日本株で長きにわたり高い運用実績をあげられたファンド、その好成績の理由は?

一般投資家が毎日売買出来る公募の投資信託の中で、日本株に投資する投資信託は600本以上も存在する。

その中で、長い間安定して高い運用実績をあげてきたファンドが、JPモルガン・アセット・マネジメントが運用する「JPMザ・ジャパン」である。2013年3月末基準の過去10年間の運用パフォーマンスは年率20.96%で、市場平均のTOPIX(東証株価指数)の2.76%を大きく上回る。

このファンドの特徴は、徹底した個別銘柄の調査・分析もさることながら、銘柄の選定および変更の意思決定が迅速に行われるので、ポートフォリオが大胆に入れ替わるケースがよくある。ポートフォリオの組み入れ銘柄も特徴があり、直近の運用報告書(2013年1月末)から上位銘柄を見ると、Jトラスト、ナノキャリア、新生銀行、アイフル、レーサム等で、一般的な日本株のアクティブファンドの上位銘柄に見られるトヨタやホンダ等の自動車メーカー、三菱UFJや三井住友などの大手金融機関等は組み入れられてない。

日本株のアクティブファンドの多くが、インデックスに勝てない理由は、時価総額の大きな銘柄を組み入れ、インデックスと極めて似通った運用を行うので、運用パフォーマンスがインデックスと変わらなくなる。その上、アクティブファンドとして高いコストが掛かっているので、結果インデックスに負けてしまう。インデックスに多少なりともプラスであればよしとし、負けてもインデックスから大きく乖離しないような運用スタイルで、アクティブファンドとは言うものの、大きな失敗を恐れてアクティブリスクをとらない「疑似インデックス運用」ファンドが多い。「JPMザ・ジャパン」はアクティブリスクを大胆にとる一方、リスクコントロールもしっかり行っており、リスクを考慮したリターンの数値も高い。

但し、この「JPMザ・ジャパン」が投資家から脚光を浴び始めたのは、実はほんのここ数ヶ月である。それまでは運用実績とは関係なく、マーケティングで目立つファンドに投資家のお金が集まっていた。そういった意味では、高い運用実績をあげているファンドに資金が向かうようになったことは非常に望ましいことである。「JPMザ・ジャパン」は、純資産残高が1000億円を超えたときに、急激な資金の集まりで運用が難しくなるという理由で一時的に新しい資金の募集をストップした。4月1日に募集を開始したが、あっという間に資金が集まり、2000億円に達するということで、改めて4月9日に募集をストップする。運用会社としては、純資産が多く集まれば、その分運用手数料が入るので、本当は募集をストップしたくないだろうが、JPモルガンは目先の手数料よりも、運用パフォーマンスを上げることを重視したのだろう。このように純資産よりも運用を重視する姿勢は今までにこの業界では、あまり見られなかったので非常に評価出来る。

大きな残高を集めた後に今までどおりの運用実績をあげられるか、これからが「JPMザ・ジャパン」の正念場である。投資家にとっては、こうしたファンドに投資が出来なくなるのは残念だが、実はJPモルガンには同じような運用スタイルで、ポートフォリオの組み入れ銘柄も非常に似通った「JPM・E-フロンティア・オープン」というファンドが存在する。過去10年間の運用実績は「JPMザ・ジャパン」に次いで第二位であり、「JPM・E-フロンティア・オープン」の純資産残高はまだ82億円なので、このファンドが今後は注目されてくるかもしれない。

アベノミクスで活況に沸く日本株。但し、これから先は選別投資が重要になってくるだろう。個人投資家に代わってプロのファンドマネジャーが選別して投資をする投資信託において、特にアクティブファンドは、本当の意味でのアクティブリスクをとり、投資家に少しでも高い運用パフォーマンスを還元してもらいたい。