いよいよ本格化するトランプ大統領への捜査網

中国に対する通商法の適用に署名するトランプ大統領(3月22日) (写真:ロイター/アフロ)

米朝首脳会談への対応や貿易戦争を辞さない鉄鋼関税などでその言動が世界に波紋を投げかける米国のトランプ大統領。しかしその足元は確実に揺らぎ始めている。大統領の関与が最大の焦点となっているロシア疑惑についてトランプ大統領への事情聴取に向けた捜査が本格化しているからだ。特別検察官側とトランプ大統領の弁護団との間で、具体的なやり取りが行われたという。CNNが3月20日に報じた。

ロシア疑惑は、ロシア政府が先の米大統領選挙に関与したとされる問題で、既にロシア人13人と関連する3企業が起訴されている。また、ロシア側との接触を認めたマイケル・フリン元大統領補佐官らトランプ陣営の当時の幹部も起訴されている。この疑惑の捜査を指揮していたジェイムズ・コーミーFBI長官をトランプ大統領が解任したため、大統領の疑惑への関わりと司法妨害の有無が最大の焦点となっている。

CNNによると、3月11日の週に、ロバート・モラー特別検察官事務所がトランプ大統領の弁護団に対して、具体的な質問事項などを伝えたという。それによると、FBI長官の解任についての大統領の判断の他、この判断にジェフ・セッション司法長官がどのように関わったのかについても大統領に問いただすという。

セッション司法長官はトランプ大統領を支えた共和党議員として知られるが、自身も政権発足前にロシア政府と接触していたことが明らかになり一連の捜査に関与しないことを宣言している。このセッション司法長官の判断によって捜査にブレーキをかけられなくなったことが、大統領によるFBI長官解任という異例の事態を引き起こしたとの指摘があり、特別検察官はその事実関係を見極めたいようだ。

また、特別検察官は、フリン氏が駐米ロシア大使だったセルゲイ・キスリヤク氏と電話で複数回話していたことについても大統領に問いただすことにしているという。因みに、この電話のやりとりは、大統領選挙が終わった後の2016年12月に2度にわたって行われており、オバマ政権が科した対ロシア制裁について話し合われたことをフリン氏が認めている。

また、CNNによると、特別検察官は、大統領選挙時にトランプ・タワーで行われたトランプ陣営とロシア当局との密会についても問いただすことにしているという。この密会の場にはトランプ大統領は出席していなかったが、義理の息子で現在、ホワイトハウス高官の1人であるジャレッド・クシュナー氏らが参加していた。これついて報じられた際に、どのような説明をするかという会議がもたれており、そこにトランプ大統領が参加していたことが既に報じられている。CNNによると、特別検察官はその会議でのやり取りについても問いただしたいと伝えたという。

これについて公共放送NPRのデスクは、以下の様に話す。

軽はずみな言動が多いトランプ大統領だが、特別検察官の捜査に対して虚偽の証言はできない。仮にすれば、それは議会が弾劾手続きに入る大きな根拠となり得る」。

更に次の様に話した。

モラー(特別検察官)は、極めて有能で弁護士を続けていれば億単位の収入が得られる元連邦検察官を捜査チームに入れている。その代表的な人物が、ジェームズ・カールズ3世。40年前にニクソン大統領を捜査した凄腕の検察官だ。それだけに、トランプ陣営の弁護士としてはできれば、トランプ大統領の聴取は避けたいところだろう。しかし、情勢がそれを許さなくなってきていることは間違いない

どうやら、正念場に立たされているのは日本のリーダーだけではないようだ。