言葉を使わず大切なメッセージを伝える力

言葉を使わず、大切なメッセージを伝える力。

その重要性を改めて感じたのは、

2011年にフランスのドーヴィルで開催された

G8サミットにおいてであった。

2011年5月24日から29日にかけ、

OECD50周年記念式典、G8サミット、

日EU首脳定期協議に出席する内閣総理大臣に随行し、

パリ、ドーヴィル、ブリュッセルを訪問した。

この一連の外交日程においては、

OECDでは、クリントン米国務長官、

G8サミットでは、オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、メルケル独首相、

キャメロン英首相、ベルルスコーニ伊首相などの

国家首脳のスピーチや会場での振舞いを見る機会があった。

小生は、世界経済フォーラムの

Global Agenda Councilのメンバーも務めていることから、

毎年1月のダボス会議において、各国首脳のスピーチを聴く機会を得ているが、

このG8サミットで改めて感じたのは、

世界のトップレベルの政治家は、スピーチが見事なだけではなく、

その眼差し、表情、仕草、呼吸、沈黙、姿勢、歩き方などを最大限使って、

大切なメッセージを伝えてくることである。

例えば、クリントン米国務長官は、

OECD式典の議長として、

未曾有の震災と津波の被害を受けた日本の総理大臣を壇上に招くとき、

慈愛に満ちた深みのある表情を見せ、

日本国民と被災者の方々への言葉にならぬ温かい思いを伝えてきた。

サルコジ仏大統領は、

切れ味の良い言葉とともに、身振り手振りを最大限に使って、その情熱や信念を伝え、

強い眼差しは、言葉以上に、強いメッセージを伝えていた。

オバマ米大統領は、

各国首脳のラウンドテーブルが行われる部屋に入ってくるときから、

年齢を超えた威厳を感じさせた。

そして、会議が始まる前に、テーブルの前に立ち、

資料を手に取るときにも、計算され尽くした演技であろうか、

静けさと存在感を感じさせる佇まいを見せていた。

こうした世界のトップリーダーの言葉を超えたメッセージを見るとき、

かつて、米国の大統領選において、

レーガン候補が、モンデール候補との討論において示した、

巧みな表情と仕草を想い出す。

モンデール候補が舌鋒鋭くレーガン候補の主張を論破した瞬間、

レーガン候補が見せたのは、

ただ、肩をすくめ、手を広げて微笑む仕草であった。

しかし、そのたった一つの仕草だけで、

レーガンは、最大の反撃を行った。

なぜなら、その瞬間に、視聴者からは、

モンデールが、好人物を攻撃する悪役のように映ったからである。

コミュニケーション学の研究によれば、言葉によるメッセージの伝達は、

コミュニケーション全体の10%以下とも言われている。

そうであるならば、

90%を占める非言語的コミュニケーションによって、

人々に、いかに印象深いメッセージを伝えるのか。

言葉が溢れる時代であるからこそ、

そのことが、指導者には、深く問われるのであろう。

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4月17日に、著者の新著

『ダボス会議に見る 世界のトップリーダーの話術』

が上梓された。

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本書では、

ダボス会議やTED会議などのメンバーとして、

クリントン元米大統領、ゴア元米副大統領、ブレア元英首相、

ブラウン元英首相、キャメロン英首相、メルケル独首相、

サルコジ元仏大統領、プーチン露大統領、温家宝元中国首相

さらには、ビル・ゲイツ、ムハマド・ユヌスなどのスピーチを

間近で見てきた著者が、

「人格」「位取り」「胆力」「演技力」「観察力」

「対話力」「振る舞い」「発声」「余韻」「思考」など、

一般には語られることない、トップリーダーたちの

「15の話術」を紹介する。

興味のある方は、お読みいただきたい。

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