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【JAZZ LIVE】Jazz meets Classic(小曽根真&ブランフォード・マルサリス)

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、“Music Festival TOKYO”のメイン・コンサート。

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Jazz meets Classic
Jazz meets Classic

3回目を迎えた“Music Festival TOKYO”のメイン・コンサート“Jazz meets Classic”では、初回からホスト役としてこのイヴェントに携わる小曽根真がブランフォード・マルサリスを迎え、東京都交響楽団との共演によって新たな“ジャズとクラシックの出逢い”を模索する。

ブランフォード・マルサリスは、1980年代にアメリカで起こったジャズ復興のムーヴメントの中心的役割を果たしたマルサリス一家の長男に産まれ、ジャズのみならずポップスからクラシックにいたるまでフィールドを定めないオールマイティな活動を続けているサキソフォン奏者。

小曽根真がブランフォード・マルサリスのために用意したのは、現代音楽のなかでも難曲として注目度が急上昇中のジョン・アダムズ「サクソフォン協奏曲」だ。

また、小曽根真のデビュー・アルバム『OZONE』(1984年)を生むきっかけを作ったと言われているプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」も予定されている。

クラシックという“逆境”をテコに新たな出逢いを創出

小曽根真は1961年生まれ、ブランフォード・マルサリスは1960年生まれ。ともに米バークリー音楽大学に学び、ジャズ史にとって大きな転換期となった1980年代のフロント・ランナーになるべく研鑽を積んだ“同志”と呼べる間柄だ。

リユニオンとも言うべきこの再開セッションは、バックに東京都交響楽団が介在することによって、お互いの“ジャズというホームグラウンド”から離れたアプローチによってコミュニケーションを成立させていかなければならない。

譜面に頼るのであれば“ジャズメンがクラシック曲を演奏した”で終わってしまうセッションを、いかにハプニングさせて新たな価値観を創出させるのかが、このコンサートの存在意義にもなる部分だろう。

「ジャズの人なのにクラシックも上手に演奏できるんだ〜」で終わらせず、かといって「ジャズだからクラシックなんかムシしてイテコマシてやったわ〜!」的なコラボ精神に反するアプローチに陥らないためには、研ぎ澄まされたセンスが要求される。

アウェイであればあるほど、センスは研ぎ澄まされ、それによってもたらされる結果は“いままでにないもの”になるに違いない。

では、行ってきます!

●公演概要

出演:小曽根真(ピアノ)、ブランフォード・マルサリス(サックス)、エドウィン・アウトウォーター(指揮)、東京都交響楽団(管弦楽)

10月24日(土) 開場16:20/開演17:00

会場:東京文化会館大ホール(東京・上野)

10月25日(日) 開場14:20/開演15:00

会場:オリンパスホール八王子(東京・八王子)

♪John Adams- Saxophone Concerto

ティモシー・マクアリスター(サックス)/マリン・オールソップ(指揮)/BBC交響楽団によるジョン・クーリッジ・アダムズ「サクソフォン協奏曲」。

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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