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トランプ米大統領の警護費で会計検査院が調査へ

立岩陽一郎InFact編集長
別荘のマール・ア・ラーゴで家族と過ごすトランプ米米大統領(写真:ロイター/アフロ)

支出の多さが問題になっているトランプ米大統領の警護費についてGAO=米会計検査院が調査に乗り出すことになった。安倍総理も宿泊した大統領の所有する別荘での警護費などが適正かを調べる。

ワシントンポスト紙によると、トランプ大統領は就任後2か月余りのうち17日間をフロリダで過ごしており、その際に、自身が所有するマール・ア・ラーゴに宿泊している。この滞在日数には安倍総理夫妻と過ごした期間も含まれている。

その際、大統領の警護にあたるシークレット・サービスは勿論、沿岸警備隊、地元の警察も周辺の警戒にあたっている。米政府はその費用を明らかにしていないが、別荘を所有しているトランプ大統領の企業にどのくらい支払いが有るのかなど不透明な点が指摘されている。

(参考記事:トランプ大統領の「壁」建設のために災害対策、沿岸警備予算を大幅削減へ(43))

米会計検査院の調査は民主党の要請に基づくもので、政府がどのような基準に基づいてマール・ア・ラーゴでの警護費、滞在費に関する支払いが正当だと判断しているのかなど、警護に関わる費用を調べるという。

トランプ大統領はマール・ア・ラーゴを「冬のホワイトハウス」を呼んで、週末の多くを過ごしている。その際にはニューヨークに住む夫人と息子も呼んでおり、警護費が歴代の大統領に比べて多くなっていることが指摘されている。就任2か月でオバマ大統領の警護費の1年分に相当するという試算も有る。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (23)~トランプ大統領の息子のビジネス出張で国費1000万円以上!)

また、次期会計年度で、大統領の警護にあたるシークレット・サービスの予算を現状より6000万ドル、日本円にして約70億円増額することも明らかになっており、財政赤字を批判してきたトランプ大統領だけに、言行不一致との批判も出ている。

米会計検査院は、内閣の一機関と位置付けられている日本の会計検査院とは異なり議会に所属している。党派を問わず議会の要請で調査に乗り出すケースが多い。

(参考記事:日本の借金は10秒で1000万円増!?遠い借金苦からの夜明け)

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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