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米有力紙がコラムで「トランプ大統領は不道徳で不誠実に生きてきた70歳」と酷評

立岩陽一郎InFact編集長
オバマ大統領(当時)がトランプ・タワーを盗聴していたと主張するトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)

トランプ大統領が、選挙中にオバマ政権がトランプ・タワーを盗聴していたとツイートで非難した問題。ホワイトハウスのスパイサー報道官は13日の定例会見で「大統領の盗聴と言う意味は、広い意味での情報収集活動だ」とトーンダウンさせた。こうした中、ニューヨーク・タイムズ紙が、トランプ大統領は「不道徳で不誠実、無頓着に生きてきた70歳」でまともな大統領になる希望は捨てるべきとするコラムを掲載。

この問題は、トランプ大統領が、選挙中にオバマ大統領(当時)がトランプ・タワーの電話などを盗聴していたとツィートしたもの。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (22)~ケネディ前駐日大使、トランプ大統領の外交政策に憂慮示す)

13日の定例記者会見でホワイトハウスのスパイサー報道官は、「大統領選挙中に間違いなくオバマ政権は情報収集活動を行っていた」と述べてトランプ大統領のツィートには根拠が有ると主張。

一方で、「大統領の使った盗聴という言葉は、広い意味での情報収集活動だ」と述べて、オバマ政権がトランプ・タワーに何かしらの盗聴装置を仕掛けたという当初の主張を大幅にトーンダウンさせた。また、ツィートはオバマ大統領を指したものではなく、オバマ政権という広い意味での指摘だったと説明した。

(参考記事:トランプの米国とどう向き合うか? (6)~トランプ米次期大統領に情報機関は何を語ったのか?)

しかし、トランプ大統領は3月4日午後8時35分のツイートで、「恐ろしいことだ!私の勝利の直前にオバマが私のトランプ・タワーに盗聴を仕掛けていたことがわかった」とツィートしていた。またその27分後には、「なんと堕ちたことか、オバマ大統領は神聖なる選挙の場で私の電話を盗聴していた。これは(ニクソン大統領が辞任に追い込まれた)ウォーターゲート事件だ。悪い奴だ」とツィートしている。

記者会見で、「大統領の説明を我々はどう信じれば良いのか」と質問責めにあったスパイサー報道官は、「大統領は冗談は言わない」と逆切れ。記者団からため息がでる会見となった。

(参考記事:米有力紙が森友学園スキャンダルは「安倍総理の危機」と報道)

この問題で米議会は、トランプ大統領に主張を裏付ける証拠を提出するよう求めているが、証拠は提出されていない。

有力紙の1つUSAツデー紙は、トランプ大統領の支持率は30%で、不支持がその倍の60%となっているという最新の世論調査を発表。この中で、共和党支持者を含む6割の人が、大統領はツィートし過ぎるという不満を持っているとの結果を示している。

こうした中、ニューヨーク・タイムズ紙は13日、専属コラムニスト、チャールズ・ブロウ氏のコラムを掲載。この中でブロウ氏は、「思うに、トランプ氏がまっとうな大統領になると信じた人々はその希望を捨てるべきだろう。この選挙当選者は、人生の大半を不道徳で不誠実で無頓着に過ごしてきた70歳だ」とトランプ大統領を酷評した。

通常、米国では新大統領は就任後の100日間は党派を超えて歓迎ムードが続くとされる。トランプ大統領は、就任後50日で世論調査、新聞のコラムで厳しい評価を受ける異例の事態となっている。

(参考記事:トランプ大統領の「前大統領による盗聴」の根拠に女性ジャーナリスト?)

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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