〈大人のシティ・バラード〉!広瀬倫子の新曲「月を見つめて哭いた」は“慟哭の歌”です。

 広瀬倫子が待望のニュー・シングル「月を見つめて哭いた」を6月20日にリリース。今回は尾崎亜美プロデュース作品で新境地を切り開いたということで、付けられたキャッチコピーは「〈大人のシティ・バラード〉 伝統の深みはつづく。」という意味深なもの。

 〈シティ・バラード〉なる言葉、ありそうですが、スマホで検索してみても見つかりません。〈シティ〉と〈バラード〉はあるものの、たとえば〈シティ・ポップス〉とか〈アダルト・バラード〉とか、ですが、ふたつの言葉が融合した〈シティ・バラード〉は見つけることができません。

〈大人のシティ・バラード〉とは?

 

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 〈シティ〉と言えばオシャレで都会的。〈バラード〉と言えば静かで情緒的。相反する感じがしますが、融合するとこれがまた格別な味わいが出るのです。という訳で、「月を見つめて哭いた」はオシャレで都会的なセンスと、静かで情緒的なセンスを融合させたまったく新しい、まさに〈大人のシティ・バラード〉だ。ということです。

 今回の作詞・作曲・編曲・サウンド・プロデュースは全て尾崎亜美。彼女のデビューは衝撃的でした。彼女は1976年3月20日に「瞑想」でデビューしましたが、そのシャレたセンスは群を抜いていました。それが凝縮されたのが「マイ・ピュア・レディ」(77年2月5日リリース)で、「ああ気持ちが動いてる、 たった今恋をしそう」と彼女は恋にときめく“瞬間”を見事に歌にしました。特に「ああ気持ちが動いてる」というフレーズがあるのですが、このフレーズの「ああ」が上手くメロディーに乗っていたのでそれまでにはなかったオシャレなポップスに仕上がったのか、たくさんの人たちの共感を呼んだのです。

 彼女のこのシャレたポップ・センスが高く評価されたのか、曲の依頼が殺到し、「オリビアを聴きながら/杏里」「あなたの空を翔びたい/高橋真梨子」「天使のウィンク/松田聖子」などのヒット曲を生み、彼女は作家としても高く評価されることになったのです。

 「オリビアを聴きながら」の格調高いバラード・センス、「あなたの空を翔びたい」のスケールの大きさと包容力、そして「天使のウィンク」の都会的でオシャレなポップ・センス、それら全てを持ったアーティストはそういるものではありません。

 新曲「月を見つめて哭いた」はそんな彼女の都会的でオシャレなポップ・センスと、格調高いバラード・センスという相反するものが化学変化を上手く起こして〈大人のシティ・バラード〉なる新境地を切り開いたのです。「オリビアを聴きながら」「マイ・ピュア・レディ」「あなたの空を翔びたい」「天使のウィンク」など名曲の〈伝統〉を受け継ぎつつ新しい地平を切り開いた「月を見つめて哭いた」。だからこそ〈伝統はつづく。〉というキャッチコピーが添えられているのです。

広瀬倫子は〈時代のサーファー歌手〉!

 普通に見える女性がしくしくと泣くのではなく“慟哭”するからこそ本当に怖いのです。そのあたりのニュアンスを広瀬倫子はボーカルで見事に表現しています。

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 「今回の新曲、尾崎亜美さんとの出会いは歌手広瀬倫子として大切な分岐点となる予感がします。尾崎さんは料理もプロ級(級いらないくらい)だそうです。料理に例えるなら『広瀬倫子という素材を手にしたからには徹底的に美味しく仕上げるぞ!』と、衣やソースたっぷりのこってりした路線ではなく、素材を生かしつつ手は込んでいて一流のシェフたちが味付けした体にも心にも優しい、そんな逸品に仕上げてくださり、食卓にあげてくれた…そんなイメージです。これまでいただいた楽曲を宝物としながらも変化することを恐れずに常にチャレンジしていきたいと思います。どんなに時代が変わっても、また音楽の流行りがどう変化しようとも、常に時代の波を受けとめて、広瀬倫子流に楽曲と上手く一体になれたらと思います」(広瀬倫子)

 広瀬倫子はどんな曲でも歌いこなしてしまう〈時代のサーファー歌手〉と言っていいかもしれない。〈ムード歌謡〉から〈平成GS歌謡〉へ。そして〈大人のシティ・バラード〉へと時代の波を敏感にとらえて新しい地平を切り開いていく〈時代のサーファー歌手〉だからこそ、どんな曲も自分のものにしてしまうのです。

倫子ちゃんの歌は大きく変わりました!

 いい曲はそれにふさわしい歌い手に歌われてこそ、初めて“いい歌”になりたくさんの人々のハートを瞬時にして奪い取るのです。尾崎亜美作品が広瀬倫子の中に眠っていた新しい魅力を上手く引き出している、ということも、また逆も真実なりです。そのことは尾崎亜美の次のコメントが物語っています。

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「〈広瀬倫子のために曲を書いて欲しい。サウンドのことは全て任せるから〉というオファーを頂いて、その信頼と期待に応えるべく、彼女の歌の奥に潜んでいるまだ表には表れていない何かを探し出す作業を始めました。当初のプランでは打ち込みのリズムで幻想的な世界を創る予定だったのですが、歌を聴いてアレンジの方向を変えました。生のドラム、ベースが必要だと思ったから。わたしのディレクションで倫子ちゃんの歌は大きく変わりました。たぶん、これまで自分がそういう柔らかな表現ができることに気づいてなかったんじゃないかな。誰かのためにサウンド・プロデュースをして嬉しいのはそういう瞬間です」

 尾崎亜美作品という〈時代の波〉を広瀬倫子はどう乗りこなすのか、楽しみである。