「日本一怖いラブソング」広瀬倫子の「愛を舐めるな」~「愛の裏側」を知りたいですか?

 <怖い絵展>が話題を呼びましたが、<怖い歌展>があれば、「日本一怖いラブソング」は広瀬倫子の「愛を舐めるな」に違いありません。

女性は誰しも心の中に“鬼”を飼っている

写真提供:テイチクエンタテインメント
写真提供:テイチクエンタテインメント

「愛を舐めるな」は作詞が及川眠子、作曲が来生たかおで、「愛の裏側」をえぐった詞が「すごい!」と評判を呼んでいます。女性は誰しも心の中に“鬼”を飼っています。ふだんは理性がその鬼を抑えていますが、ふとした瞬間、何かがきっかけで、静かにしていた鬼が暴れてしまうことがあります。内にいた鬼が外に出て暴れ出したときはもう誰にも止められません。いつもは可愛い顔をした女性が、鬼のような形相になって男に襲いかかってきます。このとき、“愛の悲劇”は起きますが、そのきっかけとなる要因は男なのです。男の行動が女心を刺激して、眠っていた“鬼”を目覚めさせ、暴れ出させてしまうのです。愛する男に裏切られた女の、止めようのない悲痛な叫び。これが「愛の裏側」の真相なのです。

嫌われても興味を持ってもらえる女

 及川眠子が広瀬倫子に「愛を舐めるな」で託した想いとは?

「広瀬倫子の黒い部分を出したいなっていうのがあったので、その黒い部分をどういう言葉で表現するのが一番わかりやすいかなって思って、結果「愛を舐めるな」というタイトルに行き着きました」

「広瀬倫子を、嫌われても興味を持ってもらえる女にしようと思いました。この歌詞って、見ていただくとわかるんですけど、すごく人を好きになって、いろんなことで苦しんで悲しんで、最終的に開き直った女なんです」(及川眠子)

詞は刹那的でも、さりげなく歌ったバラード

 及川のそんな想いを来生たかおがどう受け止めて曲を付けたのか? そこがこの歌のポイントです。

「まず詞をいただいて、最初のフレーズから強烈な言葉で恐怖をも感じ、驚きました。それで、どのような曲調にしようかと考えあぐねました。ふと、最初に思い浮かんだのは「ざんげの値打ちもない」「黒の舟唄」「いいじゃないの幸せならば」で、『ざんげ』『黒』となると、ちょっと演歌ロックみたいな世界になってしまうかなと思いまして、ここは「いいじゃないの~」のように、詞は刹那的でも、さりげなく歌ったバラードにしようと思って作ったんです」(来生たかお)

もっとドスを利かせたほうがいい

写真提供:テイチクエンタテインメント
写真提供:テイチクエンタテインメント

 及川の“毒”をまぶした詞が、来生メロディーに包まれることによって、“バラード”というきれいな歌に収まっていますが、広瀬倫子が歌うと、内にいる鬼が目覚めて暴れ出してきます。広瀬倫子はこの曲にどんな想いを込めたのでしょうか。「この詞を初めて読んだ時に、自分で蓋をしていた感情の扉をこじ開けられたような、昔の手紙をタイムカプセルから取り出して読んだような気持にとらわれてしまいました。及川眠子さんの詞は本当に強烈ですよね。でも、来生さんのメロディーは、それに惑わされることなく冷淡で美しく、詞の生々しさを突き放している。そんなところがこの作品の魅力だと思います。レコーディングでは、私自身はそのサウンドに寄り添おうと思って、少しヨーロッパ風のクールな歌い方にしようと思ってました。それがうまくいったので、これでいいかなとスタッフと話しているところに及川先生が登場しまして。『いいけれど、もっとドスを利かせたほうがいいんじゃない?』っておっしゃったんです。『広瀬倫子という名前はまだまだ知られていないでしょ』と言われて、サウンドと歌詞の間で自分なりの回答を歌い方にしたのが今回の作品になるんです」。

 “すごい曲”を広瀬倫子が歌って命を吹き込んだ結果、「愛を舐めるな」は「日本一怖いラブソング」に豹変したというわけです。女心と愛を舐めているととんでもないことになる、ということを肝に銘ずべきです。あなたは「愛の裏側」を知りたいですか? 「日本一怖いラブソング」、聴かなきゃ損!