雑誌壊滅。50代でYouTubeを始めてわかったこと

50代にしてYouTubeをはじめました

 僕は、物書きの仕事を始めておよそ30年。ビジネス書作家やIT系のレビューなどが主な仕事で、著書は累計150冊以上、連載も30本ほど受け持たせていただいている。ライターを育成するプロダクションも経営しており、書く仕事が大好きだ。

 そんな僕がYouTubeをはじめたところ、多くの取引先や知人から大変驚かれた。多くの人から「ユーチューバーになるのですか」と聞かれ続けているのだが、そもそも何をもってユーチューバーなのかが、よくわからない。

 作家をやめてYouTubeで食べていくのかと聞かれたら、それは当然NOだ。YouTubeで多少なりとも収入を得るのかと聞かれれば、こちらはYES。だが、仕事の軸足は物書きであることは変わらない。

 ちなみに、僕のチャンネルは以下だ。

YouTubeの「戸田覚」チャンネル

YouTubeを始めた理由

 YouTubeを始めた最大の理由は、紙媒体の衰退だ。僕が書いていた雑誌はほぼ壊滅し、単行本も驚くほど売れなくなっている。書店の激減を見てもそれはよくわかる。最近は、ウェブコンテンツの執筆や講演、セミナーなどを中心に活動しており、紙媒体の売上は、経営する会社として考えれば2割を切っているのが実情だ。

 僕にとっての媒体は、収入を得るためだけにあるわけではない。多くの方に記事を読んでいただくことで、一時情報を得やすくなるメリットが実は大きい。例えば、「この書き手は伝える力が強いから取材を受けよう」と思っていただけるわけだ。だから、媒体が力を失うと、僕も情報を得る力が激減してしまう。

「単行本で紹介するので取材させてください」というオファーはこれまでずっと魅力があったと思う。ところが、これからはビューの多いYouTubeで取り上げるというほうが、メリットが感じられるケースが多いのではないかと考えたのだ。

小学生にも勝てないYouTube

 小学生のユーチューバーが話題になり、若い人達が中心のメディアなので、自分には向かないのではないかと思ったし、受け入れられないかもしれないという恐怖心もあった。

 4月10日に1本目の動画をアップし、それから2ヶ月で26本を上げた。この数が多いか少ないかはわからないが、これまでに行ってきた仕事を減らしているわけではないので、様子見といったところだ。

 2ヶ月半の累計で約20万回再生していただいている。YouTubeの再生回数としては、決して多い方ではなく、これで収益を上げるのは難しい。だが、コンテンツを見ていただいた数としては自分なりには満足し、ご覧いただいた皆様に、深く感謝している。雑誌でこれだけ見てもらおうと思ったら大変だ。

 これまで、雑誌やウェブ媒体では、ニッチな製品はビューが望めないために取り上げられなかった。僕が取り上げたくても、GOサインは出づらかった。ところが、YouTubeなら、自分の判断で掲載できるのも嬉しい。

動画撮影にはちょっと苦労する

 とはいえ、僕の会社ではほとんど動画を撮った経験がなく、スタッフと手探りで始めた。「撮り方を勉強したほうがいい」というコメントもいただき、切磋琢磨している段階だ。他の方の動画を参考にしながら、少しでもビューをアップするための方策も模索しているところだ。

 現在は、1080Pが撮影できるビデオカメラにマイクを付けて、LED照明を追加した状態で撮影している。まだ、コストも時間もさほど掛けられないのが実情だ。

 YouTubeへのアップは慣れてしまえば簡単だが、タイトルや検索キーワードを設定し、必要に応じて修正する作業は、機能を理解するまでは少々大変だ。まあ、ちょっとがんばれば誰でもできるレベルではあるだろう。なるべく仕事は分業したいと思っているので、動画の編集はスタッフにお願いしているが、まだソフトウエアにコストを掛けられないので、iMovieを使っている。

 僕の強みは、製品レビューなら企画には困らないこと。新製品が続々登場するし、これまでに積み上げたメーカーや開発者との関係、身につけたノウハウがフル活用できる。逆に、ちょっと恐怖感を覚えているのが、編集者の存在しない仕事をした経験がないことだ。編集者というフィルターがあったからこそ、大量の記事や書籍を安心して書いてこられたのだと、改めて感じている。また、連載を担当させていただいているウェブ媒体と連携し、相互にビューを増やしていけると確信している。まだ、具体的な傾向はつかめていないが、動画と文字情報では別の伝わり方があるようだ。

ブログよりおすすめ

 今後も引き続き動画をアップし続けて、自分のYouTubeチャンネルを1つの媒体として育てていきたいと考えている。さほど収入には結びつかないかもしれないが、「製品を買う前に見てよかった」と思えるようなコンテンツをアップし続けたい。

 観ているだけで面白い動画でウケを狙うのは僕には無理だし、そこには強力なライバルが多すぎる。だが、特定ジャンルでのプロとしての知見をなるべくわかりやすく、楽しく伝えるならある程度は見ていただけるのではないかと期待している。

 僕のこれまでの仕事では、あまりリーチできなかった、30歳以下の人にも多く見ていただいているのが嬉しいところだ。

 直近の課題は、笑顔がうまく作れないこと。人気ユーチューバーの表情の豊かさは、尊敬するばかり。文章とは異なるスキルが必要だとわかり、ちょっと戸惑っている。

 僕と同年代の皆さんにも、YouTubeはおすすめだ。YouTube内での検索や関連動画で見てもらえる導線ができているので、ブログなどより見てもらえる可能性が高いだろう。