五木寛之+新井満+三浦和人が生んだ心に沁みる名曲「きのう きょう あす」!

 雅夢の「愛はかげろう」がヒットしたのは1980年のこと。早いものであれから39年という月日が流れようとしています。そしてメンバーだった三浦和人が還暦を迎えました。「還暦なんですよ、僕。あんまりイメージは湧かないんですが、皆さんにはいっぱいお祝いしていただいて。だったらこの年に何かがしたいと思ったんです。で、三浦和人の生身の声をお届けしようと、還暦でめでたい、ということで、去年”紅白”のベスト・アルバムを作ろうと思ったんです」。そのタイトルは『三浦和人ベスト<Red>』と『三浦和人ベスト<White>』。2枚組で、ともに15曲ずつ収録されています。キャリア39年で作った曲はたくさんありますが、その選曲の基準はどこにあったのでしょうか。

還暦でめでたいベスト・アルバム

 三浦は言います。「ファンの方々にアンケートを取って、『あなたの好きな三浦和人の楽曲で、CDとして残したい楽曲は何ですか』と尋ねたんです」「ライブで聴きたい歌、ではなくて、三浦和人の歌でずっと聴いていたい歌はどれですか、っていう問いかけをしたんです」。ライブで聴きたいというリクエストを反映したライブアルバムは『君と歩いた風景』(2枚組、32曲収録)として2017年9月に既にリリースしていました。ということは、これでライブ・ベストとスタジオレコーディング・ベストがそろったということ。まさに還暦祝いにふさわしい作品群です。

三浦の意識は既にデビュー40周年を迎える2020年に向いています。「もう一回自分の気持ちをリフレッシュして、40周年には記念アルバムを作ります。全曲書き下ろしのフルオリジナルアルバムを、です。それを持って全国ツアーに出かけるんです」。そのためには今から曲の準備をしなければ間に合いません。制作モードが高まっていることは言うまでもないでしょう。

「20歳から見た30年後って50歳だから何も思わないけど、60歳から見た30年後って90歳じゃないですか。正直言って、どうなっているかわからないというか、時間に制限があるってことですよね。だからこそ、そのことをマイナスに考えるんじゃなくて、楽しいことをいっぱいやろうと思います。プラス思考で僕は音楽を精いっぱいやって楽しく生きていこうと思います」

他人の曲に“歌い手”として初めて参加!

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 制作モードが高まっている三浦だからこそ、還暦にして初めて大きなチャレンジをしたのです。それは他人の曲に“歌い手”として参加したこと。シンガー・ソングライターの三浦が他人の曲を歌うということは、チャレンジ以外の何物でもありません。国民的作家・五木寛之が作詞をし、「千の風になって」の作者であり芥川賞作家でもある新井満が作曲をした「きのう きょう あす」は素晴らしい楽曲です。しかし、いい曲イコールいい歌、ではありません。いい曲はそれにふさわしい歌い手に歌われて初めて「いい歌」になって、たくさんの人たちに浸透するのです。その意味では、誰が歌うのかがポイントです。プロ、アマを問わずの中から「あなたしかいない」と選ばれたのが三浦和人でした。

 第4コーナーをまわって直線コースに入って初めて自分なりの「人生のゴール」が見えます。そのとき、ほっとするとともにもうひと息頑張ろうと自分自身を鼓舞します。「きのう きょう あす」はそんな自分自身に対する“エール・ソング(人生の応援歌)”と言っていいでしょう。だからこそ、「自分にありがとう」というフレーズがしみるのです。包容力あふれる三浦の豊かな歌唱が曲に命を吹き込んだようです。三浦のチャレンジが結実したのです。まさに〈人生満開!自分に「ありがとう」〉です。