国債の暴落に備える有効な商品は、なんと「国債(個人向け国債)」か?

イタリアの総選挙の結果を受け、市場が混乱している。安定を取り戻しつつあるイタリア国債の価格も一気に下落し、金利は跳ね上がった。そのイタリアよりも、GDPに対する政府の債務残高が圧倒的に大きく、世界最大の借金国が日本である。そうした状況にもかかわらず、日本国債は史上最低の金利水準で、価格は高位に安定しているので「日本国債はバブル」と言われ続けている。

日銀の買い支えと、民間銀行などの機関投資家の継続的な買い入れで、国債を何とか支え続けているが、過去最高の貿易赤字を計上し、経常赤字も視野に入ってきた中で、さすがにこのままの状態は続かないだろう。投資家としては、国債の金利の上昇、価格の下落に備えて、債券から株式などに資金を移すのが通常の投資行動だが、実は、リスクも低く、かつ金利上昇にも対応できる金融商品が、皮肉なことに「個人向け国債」である。つまり国債のバブル崩壊のリスクヘッジは、国債(個人向け国債)で対応すると言うことである。

個人向け国債は、2011年12月募集分から、東日本大震災の復旧・復興支援に役立てることを明確にするために「個人向け復興国債」と名付けられた。商品そのものは以前と変わらず、「固定3年」、「固定5年」、「変動10年」の3種類である。その中でも比較的金利が高く、かつある程度の金利上昇のリスクヘッジとなる商品が「変動10年」の国債である。

「変動10年」の国債のメリットは以下に集約できる。

1)1年経過後に解約すれば、元本割れはしない。

10年国債とは言うものの、1年経過すれば中途解約が出来る。通常の国債であれば、中途解約する場合、そのときの時価で評価されるので、価格が下落していれば元本割れが生じる。しかし、当該債券は、解約時に直近2回分の税引き後の利息をペナルティとして支払えば、元本が毀損することはない。従って1年経過すれば、どのタイミングで解約しても元本割れはしない。

2)下限の金利が設定されているとともに、金利上昇にも強い。

最低利回りが0.05%と決まっているので、低金利の状態が続いても、最低金利は保証される。一方、金利が上昇しても、半年ごとに付与される金利が変更されるので、金利上昇にも対応出来る。また、仮に国債が暴落し、金利が一気に上昇した場合、解約して他の有利な金融商品に乗り換えることも出来る。金利のフロアー(下限)が保証され、かつアップサイド(上昇)もとりにいけるといった非常に有難い商品である。

3)投信に比べて、コストがかからない。

投資家の負担するコストは実質ゼロ。国債を販売する金融機関は、国から0.5%の手数料を受け取るが、直接投資家からは徴収しない。一方、日本国債を組み入れている投資信託は、販売手数料と毎年の信託報酬がかかる。国債組み入れの投資信託は、株式型の投資信託よりは、コストは抑えられているが、それでも平均で販売手数料が1%、信託報酬が0.5%程度かかる。

以上のように、リスクは抑えられ、リターンもそこそこで、かつ負担するコストも低い「個人向け国債」だが、なぜか、投資家にはあまり人気がない。それよりも、この商品の存在自体を知らない人が多い。

それは、販売金融機関が、受け取る手数料が0.5%と低いので、投資家に勧めるインセンティブが極めて低いのが大きな理由だろう。もし、投資家が「個人向け国債」を購入したいと言っても、販売金融機関は手数料の多くとれる投資信託を勧めるだろう。

史上最低の低金利(高価格)が続き、国債はまさにバブルの状態である。そして、いつ金利が上昇(価格が下落)してもおかしくないリスクを孕んでいるのは確かである。そうした中で、リスクヘッジをする有効な商品が、国債(個人向け国債)とは皮肉なものである。