資家がいわば三位一体となって、ファンドを育てていかない限り、日本には良いファンドが育たない。