相場が上昇している今だからこそ、敢えて申し上げたいこと!

上昇相場が続く日本株。非常に強い相場であるが故、今迄懐疑的だった投資家も日本株の購入に積極的に動いている。また、これまで全く投資経験のない人までも、競って証券会社に口座を開設しているという。書店でも、半年前とは様変わりで、多数の投資関連本が棚に並べられ、四季報やマネー誌も売り切れになるという状態である。

こうした状況の中、投資家に「冷静に判断して投資をするように」と声をかけても、なかなか伝わらないのは致し方ないと思う。

ただ、それでも敢えて申し上げたいことは、投資関連本に書かれている内容や、所謂株式評論家や投資アドバイザーと称する人の話を鵜呑みにし、特定の銘柄の売買をすることは非常に危険である。かく言う私も、投資関連の書籍を刊行しているが、私の基本的な考えは、どのような相場状況でも投資家には常に分散投資を推奨している。

相場が上昇し、過熱してくると、今まで忍耐強く分散投資を堅持してきた投資家でも、上昇している市場への誘惑にかられ、ポートフォリオを崩して上昇相場に賭けてしまう。今の状況下で言えば、日本株に100%賭ける投資である。日本株への投資を否定するわけではないが、こういうときこそ、他の市場や他の資産クラスにも目を向けるゆとりが欲しい。

投資家の多くは、自分の投資の決断を誰かに背中を押してくれることを望むので、株式評論家や投資アドバイザーの話に耳を傾け、彼らを信じて売買してしまう。彼らの予測がたいして当たらなくても、彼らを信じる人が後を絶たないのは、確率論で言えば予測の半分は当たるからである。彼らは、当たった銘柄は大々的に宣伝し、外れた銘柄は無視をする。また、推奨銘柄が下げ続けない限り、時間軸を恣意的に取れば、当たったことにしてしまうのは容易である。

ただ、彼らが推奨する銘柄に投資をして、短期売買を繰り返しても、うまくいくのはほんの一握りの投資家である。また、短期売買は時間と労力の多くを要し、それらに見合うだけの満足したパフォーマンスを得ることも容易ではない。短期売買で労力を使うより、分散が図られているポートフォリオを購入し持ち続ける(Buy and Hold)ほうが、はるかに効率的に良いパフォーマンスを得られる場合が多い。

直近では、日本株の市場平均であるTOPIX(東証株価指数)は、野田元首相が衆議院解散を宣言した昨年の11月14日から4月30日までの上昇率が61.3%にもなる。この間、単純にTOPIXに連動するインデックスファンドを購入し持ち続けていれば、それだけの利益を効率的に確保出来たことになる。かたや、短期売買を繰り返して60%強の利益をあげることが出来た投資家は意外と少ないのではないだろうか。短期での銘柄売買は、販売会社にいたずらに手数料を払うことになり、投資家にとってのコスト負担も大きい。

どのような相場環境でも、分散の効いた投資信託という器は有効に活用できる。国や地域、資産クラスや投資スタイルの分散のみならず、特定の市場への投資、つまり日本株市場への投資においても投資信託の活用を検討してもらいたい。