組織とはリーダーの心の「鏡」

組織とは、

その組織を率いるリーダーの心を映し出す「鏡」に他ならない。

永年の経験から、この言葉の真実を掴んでいる経営者やマネジャーは、

決して少なくないが、

2011年に、ある雑誌の対談で

元サッカー日本代表監督の岡田武史氏と語り合う機会があった。

岡田氏は、前年のサッカー・ワールドカップ・南アフリカ大会を振り返り、

次のエピソードを語られた。

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南アフリカ大会を前にして、

中盤を増やして戦い方を変えていこうかと考えていました。

そして、壮行試合の日韓戦に負けたことから、

やはり戦い方を変えようと決断したのです。

しかし、その中盤をどう並べればよいか、いま一つピンと来なかった。

すると、僕が迷っていると、やはりチームもうまくいかない。

ところが、大会前のコートジボワール戦が終わり、

ビデオを見ながらあれこれと一人で考えていたら、

夜中の三時ぐらいにハッと思いついた。

中盤五人を横一列に並べてみたらどうだろうという考えです。

これしかない、と思い、翌日、すっきりしてグラウンドに行ったら、

なぜか、チームの雰囲気が明るくなっていた。

それで、その戦い方を紅白戦で試したら、ビシッと決まって、

ジンバブエとの練習試合は、結果は引き分けでも、内容は素晴らしかった。

そこで、カメルーン戦の前日、日本にいる家内から電話があったとき、

『勝つか負けるかは分からないが、必ず、良い試合になる』と伝えたのです」

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このエピソードは、決してスポーツの世界だけの話ではない。

ビジネスの世界でも、

同様の経験を持つ経営者やマネジャーは多いのではないだろうか。

例えば、業績の低迷する組織。

組織内のメンバーの雰囲気も悪い。

仕事も、色々とトラブルが相次ぎ、何か巡り会わせが悪い。

こうしたとき、当然のことながら、経営者やマネジャーは、思い悩む。

しかし、悩めば悩むほど、組織の問題は解決されず、不調和は続く。

しかし、それでも、悩み続け、考え続けていると、

ある晩、ふと、心に光が指すように、気がつく。

「ああ、自分に迷いがあった。しかし、もう迷わない。これで行こう」

そう腹を定め、翌朝、職場に行くと、不思議なことに気がつく。

まだ、朝礼で何も話していないのに、メンバーの雰囲気が変わっている。

職場の空気も良くなっている。

そして、これから何かが上向いていく予感がする。

企業の現場で悪戦苦闘してきた経営者やマネジャーならば、

そうした経験の一つや二つは持っているだろう。

そして、次の二つの言葉の意味を、体験的に掴んでいるだろう。

自分が迷っていると、組織も迷う。

自分の腹が定まったとき、組織も重心が定まる。

その心の世界の深みを教えるのが、

仏教が語る、次の言葉であろう。

三界唯心所現

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これまで、岡田武史氏とは、幾度も対談の機会を頂いているが、

今回お話した「リーダーシップ論」に関しては、

雑誌『Number』での対談が、多くの読者から注目を頂いた。

また、YouTubeでは、「人類の未来」をテーマに行われた

岡田氏との対談が公開されている。

興味のある方は、下記をご覧いただきたい。

■『日本型リーダーの真髄』スペシャル対談

(掲載:『Number』2011年7月21日号)

目次:

・究極のリーダーシップとは、どんな状況でも諦めないこと

・組織が負けるとき。それはリーダーの心に迷いがあるとき

・経験を積むと、理屈より勘を選択する勇気が出てくる

・必死に山を登る背中を見て、次のリーダーは育つ

・いるかいないか分からない。それが日本の優れたリーダー像

・東洋的な深みを持ったリーダー像が再評価される時代

記事PDF:

http://bit.ly/1lRzPqU

■岡田武史・田坂広志 対話「人類の未来」 全3回

岡田武史氏との邂逅が生み出した、「人類の未来」をめぐる対話。

互いに若き日に、ローマクラブの『成長の限界』に感銘を受け、

地球環境問題にも深い関心を寄せる二人が、

自由な対話のスタイルで、人類の未来を語り合う。

第1回:

http://www.youtube.com/watch?v=1-s_FaKCglc

第2回:

http://www.youtube.com/watch?v=vbEqKT4eLrM

第3回:

http://www.youtube.com/watch?v=vXyciKG3y9I

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