閉鎖的と批判された総理会見より閉鎖的なNHKの会見

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

NHKでは会長、放送総局長が定例で会見を開く。その会見で私が書いた記事について批判が出たが、その会見に私が出ることはない。フリーランスのジャーナリストだからだ。閉鎖性の象徴とされた総理会見でさえフリーランスが出ている今、NHKの会見は総理会見より閉鎖的だ。

4月21日、NHKの正籬聡(まさがき・さとる)放送総局長が記者会見を開いている。各社の報道によると、「『クローズアップ現代+』の来年(22年)3月末での終了を決定して後継番組の検討に入った」と報じたYahoo!の記事について「私も驚きました。終了すると決まった事実はありません」と語ったという。Yahoo!の記事では、後継番組に関するNHKの内部資料や後継番組を制作する局横断のメンバーについても報じているが、それについて問われた正籬放送総局長は「知りませんでした」と話したという。加えて、「より良い番組にするためには議論は自由。議論を封鎖するつもりはない」と述べたという。

この問題についてYahoo!では過去に3回記事(4月9日、10日、11日)を出しており、後継番組の検討を示す具体的な内部資料については10日、11日に具体的に中身を示して報じている。この内部資料について正籬放送総局長は「知りません」と答えたということだ。不思議な対応だが、想定の範囲とも言える。既に報じた通り、NHKに対して以下の質問をしている。

「『まったくの事実無根』ということは、その見解の対象となっている記事は、捏造であるか、虚偽の情報に基づいて書かれたということになるかと思います。そういう理解ということで良いのでしょうか?」

これにNHKは直接答えていない。

この会見の内容を私が確認することはできない(4月23日現在)。NHKはこの放送総局長会見について要旨を公表しているが、そこにはこの質疑は含まれていないからだ。質疑の有無さえ確認できない。

なぜ私が記者会見に出なかったのか?出る資格が無いからだ。どういうことか説明したい。

NHKが新聞や民放と違う存在であることは、受信料制度によって成り立つ公共放送(NHKは現在、公共メディアとしている)である点にある。それ故ということになるが、NHKには新聞記者が常駐している。記者クラブがあるのだ。ラジオ・テレビ記者会。それが名称だ。この写真にあるのがその加盟社だ。全国紙、通信社に加えて主要スポーツ紙が加盟している。この他に、地方紙などが加盟する東京放送記者会もある。

記者クラブの幹事表(NHK内部協力者の提供)
記者クラブの幹事表(NHK内部協力者の提供)

所属する記者はNHKだけを取材しているわけではなく民放も取材対象としているのだが、その記者クラブがNHKの中にあるということだ。民放も取材対象と言うが、特に全国紙、通信社の記者はNHK取材がメインと言って良い。

NHKは放送総局長以外に会長会見も行っている。この会長会見にも当然ながら、私は出ることはできない。放送総局長会見と同じで、記者クラブに所属していないからだ。

総理大臣会見の閉鎖性が長く指摘されてきた。私もYahoo!でその閉鎖性を指摘する記事を書いてきた。それは官邸記者クラブに所属する記者のみが独占的に取材する状況を批判したものだ。今、総理会見は限定的ではあるが、記者クラブ加盟社以外のメディアやフリーランスのジャーナリストにも開放されている。私も申し込んで抽選にあたれば参加することは可能だ。

なぜ記者クラブ加盟社以外のメディアやフリーランスのジャーナリストの参加が記者会見で重要なのか?それは、常日頃から取材をしている記者クラブのメンバーはどうしても、取材対象者と同じ目線でものを考えるようになるからだ。また、取材対象との関係を壊すような質問は出にくくなる。これは私のNHK時代の経験からも言える。マンネリ化する部分もある。すると記者会見は儀式的になってしまい、本来あるべき事実の確認の場ではなくなってしまう。

まさに総理会見はそうした批判を受けて、限定的ながら外部の視点を入れる取り組みが始まっている。だからフリーランスの私でも、希望して抽選に当たれば総理会見に出席することができ、そこで指名されれば質問することも可能だ。

しかしNHKの会見はそうではない。NHKの会見は閉鎖性の象徴とされた総理会見より更に閉鎖的なものと言って良い。報道機関であるNHKの会見が閉鎖的という異常さにNHKは気が付いた方が良い。この指摘についてもNHKは「まったくの事実無根」と言うのかもしれないが。