コロナ禍でテレワークが進み、モバイルノートが売れに売れている。戦国時代と言えるほど機種数も増えている中で、モバイルノートの元祖とも言えるVAIOのフラグシップモデルが久しぶりにフルモデルチェンジした。
新しく登場したVAIO Zの驚異的なポイントは、フルカーボンを採用していることだ。これまでにも、天板にカーボンを採用したモバイルノートは多かった。マグネシウムに較べると軽くて強いので軽量化に寄与するからだ。
ところが、一枚板である天板以外は構造が複雑で、曲げに弱いカーボンで作るのは難しかった。ところが、新VAIO Zは外装のほとんどをカーボンにするという快挙を達成しているのだ(小さな一部パーツは樹脂と思われる)。
実物を手にすると、カーボンらしい感触が伝わってくる。軽くて硬い独特の質感は、これまでのパソコンにはあまりなかった。
自由な形に作れないフルカーボンボディーだけに、これまでのパソコンでは見たことのない組み付けをしている。

さほど軽くないのはなぜか
フルカーボンの採用で、14インチモデルながら重量は958グラムに収まる。とはいえ、ASUSのExpertbookは、マグネシウムボディーながら同じ14インチで800グラム台とはるかに軽い。
VAIO Zは軽さだけを追求したのではなく、超高性能で軽いという2つのポイントを両立しているのだ。
CPUには、Hプロセッサーと呼ばれるインテル製第11世代の高性能チップ「Core i7-11375H」を採用している。一般的な高性能モバイルノートのさらに上を行く、ゲーミングPCやクリエーターPC向けのCPUなのだ。
高性能CPUを冷却するために内部にはデュアルファンを搭載している。当然このあたりのパーツだけでも重くなる。また、バッテリー駆動は驚異のカタログ値34時間となっており、重量増につながる。つまり、最大の特徴は超高性能なモバイルノートと言うこと。それを軽々と持ち歩くためのフルカーボンなのだ。
VAIO Zは、最軽量ではないが、最強のモバイルノートとして久々のフルモデルチェンジをとげた。モバイルノートの元祖メーカーの1社が、“らしさ”を発揮したモデルとして要注目だ。なお、細部までご覧になりたい方は、製品の詳しいレビュー動画をこちらにアップロードしている。

キーボード面もよく見るとカーボン柄が見える。色の仕上げはモデルによって異なる。