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遠かった陸の孤島、成田空港 - リアルタイム情報を生かして臨機応変に

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
刻々と変化する混乱する首都圏の交通事情をいかに乗りこなすか?(筆者作成)

台風15号の影響で交通手段に大きな混乱が生じた首都圏。中でも東京の玄関口の一つ、成田空港へのアクセスはほぼ遮断され、空港で足止めとなる人が多数発生する事態となってしまいました。

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そもそも海外から成田行きの便がキャンセルされ、海外の空港で足止めとなった人もいましたが、無事に着陸できても、空港から動けず一夜を過ごすことになってしまった人もいます。まず安全であることを確保した上で、周囲の人とも協力しながら解決策や最善策を探して行かなければならない状況といえるでしょう。

私は逆に、9月9日に成田空港に向かうのに難儀しました。成田空港から出られないのと同様に、成田空港へ入っていけない状況もまた存在していたのです。遠くて遠かった陸の孤島、成田空港。こういう時こそTwitterのリアルタイム情報を活用しながら、時には自分の周囲の状況を実況して他の人に役立つかもしれない情報を発信しつつ、小さな可能性に懸けて手数多く行動して行くしかありませんでした。

東京から成田空港を目指す側の視点に立ってみると、成田エクスプレス、リムジンバス、スカイライナーがいずれも運休し、高速道路も利用できない状況で、一般道は停電で主要交差点の信号が稼働していない状況。かつ空港周辺道路は大渋滞で、30分で数百メートル進むかどうかという状況でした。タクシーはもちろん、もしUberやLyftのようなライドシェアが発達していたとしても、問題解決にはなっていなかったでしょう。

朝の段階で成田エクスプレス、予約していたリムジンバス、同じく予約していたスカイライナーのいずれの方法も使えず、高速道路も利用できない状況でした。

1) 午後からの運転再開に賭けて日暮里駅に移動。

2) 改めてスカイライナーの運転再開見込みなしと確認し、Google Mapsで成田にできるだけ近づき、かつ渋滞がさほどひどくないエリアを確認。常磐線沿いが吉とみて日暮里から常磐線快速に乗りました。

3) 当初、柏駅で降りようと思っていましたが、Twitterでタクシーの行列が酷いとの情報をTwitterで得て、その先の取手駅まで行くことにしました。

4) 取手駅はタクシーの行列はなく、タクシーもターミナルに入ってくる状況だったので、ここから利根水郷道路や成田山を経由しながら、一般道を縫うように成田空港を目指しました。途中Googleマップで経路を細かく調整しながら渋滞を避けたのも功を奏したと思います。

5) 空港敷地内の大渋滞にはまり、全く動かなくなったので、残り2km弱のところでタクシーを降りて徒歩でターミナルへ。

という流れで、フライトが85分遅れたことも助けて、なんとか飛行機に間に合いました。

このほかにも、柏でタクシーを諦め乗り捨てられるレンタカーで空港を目指したパターン、浦安で高速を降りて下道で空港を目指したパターンも、同じ飛行機に間に合った事例でした。

一方、11:00ごろに都内を、13:00に上野をそれぞれ出発したタクシーが、18:00のフライトに間に合わなかったという不運な人もおり、同じタクシーでも乗る地点とルート採りが重要だったのではないでしょうか。

刻々と状況が変わる状況、あるいは時間が経っても状況が良くならないこともあり、個人のレベルで取りうる対策はさほど多くはありません。まずは現状の自分の周り、あるいは自分がこれから向かう、通過する場所にいる人が持っている情報をTwitterで探しながら、細かく判断して行動を変えていくことが重要だと思います。一方で、そうした状況に臨機応変に答えてくれるサービスが、これからの都市には必要で、テクノロジーだけでなく行政や既存のインフラ事業者の連携が不可欠だと思いました。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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