「こんないい歌、知らなきゃ損!」堀内孝雄の「空蝉の家」こそAge Free世代が求めている歌です!

 いい歌でありさえすれば必ずヒットする。これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

 「こんないい歌、売れない方がおかしいよ!」

50~60歳代の“リアル”に刺さる曲

 〈Jポップ〉でもない。〈演歌・歌謡曲〉でもない。良質な“大人の音楽”を〈Age Free Music〉と私は名づけています。私にはこんな歌があるべきだ、という明確なイメージがあります。それはAge Free世代が直面するテーマを真正面から取り上げて歌で表現してほしいということ。

 Age Free世代の総人口は、50代の1608万人、60代の1681万人を合わせると3289万人もいます。一方、音楽購買者層といわれる若者層は10代の1129万人、20代の1251万人を合わせても2380万人。つまり、Age Free世代は若者世代よりも909万人も多いという計算になります(総務省統計局「人口推計」2019年1月1日現在概算値より)。すなわち、マーケットとしては若者のマーケットよりもAge Free世代のマーケットのほうがはるかに大きいということ。このビッグ・マーケットを狙わない手はないということです。

 私たちAge Free世代が抱えているリアルなテーマは、両親の介護問題、遺産相続問題をはじめとして、友だちとの永遠の別れなどいろいろとあります。そんなリアルな問題をテーマにして歌を作ることで、同世代として共感を得ることが可能なのではないか、と私は考えています。そんなときにふと聴いたのが堀内孝雄の「空蝉の家」(田久保真見作詞、堀内孝雄作曲)でした。聴き終えたとき「これこそ私が求めていた歌だ」と思いました。

アリスでのデビューから47年。今なお普遍性の高い曲を送り続ける堀内孝雄。杉田二郎、ばんばひろふみ、高山厳、因幡晃とのグループ、ブラザーズ5でも活躍を見せている。
アリスでのデビューから47年。今なお普遍性の高い曲を送り続ける堀内孝雄。杉田二郎、ばんばひろふみ、高山厳、因幡晃とのグループ、ブラザーズ5でも活躍を見せている。

 現在、空家が増えていることが社会問題になっています。特に地方では、子供が都会に出てしまって家を継ぐ者がいない。必然的に親が亡くなった後は空家になってしまう。かといって、そのまま放置しておく訳にはいきません。歌の主人公はかつて自分が育った実家が今では空家になっていて、家を売ると決めて久しぶりに訪れます。鍵を開けて中に入った瞬間、子供時代のことが蘇ってきます。と同時に、懐かしさとやるせなさがこみあげてきます。両親のこと、一緒に育った兄弟姉妹のことが走馬灯のように浮かんでは消えていきます。折しも季節は夏、抜けるような悲しいほどの青空と命のかぎりをつくして鳴く蝉の声が郷愁をかきたてます。そんな中で自然と思うことは、振り返ってみて、自分の人生とは?ということ。あれから十数年が経ち、実家という“原点”に帰ってみて感じたことは? 人それぞれに違うとは思いますが、この歌を聴くと誰もが自分の脳裏のスクリーンに自分なりのストーリーが映し出されるはずです。そして、自分なりの結論を得て納得するのです。ちなみにこの歌の主人公は実家に来て、〈時の抜け殻〉か、としみじみと感じています。あなたは?

 堀内孝雄の「空蝉の家」、こんないい歌、知らなきゃ損!