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入管法改正関連企業から茂木大臣の政治団体に多額の献金

立岩陽一郎InFact編集長
入管法改正の国会審議で答弁に立つ安倍総理(写真:つのだよしお/アフロ)

外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管法改正の審議が大詰めを迎えている。こうした中、この改正法案に大きく関わる外国人技能実習生の受け入れを行っているグループ企業から安倍内閣の重要閣僚が代表を務める政治団体に、7年間で総額350万円が献金されていたことが分かった。

茂木大臣が代表を務める自民党栃木県第5選挙区支部
茂木大臣が代表を務める自民党栃木県第5選挙区支部

献金を受けていたのは、茂木敏充経済再生担当大臣が代表を務める政治団体「自由民主党栃木県第5選挙区支部」。

NPOメディア「ニュースのタネ」がこの団体の政治資金収支報告書を調べたところ、株式会社エマール、株式会社海新、関東エンジニアリング協同組合の3社から2011年から2017年までの7年間に合計350万円の企業献金を受けていたことが分かった。2018年に関しては、政治資金収支報告書がまだ公表されていないため確認ができなかった。

茂木大臣が代表を務める自由民主党栃木県第5選挙区支部政治資金収支報告書表紙
茂木大臣が代表を務める自由民主党栃木県第5選挙区支部政治資金収支報告書表紙

3社は、いずれも栃木県小山市にあるエマールグループの傘下企業で、代表も同一人物だ。

このグループは、労働者派遣や外国人実習生制度の展開を主な事業としており、このうち関東エンジニアリング協同組合が外国人実習生の受け入れ事業を展開している。また、株式会社エマールは、労働者派遣を行っておりおよそ200名派遣しているが、取材に対して、「95%が外国人だ」と話している。

自民党栃木県第5選挙区支部がエマールグループから受け取っていた献金一覧
自民党栃木県第5選挙区支部がエマールグループから受け取っていた献金一覧

「自由民主党栃木県第5選挙区支部」が受けていた献金は、上の図の通り。2014年以外は3社合計で35万から36万円を毎年受けている。しかし2014年は135万円となっている。この時に献金が行われた2日後に衆議院選挙の投開票日が行われている。

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関東エンジニアリング協同組合のHP
関東エンジニアリング協同組合のHP

現在、国会で審議されている入管法改正案は、外国人労働者の受け入れ拡大を目指したもの。与党は12月10日までの会期中に法案を通す構えだが、野党の多くは審議が不十分だとして批判を強めている。

株式会社エマールの本社(栃木県小山市)
株式会社エマールの本社(栃木県小山市)

株式会社エマールは献金については、「政治献金は代表の管轄であり、代表が留守のため答えられない」とした。外国人実習生に関しては関東エンジニアリング協同組合が行っていると話している。

茂木大臣の事務所に取材をしたところ「ファクスで質問を出して欲しい」とされ、12月5日にファクスを送ったが、12月7日正午の期限までに回答を得られなかった。このため、7日午後1時過ぎに事務所に再度電話を入れたが、「担当者が不在で対応できない」ということだった。

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この取材には、公益財団法人「政治資金センター」のデータベースを利用した。

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InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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