グラミーを斜めに見るとジャズの過去と未来が浮かんでくる

グラミー賞発表! ジャズ / ワールド・カテゴリーではエスペランサらが受賞 - CDJournal.com ニュース

グラミー賞発表! ジャズ   ワールド・カテゴリーではエスペランサらが受賞
グラミー賞発表! ジャズ ワールド・カテゴリーではエスペランサらが受賞

音楽業界の世界的なイヴェント、グラミー賞の発表がありました。

と言っても、マーケットがどんどんシュリンクしている昨今、往時ほどの盛り上がりがないのはちょっと寂しい気もしますし、決して小さいとは言えない日本のマーケットの動向がいまだにほとんど反映されていないのは残念でもあります。

ネットによる販売チャネルの変化ばかりが注目されますが、実は「誰でもいろいろな方法で入手(たとえばダウンロード)できる」だけでなく「誰でもいろいろな方法で発信(たとえばYouTube)できる」ほうが業界(もしくは業態)のパラダイム・シフトに対する影響は大きいと感じます。

「エア」や「ヲタ芸」などがすでに“世界標準”と言ってよいほどの広まりを見せているのは一例でしょうが、それを評価する“枠”がまだグラミー賞を選考するアメリカのマーケット・サイドには用意されていないわけです。いまだに”アメリカの音楽”と”その他(ワールド・ミュージック)”というざっくりした、でも厳然たる区切りがされているのですから。

しかし、シュリンクしているとはいえ、グラミー賞のターゲットはプロフィットできるマーケットとしてまだまだ優位でしょう。その点に留意して、この賞レースを楽しみたいと思っています。

ジャズで最も注目されるBest Jazz Instrumental Albumを受賞したのは、パット・メセニーが新たに結成したユニットのアルバム『ユニティ・バンド』。

Best Jazz Vocal Albumを受賞したのは、こちらも来日を控えるエスペランサの『ラジオ・ミュージック・ソサエティー』。前作、『チェンバー・ミュージック・ソサエティ』では最優秀新人賞を受賞。2作連続でグラミーに輝きました。

その他、BEST IMPROVISED JAZZ SOLOはチック・コリア&ゲイリー・バートンの『ホット・ハウス』、BEST LARGE JAZZ ENSEMBLE ALBUMはアルトゥーロ・サンドヴァルの『Dear Diz(Every Day I Think Of You)』がそれぞれ受賞しました。

出典:グラミー賞発表! ジャズ / ワールド・カテゴリーではエスペランサらが受賞 - CDJournal.com ニュース

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♪Pat Metheny Unity Band @Arena Santa Giuliana

パット・メセニー・ユニティ・バンドの2012年7月のライヴ・ステージからアルバム収録の「ルーフ・ドッグス」。2012年7月にリリースされたアルバム『Unity Band』は、バンド形式では4年半ぶり、サックスをフィーチャーした自己作品としては30年ぶりということで注目を集めていたが、これでまた『ホワット・イット・オール・アバウト』(2011年)に続いてのグラミー受賞(Best Jazz Instrumental Album)というエポックを添えることになった。

♪ESPERANZA SPALDING RADIO MUSIC SOCIETY- Hold on me

Best Jazz Vocal Albumを受賞したエスペランサの『ラジオ・ミュージック・ソサエティ』から「ホールド・オン・ミー」。アコースティック・ベースの弾き語りという斬新なスタイルで注目された彼女、ヴォーカルのスタイルはジャズやポピュラー・ソング、R&B、ソウルといった伝統をしっかりと受け継いで、ニュー・ソウルっぽさも持ち合わせたオールマイティ型だ。ハイブリッドなアプローチは、エンタテインメントとメッセージ性の強いプロテスト・ソングを融合させていく可能性を秘めている。

♪Chick Corea & Gary Burton's New Album: Hot House

共演歴40年という名コンビで、ヴィブラフォンとピアノという楽器の可能性のみならずジャズの可能性をも広げた2人の新作。このトレイラーでは2人のインタビューも交え、ストリングスをフィーチャーした「Mozart Goes Dancing」のさわりを楽しむことができる。

♪Arturo Sandoval- Dear Diz (Every Day I Think Of You)

BEST LARGE JAZZ ENSEMBLE ALBUMを受賞したアルトゥーロ・サンドヴァルの『Dear Diz(Every Day I Think Of You)』のトレイラー。本人を含めた関係者のインタビューと、録音風景が楽しめる。アルトゥーロ・サンドヴァルはキューバ出身で、キューバの国営バンド「イラケレ」で活躍した後、1990年にアメリカへ亡命、そして帰化。屈指のハイノート・ヒッターにして超絶技巧を併せ持つという天才ミュージシャン。本作はそのルーツとも言えるビバップのオリジネーターであるディジー・ガレスピーをトリビュートした内容だが、ガレスピーの表面的なサウンドだけではなく、ビバップが遺した高度なハーモナイゼーションなどを現代風に再現しようという意欲的な試みがなされていて、その点が評価されたのだろう。