「こんないい歌、売れない方がおかしいよ!」木島ユタカの「十年経てば」はすごい歌です!

 いい歌でありさえすれば必ずヒットする。これが歌の本来あるべき姿です。しかし、現実は強力なタイアップが付いていなければ売れない時代です。いかがなものか?と思います。この風潮に私はあえてアンチテーゼを投げかけたい。いい歌は売れるべきだし、たくさんの人たちに聴いてもらいたい。そんな“音楽愛”が私のポリシーです。

 「こんないい歌、売れない方がおかしいよ!」

娘を想う父親のせつない心情が実に深く描かれている!

 もう去年のことになってしまいますが、「何だ、これは?」と思わせるアーティストがいました。たまたま知人から誘われて行った銀座のカフェでライブをやっていたのです。津軽三味線を弾きながら洋楽のカバーをやっていましたが、津軽三味線という“和”と洋楽という“洋”が奇妙にハイブリッドしたうえにコラボレーションをしていて新鮮に聴こえてきたのです。30分くらいのライブでしたが、Jポップのヒット曲「海の声」もカバーしていて、これがまた不思議な魅力をかもし出していたのです。

 短いライブではありましたが、「面白い」と私は思ったので、チェックしておくことにしました。彼の名前は木島ユタカで、インディーズ・アーティストです。ファースト・ミニ・アルバム「和のこころ」をリリースしていて、ライブもあちらこちらで行っていました。評判を聞きつけた人たちから声をかけられたりしてラジオ、テレビにもちょこちょこ顔を出していましたが、つまり、それだけ人に注目される何か魅力があるということでしょう。

 そんなふうに思っていたので、渋谷のライブハウス・エッグマンに行ってみることにしました。対バン形式だったので25分ほどのライブで5曲ほど歌っただけでしたが、正直に言って、これで十分でした。5曲の中に彼にしか歌えない「十年経てば」という“すごい歌”があったからです。

スコットランド民謡に日本語の歌詞を載せた「十年経てば」。作詞は、『新世紀エヴァンゲリオン』の「残酷な天使のテーゼ」や「淋しい熱帯魚」をはじめとするWinkのヒット曲などで知られる及川眠子。
スコットランド民謡に日本語の歌詞を載せた「十年経てば」。作詞は、『新世紀エヴァンゲリオン』の「残酷な天使のテーゼ」や「淋しい熱帯魚」をはじめとするWinkのヒット曲などで知られる及川眠子。

 「いい歌を超えて、これはすごい歌だ!」と思うことがたまにあります。木島ユタカの「十年経てば」はそんな歌です。この歌を初めて聴いたとき、娘を想う父親のせつない心情が実に深く描かれていて、瞬時にハートを鷲づかみにされてしまいました。内容は、10年経てば娘も大人になって恋をしているかもしれない。幸せになってくれるなら思い通りに自分の道を行きなさい、と応援してあげたい。しかし、本音としてはそんな日がくるまではもう少し父のそばにいてほしい、と願う“親心”がぐっとくるのです。そんな父親の秘めた想いを木島ユタカは感情たっぷりに歌っていて、歌力を感じられます。「十年経てば」という“いい曲”は、木島ユタカという歌い手に出会ったことで、魂を吹きこまれて“いい歌”に昇華され、たくさんの人たちに支持されるはずです。いや、されるべきです。

 木島ユタカの「十年経てば」。こんなすごい歌、知らなきゃ損!