日頃の情報収集を元に、2020年のIT業界や製品を予測してみたい。どこまで予測が当たったかは、年末に確認したいと思っている。
今年最大の話題は、いよいよ5Gがスタートすることだ。春からサービス開始が見込まれているが、登場する対応モデルも少なく、数年間掛けて広く普及していくことだろう。
当初は、通信速度が話題になるが、5Gが普及しても、スマホの使い方はほとんど変わらないはず。4Gでも動画を見ることはできているからだ。動画以上に通信速度を求めるサービスやコンテンツは、今のところ魅力的なものが考えられない。より多くの人が同時に動画を視聴できるのが、一番のメリットになりそうだ。当面の5Gの魅力は最高速より、「みんなが十分な速度で使える」ことになるはず。もちろん、それは素晴らしいことで、普及すれば「通信が遅いなあ」と感じる場面がほとんどなくなるはずだ。
また、家庭向けの5Gルーターが普及すると、将来的には有線接続を駆逐していく可能もありそうだ。
5Gのインパクトはスマホより、ビジネスのパソコンでこそ大きい。ファイルをクラウドで使うのが当たり前の時代がそこまで来ている。
折りたたみスマホやパソコンは売れない
スマホは、5Gで話題になるが、もうコモディティ化の流れは止められない。2~3万円でも満足な機能・性能のモデルが増え、よく売れるはずだ。
折りたたみスマホは、話題にはなるがさほど売れないと予想する。スマホ+タブレット以下の価格になって、はじめて魅力的だと感じる人が増えるのだが、売れているタブレットはiPadのみだ。Androidの折りたたみスマホは、いくらハードウェアのデキが良くても、大画面で使いたいアプリが少ないないために売れる気がしない。iPadの折りたたみ版が登場すれば、ある程度売れそうだが、高すぎればやはり普及は難しい。
マイクロソフトも2画面向けのOSを予定しているが、パソコンも同様に売れない。過去にも2画面パソコンは少なからず登場しているが、どれもさほど売れなかった。こちらも、圧倒的に便利な2画面専用アプリが出てこない限り、ヒットは無理だ。
パソコン、スマホともに新しい機能が少なく、売れ行きを伸ばすのが難しい1年になりそうだ。台数減以上に価格低下で売上が落ちるだろう。Appleは、安価なiPhoneを出す可能性も高そうだ。iPhone XやXS、XRが終売しており、型落ちが安価なモデルという流れが終わりそうだからだ。さすがに、iPhone 8も古くなりすぎている。

テレビを見ないテレビが登場するか
今や、多くの人が動画配信サービスを楽しんでいる。いよいよ、従来のテレビ放送が駆逐されはじめたと考えるべきだ。動画配信サービスは、誰もが納得して費用を払っているわけで、NHKも、費用に見合ったコンテンツを提供すれば、受信料を否定する人は減るはずだ。
そろそろ出てくるのではないかと思っているのは、テレビが観られないテレビだ。インターネットのみに接続し、テレビチューナーを持たない製品を求める人も案外少なくないはずだ。単なるモニターと違うのは、OSを持っていることだ。こんな、テレビではないテレビを、動画の視聴料金込みにした手ごろなサブスクリプションで提供すれば、結構ヒットするのではないだろうか。もちろん、売れるのは日本だけだが。
ビジネス向けでは、ハードウェアのサブスクリプションが話題になるだろう。レンタルやローンとの違いは、延々と使い続けることだ。つまり、ソフトウェアが主役になるわけだ。数年後には、ソフトが主役のサブスクリプション契約に、満足に使えるハードを定期的に取り替えるサービスが普及しそうだ。
5Gによってクラウドはますます普及し、パソコンやスマホなど、デバイス側のストレージが減少する始まりの年になると予想する。この流れは、データの管理がシビアなビジネス向けから始まっていく。
なお、こちらの動画では、20分にわたって2020年の予想を語っているので、興味のある方は、ご覧いただきたい。