ベッキー復帰騒動で考える一発レッド社会のウソの代償

一発レッド社会で、レッドカードのきっかけになるのは何でしょうか(写真:アフロ)

ベッキーさんの週刊文春にあてた手紙がきっかけで、ちょっとした論争が巻き起こっているようです。

週刊文春の記事を読む限りは、1月に不倫騒動をスクープした週刊文春からの取材を断り続けたベッキーさんが、取材ではなく手紙という形で思いの丈を語った、という内容なのですが、これに対してオリエンタルラジオの中田さんが「あざとく感じちゃう」と発言。

それに対して、雨上がり決死隊の宮迫さんが反論して話題が盛り上がったことで、ダウンタウンの松本さんなど様々な芸能人も議論に参加、改めてフジテレビのとくダネ!で話題が取り上げられる、という結果になっているようです。

小倉キャスター、ベッキーめぐる“場外バトル”にうんざり「どうでもいい話」

個人的にも、小倉キャスター同様、場外バトル自体は「どうでもいい話」だと思いますし、不倫の相手だった川谷絵音さんが離婚を発表したことで、今後はますます「どうでもいい話」になる気もしますが。

今回の騒動でちょっと気になるのは、不倫騒動のスクープから4ヶ月以上たった現時点でも、ベッキーさんの今後の復帰に関して否定的な意見が多数見られることです。

先日、スキャンダルによる一連の謝罪騒動を生んでいる最近の日本社会の風潮を、松谷さんが「一発レッド社会」と表現していました。

「やさしさ」が導く“一発レッド社会”――ベッキー、宮崎議員、ショーンK、“謝罪”の背景にある日本社会

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「一発レッド社会」においては「ミスによって生じた小さな傷口を、集団が思いっきり開いて再起不能にする」と書かれていますが、確かにネットの普及による一つの傾向に、こうした一つのミスで退場に追いやられてしまうケースが散見されるのは間違いありません。

ベッキーさんの復帰に対してまだ否定的な声が出てくる背景にも、この一発レッド社会の空気があると言えるでしょう。

特に、個人的に一連の騒動において気になっているのは、ベッキーさんの炎上対応がずれてしまったことで、自ら一発レッドを招いてしまっているのではないかと思われる点です。

少し騒動の経緯を時系列で振り返ってみましょう。

1月4日 週刊文春が川谷絵音とベッキーに突撃取材

1月5日 不倫情報がインターネットで広がりはじめる

1月6日 週刊文春がホームページにスクープを掲載

1月6日 ベッキー謝罪会見で「友人関係」を強調

1月7日 週刊文春スクープ第一弾発売(不倫情報とLINE画像掲載)

1月14日 週刊文春スクープ第二弾発売(川谷妻のインタビュー掲載)

1月21日 週刊文春スクープ第三弾発売(会見直前のLINE公開)

1月29日 ベッキー全面休業へ

1月30日 予定していた記者会見を中止に

4月27日 週刊文春ベッキー手紙掲載号発売

謝罪会見の対応に致命的なミス

炎上対応の失敗で良く事例にあげられるのは「初動の遅れ」です。

しかし、今回のベッキー騒動においては問題の週刊文春の発売日の前日に謝罪会見を開いているわけで、初動対応はある意味早すぎると言えるほど早く実施されています。

ただ、残念ながらこの段階で致命的な対応ミスがありました。

それは「友人関係の強調」です。

一般的な不倫等のスクープであれば、プライベートな問題ですし、一旦友人関係を強調するのは常套手段と言えるのかもしれません。

通常であれば、実際の不倫現場を抑えられない限り真実は当人にしか分からず、一般的には、「疑惑」に留まります。

実際問題、この段階では、ベッキーさんを擁護する発言をする芸能人が多かったのも象徴的です。

しかし、この「友人関係の強調」は1月21日の週刊文春による、いわゆる「センテンススプリング」発言のLINEの暴露によって、もろくも崩れ去ります。

参考:ベッキーのゲスすぎるLINE内容に感嘆の声 「センテンススプリングは天才的」「流行語狙える」

謝罪会見自体が「ウソ」の会見であったというレッテルが貼られてしまったわけです。

実際にはこのLINEでの会話は、1月5日に実施されたもののようですから、二人の間ではまだまさかLINEのやりとりがそのまま流出しているとは認識していなかったタイミングと思われます。

ただ、騒動から2週間経過した週刊文春に掲載されたことで、一般的な読者からすると「謝罪会見をしたはずのベッキーが全く懲りていない」「ウソつきだ」という印象を強く受ける結果になりました。

ウソつきのレッテルが一発レッドのトリガーに

この「ウソつき」のレッテルというのが、昨今のネット炎上においては非常に重要なキーワードです。

オリンピックエンブレム騒動においても、最初の会見においてデザイナーの佐野氏が強い言葉で盗用疑惑を否定したにもかかわらず、その後に別の仕事におけるトレース問題が発覚したことで、最初の会見も「ウソ」だったのではないかというレッテルが貼られてしまいました。

エンブレムのデザインの際に盗用があったかどうかと言う疑惑を立証するのは非常に難しい行為ですが、一つの「ウソ」が見つかったことにより、佐野氏の発言が全て疑われるようになってしまったのです。

それまでデザイナー業界や広告業界では佐野氏を擁護している発言が多く見られましたが、トレース問題発覚以降、風向きが大きく変わって業界関係者からもバッシングが増えるようになり、最終的にエンブレム撤回まで追い込まれてしまいました。

参考:五輪エンブレム騒動に私たちが学ぶべき炎上対応4つの基本

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ベッキー騒動においても、不倫の立証自体は本人が否定している限り非常に難しい行為ですが、週刊文春の第三弾の記事によって、少なくとも「友人関係」という「ウソ」をついていたことは確定してしまったわけです。

一つの「ウソ」が確定すると、一発レッド社会のスイッチが入ります。

ある意味、一発レッド社会においては、複数の大きな「疑惑」が存在しているよりも、一つの小さな「ウソ」が確定した方が代償が大きいと言えるかもしれません。

そもそもの疑惑の立証は別として、ウソをついたことは判明しているわけで、「こいつはウソつきだ!」というバッシングは全員が手放しでできるようになってしまうわけです。

実際、21日以降、「ウソ」の確定により世論は大きくベッキーバッシングに振れることになり、ベッキー擁護論が多かったはずの芸能人の中にも批判が目立つようになります。

これが、最終的に29日の全面休業につながるわけです。

不倫騒動発生から2週間以上なんとか芸能活動を続けていたベッキー陣営が全面休業に追い込まれた直接的な原因は、不倫騒動そのものではなく「友人関係」という「ウソ」を平然とついてしまったことだと言えるかもしれません。

週刊文春への手紙に欠けている一言

にもかかわらず、今回の週刊文春にあてた手紙においてベッキーさんは、恋愛関係の事実については認めたものの、週刊文春の記事を否定したことへの謝罪と、川谷さんの妻に謝罪したいという発言がみられたのみでファンへの謝罪の言葉はありませんでした。

おそらくベッキーさんからするとあくまで週刊文春にあてた手紙なので、そこを通じてファンに伝えるという発想がなかったのでしょう。

ただ、今一番ベッキーさんが謝罪すべきは、裏切ってしまったファンであるはずです。

振り返ってみると、ベッキー陣営は謝罪すべきタイミングと内容が、ことごとズレてしまったことが分かります。

これはあくまで結果論ですが、川谷さんの妻に対する謝罪の言葉を述べるのであれば、1回目の謝罪のタイミングである1月6日の不倫発覚直後の謝罪会見で行うべきでした。

それが難しくても、少なくともこの時点では、友人関係とウソをつくのではなく、騒動を起こしてしまったこと自体をお詫びし、メディアからの質問に真摯に対応していれば第三弾の記事の衝撃も少しは和らげることはできたかもしれません。

また、第三の記事が公開され、1月29日に休業に入る後に予定されていたらしい記者会見をキャンセルするのではなく実際に実施し、その場でウソをついてしまったことを認め、今回の週刊文春への手紙に書いたような謝罪をすることができれば、不倫騒動自体はそこで幕引きがされたかもしれません。

しかし、残念ながらベッキーさんはこの二度の機会を逃してしまったことで、炎上のエネルギーを現時点まで溜め込み続けてしまっていることが、今回の週刊文春への手紙とそれに関連しておこった復帰是非論争から見ることができます。

もちろん、炎上騒動の渦中にいて正しい判断をするのは非常に難しいことですし、当時の世の中全てからのバッシングを考えれば、ベッキーさんがあの場で正しい判断をできなかったのはやむをえないということは言えます。

ただ、少なくとも騒動から3ヶ月以上がたっている今回の週刊文春への手紙の中で、ファンへの謝罪を明言することができなかったのは残念としか言いようがありません。

先日の矢口真里さんが出演していた日清食品のテレビCMの放映中止に見られるように、不倫をした芸能人、特に不倫をした女性に対して社会の風当たりが強いのは間違いありませんし、一発レッド社会と形容されるように、今回の騒動がベッキーさんにとって今後も重い十字架となるのは間違いないでしょう。

参考:日清「バカやろう」CMの謝罪騒動が示す皮肉

しかし、少なくとも川谷さんの離婚が発表されたことで、今回の不倫騒動自体に一区切りつけることができるタイミングが再度来たと見ることもできると思いますし。今回の一発レッド社会のスイッチを入れてしまったのが自らの「ウソ」だったことに気づいて頂いて、それを前提にしたファンへの謝罪の仕方によっては、小倉キャスターだけでなく多くの人にとっては「どうでもいい話」にできるのではないかなと思います。

個人的には、経歴のほとんどをウソで塗り固めて、テレビのキャスターまで上り詰めようとしていたショーンKさんのウソの技術の方が、実はよっぽど興味があるのですが。

長くなりましたので今日の所はこの辺で。