ラグビー日本代表のツイッター活用に学ぶ、テレビとSNS連携の理想型

南アフリカ戦の後に子ども達と一緒に記念写真を撮るラグビー日本代表とチームメンバー(写真:ロイター/アフロ)

ラグビー日本代表の南アフリカ代表との死闘から、はやくも丸2日が経とうとしています。

私自身、今回のワールドカップでラグビーに興味をもったレベルの典型的な「にわかファン」ですが、見事に「日本代表ロス」に陥っているほど。

参考:やっぱり「ラグビーロス」「代表ロス」の声続々…興奮の1カ月終わりネットも喪失感

同じような気持ちになっている方は、少なくないのではないかと思います。

何しろ今回のラグビーワールドカップでは、日本代表が史上初のベスト8に輝いたという快挙はもちろん、テレビ中継の視聴率も尻上がりにあがり、スコットランド戦が39.2%、南アフリカ戦は41.6%と今年放映された全番組で1位の記録を更新と記録づくめ。

日本がスコットランドを破って8強進出を決めた場面で、瞬間最高視聴率は関東地区で53.7%と、テレビを持っている世帯の半数以上が釘付けになっていたということになります。

その視聴者数は、サッカーワールドカップに迫る規模だったというから凄い話です。

参考:ラグビーW杯スコットランド戦、推計5486万人がTV視聴 サッカーW杯に迫る規模

■テレビだけでなくツイッターでも大きな話題に

さらに、今回のラグビー日本代表は、ツイッターを初めとするSNS上でも大きな話題になっていたのが印象的。

プール戦の期間中だけでも、「ラグビー」というキーワードが入った投稿が、280万回以上され、延べで82億以上の表示がされていたというデータがあるそうです。

個人的にも今回の大会で注目していたのが、ラグビーワールドカップ公式アカウントとラグビー日本代表選手のSNS活用のレベルの高さでした。

おそらくは、ラグビーというスポーツの放映権の権利関係が、サッカーや野球に比べると柔軟なんだと思いますが、とにかくラグビーワールドカップの公式アカウントは、大量の写真や動画をタイムリーに投稿しています

例えば、スコットランド戦が終了したのは21時44分ですが、公式アカウントはなんと2分後の21時46分に勝利の瞬間の動画を投稿。

当然ながらこのタイムリーな動画は、多数リツイートされ、300万近く再生されて話題の拡散に貢献しています。

さらに大会中の積極的なSNS活用は公式だけでなく、代表選手も同様。

ラグビーHackというサイトによるとラグビー日本代表に選ばれた31選手中、twitterアカウントを持っている選手が22人。インスタグラムのアカウントを持っている選手は25人もいます。

参考:ラグビー日本代表W杯メンバーSNS(twitter,Instagram)アカウント一覧

以前、サッカー日本代表がロシアW杯ではツイッターを積極的に使いこなすようになったという記事を書いたことがありますが、その時の利用率と比較しても、ラグビー日本代表の利用率が高いことが分かって頂けると思います。

・サッカーロシアW杯   23選手中 15人 65%

・ラグビー日本W杯    31選手中 22人 70%

参考:サッカー日本代表のツイッター事情がブラジル大会から4年で激変していた

■ツイッターの活用もOne Team的

個人のフォロワー数で比較すると、フォロワーが多い選手でも稲垣選手の13万や松島選手の11万ぐらいですので、サッカー日本代表の長友選手の150万フォロワーや、本田選手の85万フォロワーと比べると、少ない印象はあるかもしれませんが。

ただ、今回のラグビー日本代表では、サッカーのロシアW杯以上に、多くの選手が投稿をし、ラグビーワールドカップの公式アカウントも含めて、お互いの投稿をリツイートしあっているのも非常に印象的でした。

ある意味、ツイッターの活用も「One Team」を体現していると言えるのかもしれません。

また、ラグビーW杯は大会期間が長いこともありますし、期間中に不幸な台風災害が重なったこともあり、ラグビーの試合以外の話題も選手が積極的に投稿やリツイートしているのも、ラグビーW杯ならではの特徴だったと言えるように思います。

特に、最も象徴的なのは、ラグビーワールドカップの公式アカウントが投稿したカナダ代表のボランティア活動のツイート。

この投稿は13万リツイートを超えて大きな話題になりました。

■多様性や舞台裏が垣間見える投稿も

また、ラグビー日本代表は、文字通りダイバーシティを体現しているチームですが、ツイッター活用においても英語で投稿している選手も多く、海外選手とのやり取りが見られるのも興味深いところ。

松島選手は日英交えたツイートをされていましたし。

スコットランド戦後の田村選手とリッチー選手との英語でのツイートのやり取りは海外でも話題になったようです。

参考:田村優、小競り合い選手との"和解ツイート"に海外絶賛「だから大好きなんだ」

さらに、前述の田村選手のやり取りのように、ラグビー日本代表選手達が、舞台裏や対戦相手への想いを投稿してくれているのも非常に印象的。

特に南アフリカ戦後に、稲垣啓太選手に危険なタックルをして日本中のお茶の間からブーイングの対象になったであろうムタワリラ選手がわざわざ謝罪に来たことに、稲垣選手が感謝のツイートをし、これをムタワリラ選手が引用ツイートしたことは、ラグビー選手の「ノーサイド」の精神を象徴するやり取りとして注目されました。

にわかファンの視点からすると、ムタワリラ選手はあの瞬間稲垣選手に対して危険なタックルをした怖い危ない選手であり、そのおかげで10分間日本にペナルティのチャンスをくれた選手という印象だったわけですが。

この稲垣選手の投稿を見ると、ムタワリラ選手は稲垣選手が尊敬していた選手であり、危険なタックルをしたことをわざわざ謝罪に来る素晴らしい紳士であったことが見えてくるわけです。

同様に、流選手も、南アフリカのデクラーク選手とユニホーム交換をした写真を投稿。

デクラーク選手は、にわかファンの視点からしても、本当にいやらしく流選手にまとわりついて日本を何度も苦境に追い込んだプレイヤーで、私の周辺でも「あの金髪の9番腹立つ」と発言している人が多くいましたが。

この投稿を見ると、また彼のことが違って見えてくる人も多いはずです。

■テレビと公式、選手が生み出す話題のサイクル

さらに、稲垣選手へのムタワリラ選手の謝罪のシーンは、ラグビーワールドカップ公式アカウントで動画で公開され、改めて注目されることになります。

大会期間中、ラグビーワールドカップの公式アカウントは大量の写真や動画を投稿していますが、おそらくはそれだけではなくオフィシャルのチームが撮影した写真や動画を、丁寧に選手達に共有しているので、こうやって選手達が柔軟にタイムリーに写真付きで思いを投稿することができるのかなと感じます。

個人的には、こうしたラグビー日本代表によるSNSアカウントの活用は、昨年大ヒットした映画「カメラを止めるな!」の上田監督を中心とした出演者の方々のツイッター活用に非常に似ていると感じました。

参考:普通、そこまで監督がやる? 『カメラを止めるな!』 上田慎一郎が伝授するTwitterプロモーション

ラグビーワールドカップの試合や国民全体の盛り上がりは、なんと言ってもテレビ中継によって支えられているものですが。

一方で、公式アカウントや選手達の丁寧なSNS投稿やコミュニケーションが、テレビ中継がされていない間も選手達とファンのつながりを作り、にわかファンも含めた幅広いラグビーの盛り上がりにつながっていると思います。

テレビ中継で広がった認知とファン層に対して、公式や選手がSNS上で丁寧にコミュニケーションを取ることで、そのコミュニケーションがまたネットメディアやテレビで話題になって話題やファン層の拡大に貢献する。

そんな理想的なテレビとSNS連携の形を、ラグビー日本代表のツイッター活用に学ぶことができる気がします。

日本のラグビーは4年前のワールドカップで南アフリカに勝利した際にも大きな盛り上がりを見せましたが、関係者によると残念ながら当時のラグビー人気は短命に終わってしまった背景があるそうです。

そういう意味で、ラグビー日本代表の選手一人一人が、日本におけるラグビー普及の役割を担っているという自負があるので、SNS活用においてもサービス精神を発揮してくれているのかもしれません。

今回、日本代表のワールドカップはベスト8で終わってしまいましたが、選手一人一人は引き続きツイッターやインスタグラムに様々な投稿を続けられています。

日本代表ロスに陥っている方々は、是非そんな選手達の投稿を眺めながら、引き続きラグビーW杯そしてこれからの日本のラグビーの活躍を楽しんでみてはいかがでしょうか?

参考:ラグビー日本代表のツイッターアカウントリスト一覧