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Twitter #music で音楽との出会い方はどう変わるか?

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
PC向けにも用意されたTwitter #musicは音楽との付き合いを変えるか?
Twitter #musicのアプリ。Twitter上の音楽情報を人軸で凝縮。
Twitter #musicのアプリ。Twitter上の音楽情報を人軸で凝縮。

Twitterが米国時間2013年4月18日に、「Twitter #music」と名付けられた音楽アプリを無料でリリースしました。簡単に言えば「Twitterをプラットホームとした、音楽情報と人気の楽曲を知るためのアプリ」。

Twitter #musicのメニュー。4つのセクションとプロフィールからなる。
Twitter #musicのメニュー。4つのセクションとプロフィールからなる。

音楽のストリーミングには、SpotifyやRdioといった既存の音楽サービスの購読が必要なため、「音楽を聴くためのアプリ」というよりは、音楽を発見することにフォーカスしたアプリと言えるでしょう。

ただ、これはSpotifyかRdioを契約しちゃいますよ。ストリーミングのサービスがなければ、魅力半減ですから。

アプリはとてもシンプルで、「Popular」「Emerging」「Suggested」「#NowPlaying」と自分のプロフィールの4つ。

Twitter上で共有される音楽関連のツイートやアーティストの公式アカウントのフォロー関係などを使って、今人気のある音楽や火がつきそうな楽曲、おすすめの音楽、そして現在友人によって再生されている音楽を知ることができるようになります。 

壮大なリアルタイム音楽情報誌と「人」で見つける音楽

#NowPlaying のコーナー。フォローしているユーザーの音楽が表示される。
#NowPlaying のコーナー。フォローしているユーザーの音楽が表示される。

Twitter #music でログインする前は、PSYがPopularのセクションで1位になっていましたが、Twitterでログインしてみるとその結果はDemi Lovatoに変わりました。そして、「#NowPlaying」のセクションは刻々と変わっていきます。

友だちがどんな音楽を聴いているのか、あるいはフォローしている自分のアーティストがどんな音楽を送り出し、また気に入っているのか、と言うことをシンプルなインターフェイスにまとめているのです。

今まで私が音楽を発見する好きな手段は、レコード屋にいってジャケットを見ながら買う事でした。もちろん当たり外れはあるのですが、自分の好きなジャンルの知らない音楽を知るには良い手段でした。しかし最近、レコード店の減少で、こうした音楽との出会い方ができなくなっていたところでした。

Twitter #music では、ジャケットももちろん表示されますが、「人」を介してこうした新しい音楽との出会いが演出されるようになるのではないか、と期待しています。同時に、音楽を作り出すアーティストも、このアプリを介してファンにフォローしてもらうチャンスが増え、またTwitterの活用方法も変わってくるのではないか、と思います。 

気に入った音楽をすぐにツイートできる

アプリから聴いている音楽をすぐにツイートできる。アーティスト名はTwitter名
アプリから聴いている音楽をすぐにツイートできる。アーティスト名はTwitter名

このアプリからフルトラックを聴くには、アプリ上でSpotfyかRdioにログインする必要があります。音楽を聴き始めると、左下にCDというかレコードというか、とにかく昔音楽を聴くために使っていた円盤がぐるぐる回り、これをタップすると聴いている音楽の詳細やジャケットが表示されます。

そしてツイートボタンをタップすると、すぐにコメント付きで音楽を共有することができますが、この際、アーティストのTwitterアカウントもきちんと含まれ、また #NowPlaying のタグも自動的に入ります。これはお手軽。

Twitter #musicはアーティストとリスナーをTwitter上の情報で結びつけるだけでなく、リスナーが聴いている音楽をTwitterを介してアーティストに結びつける効果もあると言えます。

とはいえ、アーティストがTwitterを個人で管理していたとしたら、ものすごい量のMention(@ツイート)が届くことになりそうではありますが。 

フォローの意味は少し変わる?

アーティストのTwitterプロフィール。フォロー中の他のアーティストも分かる
アーティストのTwitterプロフィール。フォロー中の他のアーティストも分かる

面白いのは、Twitterにたくさんのミュージシャンがアカウントを持っていて、それをきちんとTwitterが集積してきたと言うこと。そしてミュージシャン同士のフォロー関係も、音楽のレコメンドに活用されていること。

その人のプロフィールを見ると、誰をフォローしているのかがわかり、そこからレコメンドトラックが生成されるため、ただ単に情報を取得する意味合いでなく、「気に入っている」という意味合いが含まれるようになります。

とはいえ、このリストに出てくるアーティストは、例えばクラブで競演するDJ同士だったり、リミックスのプロジェクトに肩を並べていたり、少なからずTwitter #music 以外の場で一緒にリストされているところを見たことがある人たちばかり。

これに気づくと、Twitter #music アプリで音楽を聴くことが、ジャケ買いやクラブで音楽を知る体験とはもちろん違うながら、少し近い体験を提供し始めるのではないか、と言う期待を持つことができるのです。

音楽の聴き方がどの様に変わるか?

YouTubeを見ていてもその傾向は既に見て取れるだけでなく、体験している人も多いと思いますが、新しい音楽との出会い方をTwitterをプラットホームに、きちんと可視化してくれたのがこの Twitter #music だと思いました。しばらくこのアプリで日々音楽を聴くようにして、新しい出会いや楽しみを得られるかどうか、試してみたいと思います。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

松村太郎の「情報通信文化論」

税込330円/月初月無料投稿頻度:月4回程度(不定期)

米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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