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トランプ大統領側近の辞任をめぐって議会で調査へ 共和党も追及に同意の方向

立岩陽一郎InFact編集長
記者会見でマスコミ批判を展開するトランプ大統領(2月16日)(写真:ロイター/アフロ)

ロシアとの不適切な接触が明らかになって辞任したトランプ大統領の側近をめぐって、共和党も議会での追及の姿勢を見せ始めた。民主党と共和党が歩調を合わせるという事態に、トランプ大統領は政権発足1か月も経たずに厳しい状況に置かれることになる。

トランプ大統領の国家安全保障担当補佐官だったマイケル・フリン氏は、ロシア政府に科せられる制裁についてロシア側と事前に話し合いをしていたことが明らかになり辞任。当時、フリン氏は民間人であり、民間人が政府の許可なく外交に関与することを禁じたローガン法に違反した疑いがもたれている。

(参考記事:米メディアがトランプ大統領インタビューで見せた気骨

ローガン法は1799年に制定された法律で、訴追されれば懲役刑もあり得る。

これを受けて民主党は、フリン氏の行動は明確にローガン法に違反しているとして、議会での全面的な捜査を求めている。

こうした中、共和党のミッチ・マコーネル院内総務は、議会の場での調査に同意する姿勢を示した。別の共和党の有力議員も、司法委員会か情報機関に関する委員会のどちらか、或いは合同で調査を行う考えを示した。

(参考記事:トランプ大統領の大統領令に「利益相反」の指摘も

また、民主党は司法省に対しても全面的な捜査を求めている。

トランプ大統領はフリン氏の辞任に際して、最初に報じたワシントン・ポスト紙に情報を流した「犯人捜し」を指示している。また、一連の問題を報じたメディアへの批判を強めており、この問題の対応を巡って、徹底調査を求める共和党との隔たりが鮮明になってきている。

InFact編集長

InFact編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。1991年一橋大学卒業。放送大学大学院修士課程修了。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクに従事し、政府が随意契約を恣意的に使っている実態を暴き随意契約原則禁止のきっかけを作ったほか、大阪の印刷会社で化学物質を原因とした胆管癌被害が発生していることをスクープ。「パナマ文書」取材に中心的に関わった後にNHKを退職。著書に「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」、「NHK記者がNHKを取材した」、「ファクトチェック・ニッポン」、「トランプ王国の素顔」など多数。日刊ゲンダイにコラムを連載中。

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