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前澤友作さんの宇宙からのツイートは、日本人の宇宙旅行に対する印象を変えるはず

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
(写真:ロイター/アフロ)

ZOZOの創業者としても知られる前澤友作さんが、12月8日、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーションISSに到着されました。

そして、9日の21時33分には、「宇宙なう」と、前澤さん自身が宇宙からの初ツイートをツイッターに投稿。

早速、10分も経たない間に、5万を超えるいいねや多数のコメントがついていて大きく注目されています。

前澤さんは日本でもトップレベルの資産家として知られ、いまや「お金配り」や「お金贈り」が代名詞になるぐらい、ツイッター上でのフォロワーへのお年玉企画でも注目されました。

今回の宇宙旅行にかかる費用も、1人あたり日本円で55億円を超えるとも報じられており、資産家だからできる特別な体験という意味で、冷ややかに見ている方もいるようです。

ただ、やはり、ツイッターのフォロワーが1,000万人を超えるなど、ネット上で大きな影響力を持つ前澤さんが、宇宙からリアルタイムでツイートなどの情報発信をするという行為は、多くの人の宇宙への印象を変えるのに貢献するように感じます。

さまざまなSNSを駆使して情報発信

特に興味深いのは、前澤さんが宇宙旅行に至るまでのプロセスを、ツイッターやYouTubeなどのSNSを駆使して可視化してくれている点です。

例えば、宇宙旅行前から、ロシアでの訓練の様子や、無重力訓練の様子をYouTubeで公開。

一般人があまり覗くことのできない宇宙飛行士の訓練のプロセスを動画で見せてくれていますし、ツイッターやインスタグラムには打ち上げまでのカウントダウンや、宇宙旅行直前の想いや写真を多数投稿してくれています。

一つ一つの動画や写真への反響の大きさも、影響力の大きい前澤さんならではと言えるでしょう。

テレビ番組のようなYouTube配信も

さらには今回の宇宙旅行のロケット打ち上げの瞬間を生中継する番組を、みずからのYouTubeチャンネル上で企画。

東京のスタジオには、福澤朗アナウンサーと馬場典子アナウンサーが司会を務め、ゲストにジャルジャルや村上佳菜子氏、山崎直子氏という、一瞬日テレの番組かと思ってしまう豪華なメンバーがおり、打ち上げ時の同時視聴者数は22万人を超えていたようです。

打ち上げやドッキングの様子は、さまざまなテレビ局のニュースでも報道はされているのですが、自らのチャンネルでアーカイブに残す形で打ち上げの様子を完全生中継番組にしてしまうというのは、世界でも珍しい形と言えるでしょう。

宇宙の滞在期間中には、フォロワーの方々のリクエストに応えると宣言されていますし、今後も地球帰還までに、さまざまな発信にトライされることが期待されます。

宇宙飛行士によるSNS発信の影響力

もちろん、これまでの宇宙飛行士の方々も、メディア出演やSNS活用など、さまざまな形で情報発信をされてきました。

象徴的なのは、2010年に野口聡一さんが宇宙からツイッターで写真を投稿するなどしてフォロワーが20万人を超えたケースでしょう。

参考:野口聡一氏「ツイッター」に20万人が殺到 宇宙から見た地球の写真が人気

野口聡一さんは、昨年から今年5月にもISSに滞在しており、その期間にも様々なツイートをして私たちを楽しませてくれました。

その、野口聡一さんのツイッターアカウントは現時点で約73.8万フォロワー。

もちろん、73.8万は、日本人のツイッターアカウントの中では非常に大きい数字なのですが、おそらくは元々宇宙や宇宙飛行士に興味があった方が多くフォローしていると想像されます。

それが、今回その10倍以上となる1,000万フォロワーを超える前澤さんが、宇宙からツイートすることになれば、宇宙を身近に感じていなかった人も、前澤さんを通じて宇宙を身近に感じることになる可能性があるわけです。

今はまだ、前澤さんのような巨額の資金を支払える資産家しか宇宙には行けないかもしれませんが、宇宙飛行士という職業ではない民間人が宇宙旅行に行ける時代になったということが、多くの日本人に伝わる意義は大きいように思います。

宇宙からの「フォロワー全員お金贈り」

さらに、今後注目されるのは、前澤さんが宇宙の滞在期間中の「宇宙から全員にお金贈り」も宣言されていることです。

前澤さんの「お金配り」や「お金贈り」については、いろんな批判や議論もありますが、実は、従来のランダムにお金を配布していた「お金配り」は今年の2月で終了し、その後は「困っている人や何かに挑戦したい人」への「お金贈り」に変えると宣言されています。

参考:今後のお金贈りとフォロワー全員お金贈りについて

前澤さんは、その「お金贈り」のための「kifutown」という専用アプリすら開発してしまっており、その本気度が良く分かります。

参考:前澤氏の“お金配り”、アプリ化したらアクセス殺到 数十万トラフィックをさばく「kifutown」の裏側

前澤さんは2月の自らの記事でも『「民間主導の富の再分配」をもっと盛り上げ「寄付が当たり前の世の中にしたい」』と明確に宣言されており、おそらくはその意思にそった「宇宙から全員にお金贈り」の企画発表が宇宙からされることになるのでしょう。

しばらくは前澤さんの宇宙からのツイートが、日本のメディアを騒がせることになりそうです。

noteプロデューサー/ブロガー

新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログを書きはじめたおかげで人生が救われる。現在は書籍「普通の人のためのSNSの教科書」を出版するなど、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についてのサポートを行っている。

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