「こんないい歌、売れない方がおかしいよ!」ブラザーズ5の「この街で」は団塊世代の“応援歌”!

 いい歌でありさえすれば必ずヒットする。これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

 「こんないい歌、売れない方がおかしいよ!」

この歌は私たちにとって理想の「人生ストーリー」です。

「この街で」が収録されているブラザーズ5のアルバム『いとしい仲間たち』。70年代~80年代のフォーク・ニューミュージックを知る人たちには、感涙ものの豪華なメンバーだ。
「この街で」が収録されているブラザーズ5のアルバム『いとしい仲間たち』。70年代~80年代のフォーク・ニューミュージックを知る人たちには、感涙ものの豪華なメンバーだ。

 1970年代にフォークシーンを支えた杉田二郎、堀内孝雄、ばんばひろふみ、高山厳、因幡晃からなるスーパーユニット「ブラザーズ5」が2014年6月に発表したシングル「この街で」。同曲は有線キャンシステムの〈お問い合わせランキング1位〉(14年7月度演歌・歌謡曲部門)を獲得して以来、ロングセラーを続けています。

 実はこの曲には創作秘話があります。05年3月3日、愛媛県松山市で開催された日本ペンクラブ主催「平和の日・松山の集い」にゲストで招かれた芥川賞作家・新井満は、本番前日に表敬訪問した松山市役所で「恋し、結婚し、母になったこの街で、おばあちゃんになりたい!」というコピーを見つけました。

 松山市の「だから、ことば大募集」で市長賞を受賞した桂綾子さんの作品でした。

「シンプルだけれど心の深いところまで届いてくると感動して、そんな思いを話したら、市長さんからこのコピーを膨らませて、明日の“平和の日・松山の集い”でぜひ発表してください、と頼まれたんです」(新井満)

 結局、即興的に「この街で」は生まれましたが、反応は高まるばかりでした。そこで新井盤が06年5月にリリースされました。さらに08年になると、城之内早苗with布施明、フォー・セインツ、10年になるとトワ・エ・モワなどがカバー盤を相次いで出します。カバーされるということは“いい曲”だという証拠。そして、満を持してブラザーズ5が“本命盤”をリリースしたというわけです。

「歌のストーリーが純粋で、理想形なんです。この街で生まれて、その街の人と恋をして、そして人生を全うしていくってことが、なかなかできるようでできない。これは僕にとって夢の世界なんです」(杉田二郎)

 杉田が言うように、この歌はまさに私たちにとって理想の「人生ストーリー」ではないでしょうか。「この街で」は、同世代の私たちにとってこれ以上はない“人生応援歌”なのです。この歌が収録されているファーストアルバム『いとしい仲間たち』もぜひ聴いてほしいものです。

 ブラザーズ5の「この街で」。こんないい歌、知らなきゃ損!