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iPhone SE刷新なるか?Appleに新モデルの兆候 - 2つの選択肢、もしくはその両方か?

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
2016年3月に発売され、保存容量と価格以外はそのまま販売されてきた(筆者撮影)

欧米のメディアで一斉に、Appleが新型のiPhoneを準備しているというニュースが流れました。タイミング的に、既にリリースしてから2年が経過した廉価版のiPhone SEが刷新されるのではないか、と見られています。

iPhone SEとは?

iPhone SE(2016年3月の発表イベントにて、筆者撮影)
iPhone SE(2016年3月の発表イベントにて、筆者撮影)

iPhone SEは2016年3月に発表され、現在32GBが米国で349ドルで販売されています。新興国だけでなく、米国や日本でも、小型のiPhoneを好む人や手の小さなこども向けとして、あるいは格安SIMと組み合わせて最も安くiPhoneを使い始める選択肢として人気を集めています。

廉価版ながら、Appleの利益と販売台数の獲得には貢献し続けてきました。Counterpointによると、2017年第4四半期のスマートフォンから得られる利益総額のシェアは0.9%で第10位。Samsungの2機種を除くほぼ全てのAndroidスマートフォンよりも利益を上げているデバイスとなっています。

2017年第4四半期のスマートフォン機種別利益額のシェア。iPhone SEは廉価版ながら、10位に食い込んでいます(筆者作成、出典 Counterpoint)
2017年第4四半期のスマートフォン機種別利益額のシェア。iPhone SEは廉価版ながら、10位に食い込んでいます(筆者作成、出典 Counterpoint)

2016年3月に登場した際は、iPhone 5以来の4インチボディに、半年前にリリースされたiPhone 6s・iPhone 6s Plusと同じA9プロセッサを搭載し、カメラ性能を向上させるなど、旧型のボディに最新性能を詰め込んだ異色のモデルでした。

どんなiPhone SEになる?

iPhone SEは4色展開でリリースされた(筆者撮影)
iPhone SEは4色展開でリリースされた(筆者撮影)

新しいiPhone SEについて考える際、2つの視点要素があります。

1つ目は、300ドル台という価格を維持するのか。

2つ目は、iPhone Xで採用された新世代iPhoneの要素を踏襲するのか。

iPhone SEは、Appleのプラットホームのユーザー数を世界中で伸ばす原動力となっており、その役割を担うために、最も安い価格を採用している点。349ドルという価格を維持する、もしくはさらに値下げできるかどうかに注目しており、値下げするなら中国市場での存在感を増す可能性が高まるのではないか、と思います。

一方で、2018年にはiPhone Xの大型モデルも投入され、ホームボタンなし、Face ID採用の全画面デザインへと移行するとみられているiPhoneラインアップ。そのトレンドを踏襲するなら、iPhone SEも新モデルで全画面+TrueDepthカメラ搭載のモデルへと進化するべきでしょう。

全画面+TrueDepthカメラのiPhone SEを登場させる場合、これまでのボディサイズを踏襲して、さらに大きな画面サイズ、例えばiPhone 8と同じようなサイズを押し込むこともできそうです。小さなiPhoneが好きだった人にとって、扱いやすさそのままにより大きな画面を楽しめるなら、廉価版でなくても魅力的ではないでしょうか。

iPhone Xのような、ホームボタンなしの全画面モデルとなれば、価格がいくらになるのかがポイントに(筆者撮影)
iPhone Xのような、ホームボタンなしの全画面モデルとなれば、価格がいくらになるのかがポイントに(筆者撮影)

そう、全画面+TrueDepthカメラを搭載する場合、349ドルという価格を維持することは難しいのではないでしょうか。iPhone Xのように有機ELディスプレイを搭載し、例えば600ドルから700ドルという価格にするのか、液晶ディスプレイで実現してもっと価格を下げるのか。

もし廉価版を貫くなら、引き続き4インチディスプレイのボディに、最新のカメラやA11 Bionicを搭載してモデルを延命させるパターン。さて、どちらになるのでしょうか。

iPhone XとiPhone 8が存在しているように、今年に限っては、TrueDepthカメラ版とホームボタン版の両方をリリースする、というのも手なのかもしれません。

Appleは2018年6月4日から、カリフォルニア州サンノゼで世界開発者会議「WWDC 2018」を開催します。例年、iPhone/iPad、Apple Watch、Mac、Apple TV向けのOS(iOS、watchOS、tvOS、macOS)の新版をリリースし、新機能を含む開発環境を披露します。昨年はMacBook Pro、iMac、iPad Proがリリースされました。

はたしてそれ以前にイベントを開催するのか、あるいはWWDC 2018の基調講演でリリースするのか、その時期にも注目です。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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