霧島火山群硫黄山も噴火:なぜ九州に火山が多いのか? 巨大カルデラ噴火との関連は?

(提供:気象庁/ロイター/アフロ)

 鹿児島・宮崎県境の新燃岳は昨年10月11日の噴火以来、噴火警戒レベル3(入山規制)が継続中だ。そんな中、4月19日午後3時39分ごろに、硫黄山で水蒸気噴火が起きた。硫黄山はおよそ20の火山体からなる「霧島火山群」の1つで、噴火は250年ぶりだという。気象庁は20日午前6時半には噴火が止まったと判断したが、噴火警戒レベル3は依然引き下げられておらず、今後も注意が必要だ。

 その他にも九州には、活発な活動を続けて噴火警戒レベル2(火口周辺規制)以上の噴火警報が発令中の火山が4つもある(図)。加えて阿蘇山でも2016年に爆発的噴火が起きた。今年2月にはレベル1(活火山であることに注意)に引き下げられたが、3月には再び火山性微動が急増した。

九州に密集する活火山(筆者作成)
九州に密集する活火山(筆者作成)

九州に火山が密集する理由

 そもそも九州は、国内に111ある活火山のうち17もが集まる火山密集域だ。これらの火山は、フィリピン海プレートが南海トラフ・琉球海溝から沈み込むことでできる。しかし、同じプレートが沈み込む中国地方には、活火山はたった2つだ(図)。なぜこんな違いが生まれるのか? 

 その原因の1つは、沈み込むフィリピン海プレートの性質にある。実はこのプレートは、九州の南東沖を境にできた年代が大きく異なる(図)。中国地方に沈み込む部分は、2500万年より若くてまだ十分には冷え切っておらず「熱い」。一方九州から南西諸島には、5000万年より古く「冷たい」プレートが沈み込んでいるのだ。

 そもそも日本列島の火山活動は、沈み込むプレートから水分が絞り出されることが原因で起きる。ところが熱いプレートでは、プレートがマグマのできる深さに達する前、すなわち四国や紀伊半島の下で水分が結構抜けてしまう。その結果、火山を作るために使える水分量が、九州に比べて少なくなってしまうのだ。一方九州ではフィリピン海プレートが持ち込んだ水分が、しっかりマグマを作るのに使われ、そのせいで火山が密集するのである。

九州の火山は「活性化」しているのか?

 これだけ九州の火山が騒がしいと、他の火山も連鎖的に噴火するのではないかと心配する人も多い。しかし、火山噴火を引き起こす「マグマ溜り」は互いに繋がっているわけではないので、九州全体の地下でマグマ溜りが活動的になっているとは考えられない。

 また、熊本地震の影響で地盤の状態が大きく変化したために、火山活動が活性化したと考える人もいる。しかし現時点では、GPSで検知される地盤の状態変化は、霧島、桜島、南西諸島には及んでいない。中には、3・11東北地方太平洋沖超巨大地震が九州の火山活動を活性化させている可能性を指摘する専門家もいるが、この超巨大地震による地盤の変化は中部地方にも及んでいない

 つまり、現在九州の火山が活発なのは、九州全体が「活性化」しているのではなく、それぞれの火山が「日常的な」活動を繰り返しているに過ぎない。日本には、いつ噴火しても不思議でない活火山(1万年前以降に活動した火山)が111もある。さらに火山の寿命が100万年に及ぶことを考えると、「噴火待機火山」の数はその倍以上にもなる。こんな火山大国に暮らす私たちは、十分な覚悟と備えを持って火山とともに暮らすことが必要だろう。

巨大カルデラ噴火との関連

 九州にはまた、日本喪失を招きかねない「巨大カルデラ噴火」を起こした火山が少なくとも4つある。この噴火の発生確率は今後100年間に1%程度であるが、被害がとてつもなく甚大であるために、日本列島で起きる自然災害の中でも最も憂慮すべきものの1つである。ただ先にも述べたように、昨今のいくつかの火山の噴火が、巨大カルデラ噴火の「前兆」ではないし、それを誘発することもない。

 ただこのこととは全く別に、巨大カルデラ噴火、特に鬼界カルデラ(図)は要注意だ。この火山は7300年前に超巨大噴火を起こし、九州南部に暮らした縄文人の生活を奪ってしまった。カルデラの大部分は現在は海底に沈んでいるのだが、その海底に世界最大クラスの溶岩ドームが急成長したことが明らかになったのだ。早急に鬼界カルデラの地下にあるマグマ溜りの状態を調べる必要がある。